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{{Infobox Film|
| 作品名 = 用心棒
| 原題 = Yojimbo
| 画像 =
| 画像サイズ =
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| 製作 = [[田中友幸]]<br />[[菊島隆三]]
| 脚本 = 黒澤明<br />菊島隆三
| 出演者 = [[三船敏郎]]<br />[[仲代達矢]]<br />[[山田五十鈴
| 音楽 = [[佐藤勝]]
| 撮影 = [[宮川一夫
| 編集 =
| 製作会社 = [[東宝]]<br/>黒澤プロダクション
| 配給 =
| 公開 = {{flagicon|JPN}} 1961年4月25日<br/>{{flagicon|ITA}} 1961年8月20日 ([[ヴェネツィア国際映画祭|VIFF]])<br/>{{flagicon|USA}} 1961年9月
| 上映時間 = 110分
| 製作国 = {{JPN}}
| 言語 = [[日本語]]
|
| 興行収入 =
| 配給収入 = 3億5100万円
| 前作 =
| 次作 = [[椿三十郎]]
}}
『'''用心棒'''』(ようじんぼう)は、[[1961年]]に公開された[[日本映画|日本]]の[[時代劇]]映画である。監督は[[黒澤明]]、主演は[[三船敏郎]]。[[モノクロフィルム|モノクロ]]、[[東宝スコープ]]、110分。桑畑三十郎を名乗る[[浪人]]が、[[宿場町]]で対立する[[ヤクザ]]同士を衝突させて壊滅させるという物語で、理屈抜きの娯楽映画として興行的に大ヒットし<ref name="大系2解説">[[浜野保樹]]「解説・世界のクロサワと挫折―『用心棒』」({{Harvnb|大系2|2009|pp=697-699}})</ref>、[[1962年]]に続編の『[[椿三十郎]]』が作られた。三船は本作品で[[ヴェネツィア国際映画祭]]の第22回[[ヴェネツィア国際映画祭 男優賞|男優賞]]を受賞。本作品は刀の斬殺音や残酷な描写を取り入れるなど、従来の時代劇映画の形式を覆して後の作品に大きな影響を与え、[[1964年]]には[[セルジオ・レオーネ]]監督の[[マカロニ・ウエスタン]]『[[荒野の用心棒]]』で非公式に[[リメイク]]されている。
== あらすじ ==
[[からっ風]]が吹きすさぶ中、一人の風来坊の浪人が、桑畑に囲まれた宿場町・馬目宿へとやってくる。そこは賭場の元締めである馬目の清兵衛一家と、清兵衛の
浪人は丑寅の子分を挑発して
== キャスト ==
*桑畑三十郎:[[三船敏郎]]
*新田の卯之助:[[仲代達矢]]
*清兵衛の女房 おりん:[[山田五十鈴]]
*小平の女房 ぬい:[[司葉子]]
*百姓 小平:[[土屋嘉男]]
*居酒屋の権爺:[[東野英治郎]]
*造酒屋 徳右衛門:[[志村喬]]
*新田の亥之吉:[[加東大介]]
*名主 絹問屋 多左衛門:[[藤原釜足]]
*馬目の清兵衛:[[河津清三郎]]
*清兵衛の倅 与一郎:[[太刀川寛]]
*百姓の小倅:[[夏木陽介]]
*番太の半助:[[沢村いき雄]]
*棺桶屋:[[渡辺篤 (俳優)|渡辺篤]]
*用心棒 本間先生:[[藤田進]]
*新田の丑寅:[[山茶花究]]
*無宿者の熊:[[西村晃]]
*無宿者の瘤八:[[加藤武]]
*斬られる凶状持:[[中谷一郎]]、[[大橋史典]]
*八州廻りの足軽:[[堺左千夫]]、[[千葉一郎]]
*丑寅の子分 亀:[[谷晃]]
*丑寅の用心棒 かんぬき:[[羅生門綱五郎]]
*清兵衛の子分 孫太郎:[[清水元]]
*賽の目の六:[[ジェリー藤尾]]
*清兵衛の子分 孫吉:[[佐田豊]]
*馬の雲助:[[大友伸]]
*清兵衛の子分 弥八:[[天本英世]]
*清兵衛の子分 助十:[[大木正司]]
*百姓の親爺:[[寄山弘]]
*八州廻りの小者:[[大村千吉]]
*百姓の古女房:[[本間文子]]
*丑寅の子分:[[広瀬正一]]、[[高木新平]]、[[草間璋夫]]、[[小川安三]]、[[坂本晴哉]]
*清兵衛の子分:[[草川直也]]、[[桐野洋雄]]、[[津田光男]]、[[大友純]]、[[向井淳一郎]]、[[熊谷卓三|熊谷二良]]、[[緒方燐作]]
==
* 製作:[[田中友幸]]、[[菊島隆三]]
* 監督:[[黒澤明]]
* 脚本:菊島隆三、黒澤明
* 撮影:[[宮川一夫]]<small>([[大映]])</small>
* 撮影助手:[[斎藤孝雄]]<ref>「スタッフ一覧表」({{Harvnb|全集5|1988|pp=442-443}})</ref>
* 美術:[[村木与四郎]]
* 録音:三上長七郎
* 照明:[[石井長四郎]]
* 音楽:[[佐藤勝]]
* 監督助手:[[森谷司郎]]
* 剣技指導:[[杉野嘉男]]
* 現像:[[光映新社|キヌタ・ラボラトリー]]
* 製作担当者:根津博
* 剣技:[[久世竜]]
* 振付:金須宏
== 製作 ==
