特別弁護人(とくべつべんごにん)とは刑事訴訟少年保護手続において弁護士資格を持たない弁護人のこと[1]

概要 編集

刑事訴訟の被告人は弁護人を頼むことができる[2]。刑事訴訟の弁護人は弁護士であることを原則としているが、事件の性格によっては特別の知識や経験を持ったもの人を弁護人に付けた方が被告人のために有利になる場合がある[2]。そのため刑事訴訟法第31条や少年法第10条では簡易裁判所家庭裁判所地方裁判所では裁判所が許可をした時は弁護士でない者を弁護人に選任することができる[1]。ただし、刑事訴訟法第31条但し書及び刑事訴訟規則第19条第1項により、地方裁判所では別に弁護士がいる場合に限っており、また主任弁護人になることはできない[1]

特別弁護人は普通の弁護人と同じ権利を行使できる[2]

1993年2月に京都市の会社役員が自動車における道路交通法違反(スピード違反)で検挙された際に否認をし、京都府警の取り調べに先立ち、法律と科学捜査に詳しい知人を特別弁護人として申請した際には、同年10月21日に最高裁は刑事訴訟法上は特別弁護人を選ぶことができるのは起訴後に限定され、起訴前では不可能とする判断を下した[3]

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脚注 編集

  1. ^ a b c "特別弁護人". ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典, 日本大百科全書(ニッポニカ), 精選版 日本国語大辞典, 百科事典マイペディア, デジタル大辞泉, 世界大百科事典. コトバンクより2022年8月13日閲覧
  2. ^ a b c d e f g 「読者応答室から 特別弁護人」『朝日新聞朝日新聞社、1962年3月6日。
  3. ^ 「起訴前の特別弁護人認めず 補足意見で制度改革訴え 最高裁」『読売新聞読売新聞社、1993年10月22日。
  4. ^ 「(惜別)松川事件特別弁護人・小沢三千雄さん 曲げず屈せずの活動家」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年3月27日。
  5. ^ 「生きた身の上相談 千住の妾殺しに妻の立場を強調 山田調停委員特別弁護人に」『読売新聞』読売新聞社、1950年1月9日。
  6. ^ 「被告素直にミトム 精神病の夫殺し」『読売新聞』読売新聞社、1950年4月23日。
  7. ^ 「伊藤整 没後50年 記録にかけた情熱 チャタレイ裁判資料も 特別展」『産経新聞産経新聞社、2019年10月17日。
  8. ^ 「埴谷雄高氏が死去 小説「死霊」戦後思想に影響」『日本経済新聞日本経済新聞社、1997年2月20日。
  9. ^ 「「平和的生存権」主張、憲法学者の足跡出版 「恵庭事件」法廷に、故深瀬忠一さん/北海道」『朝日新聞』朝日新聞社、2020年1月28日。
  10. ^ 「赤瀬川原平さん死去 芥川賞作家「老人力」生みの親」『富山新聞北國新聞社富山本社、2014年10月27日。
  11. ^ “特別弁護人の選任許可 チフス事件”. 読売新聞 (読売新聞社). (1967年3月23日) 
  12. ^ 「特別弁護人に金達寿氏認める金嬉老裁判で静岡地裁」『朝日新聞』朝日新聞社、1968年8月15日。
  13. ^ 「岡村氏も認めらる 金嬉老の特別弁護人」『朝日新聞』朝日新聞社、1968年8月28日。
  14. ^ “折原助教授、弁護人に 東大裁判 出廷を許可”. 読売新聞 (読売新聞社). (1971年3月4日) 
  15. ^ a b c 「特別弁護人に教官 北大公判 裁判所が認める」『読売新聞』読売新聞社、1970年3月24日。
  16. ^ 「連合赤軍事件17回忌(風車)」『朝日新聞』朝日新聞社、1987年12月18日。
  17. ^ 「丸谷才一さん 活字と生きた紳士 古典評論、洒脱なエッセー(評伝)」『読売新聞』読売新聞社、2012年10月14日。
  18. ^ 「教訓(三度目の無罪 甲山事件の25年:下)【大阪】」『朝日新聞』朝日新聞社、1999年10月3日。
  19. ^ 「「目撃証言の検証を」 裁判と心理学テーマにシンポ 福島大/福島」『朝日新聞』朝日新聞社、1998年10月25日。
  20. ^ 「管制官に無罪を 日航機ニアミス裁判、中部空港で労組集会/愛知県」『朝日新聞』朝日新聞社、2006年3月11日。
  21. ^ 「遠隔操作 検察・弁護側 真っ向対立 初公判 X被告に特別弁護人」『読売新聞』読売新聞社、2012年2月12日。

関連項目 編集