黒澤プロダクションは、[[1960年]]公開の『[[悪い奴ほどよく眠る]]』が興行的に失敗したため、次の作品では収益が見込めるヒット作を作らなければならなくなった<ref name="大系2解説"/>。そこで[[黒澤明]]は脚本家の[[菊島隆三]]にプロデュースを依頼し、二人で本作の脚本を共作した<ref name="大系2解説"/>。菊島はその前に、[[藤本真澄]]の勧めに応じて[[成瀬巳喜男]]監督作『[[女が階段を上る時]]』を担当しヒットさせており、黒澤から「こんどはオレのもやってくれよ」と頼まれた<ref>[[菊島隆三]]「すぐれた作品のかげにはストイックなまでの自虐」(『黒澤明ドキュメント』キネマ旬報社、1974年)。{{Harvnb|キネマ旬報|2010|pp=108-116}}に所収</ref>。黒澤プロは[[東宝]]との提携で映画制作を行うことになっており、本作から『[[赤ひげ]]』までのプロデューサーは、黒澤プロ側は菊島、東宝側は[[田中友幸]]が務めた<ref name="大系2解説"/>。
本作の企画は、[[1956年]]5月21日にプロデューサーの[[本木荘二郎]]が企画する黒澤の「時代劇三部作」の1つとして新聞報道されており、本木は「『用心棒』ではアメリカの私立探偵ものによくあるハード・ボイルドな浪人者を時代の典型としてうち立てる」と語っている<ref>{{Cite news |title=時代劇に打込む黒澤監督 |newspaper=[[読売新聞]]夕刊 |date=1956-05-21}}</ref><ref>{{Cite book |和書 |author=鈴木義昭 |date=2016-8 |title=「世界のクロサワ」をプロデュースした男 本木荘二郎 |publisher=山川出版社 |isbn=9784634150942 |page=203}}</ref>。本木の発言のように、本作の設定は[[ダシール・ハメット]]の[[ハードボイルド]]小説『[[血の収穫]]』を参考にしており{{Sfn|都築|2010|p=307}}、黒澤も「ほんとは断らなければいけないぐらい使ってるよね<ref>{{Cite book |和書 |title=黒澤明語る |date=1995-8 |publisher=ベネッセコーポレーション |series=福武文庫 |isbn=9784828857350 |page=39}}</ref>」と語っている。
撮影は[[1961年]]1月14日から4月16日まで行われた<ref name="メモ">「製作メモランダ」({{Harvnb|全集5|1988|p=435}})</ref>。タイトルバックは[[甲府市]]で[[ロケーション撮影]]が行われ、馬目宿は[[東宝スタジオ|東宝撮影所]]の「農場オープン」と呼ばれたオープンセットに作られた<ref name="メモ"/>{{sfn|丹野|1998|p=59}}。4月17日にダビング作業を開始し、封切り5日前の4月20日に検定試写をして完成した<ref name="メモ"/>。撮影は[[大映]]から招かれた[[宮川一夫]]が担当し、撮影助手に[[斎藤孝雄]]、セカンド撮影助手に[[木村大作]]が付いた<ref name="佐藤解説">[[佐藤忠男]]「作品解題―『用心棒』」({{Harvnb|全集5|1988|pp=365-367}})</ref><ref>「製作余話」({{Harvnb|全集5|1988|p=405}})</ref>。
== スタイル ==
黒澤が「映画の楽しさ、面白さを思い切り出したものにしたかった<ref>{{Cite journal |和書|author=黒澤明 |title=わが映画人生の記 |date=1963 |publisher=キネマ旬報社 |journal=キネマ旬報4月号増刊 黒澤明 その作品とその顔 |page=62}}</ref>」と語る本作は、理屈抜きの娯楽映画として作ることを初めから念頭に置いていた{{Sfn|都築|2010|p=307}}<ref name="自作を語る">「黒澤明、自作を語る―用心棒」(『世界の映画作家3 黒澤明』キネマ旬報社、1970年)。{{Harvnb|キネマ旬報|2010|pp=54-56}}に所収</ref>。黒澤は理屈を考えだすと作品全体が崩れてしまうため、我を忘れたような気持ちで作ることで、活動大写真のような作品を狙ったという{{Sfn|都築|2010|p=307}}<ref name="自作を語る"/>。黒澤は徹底的に娯楽を追求したことについて、次のように語っている。
{{Quotation|『用心棒』はむしろある意味では喜劇です。だいたいこんなばかな話はない。(中略)ともかくある意味でメチャクチャなんだ。ドラマだって、分析していったら穴だらけでしょう。それをただ一気に、おもしろがらせておしまいまで見せてしまう。その徹底的な楽しさだけを追求してゆく作品、それもまた映画なのだと思いました。|「黒澤明、自作を語る」<ref name="自作を語る"/>}}
そのため設定も時代考証を二の次にし、伝統的なチャンバラ映画における身分関係や忠義などの封建的要素も排除して、大胆に時代劇映画の形式から逸脱した<ref name="大系2解説"/>{{Sfn|都築|2010|p=307}}<ref>{{Cite book |和書 |author=佐藤忠男|title=日本映画の巨匠たちⅡ |publisher=学陽書房 |date=1996-11 |isbn=9784764130418 |page=265}}</ref>。[[三船敏郎]]演じる主人公の桑畑三十郎は、[[侍]]の規則ずくめの行動を無視し、心理的に深追いせずに行動中心のハードボイルド的な人物として描いている{{Sfn|都築|2010|p=307}}。衣装デザインは黒澤自らが手がけ、[[仲代達矢]]演じる新田の卯之助に[[スコットランド]]製のマフラーを巻かせるなど、登場人物の造形を優先させている{{Refnest|group="注釈"|卯之助の持つ回転拳銃は[[スミス&ウェッソン]]モデルNo.1だが、生産は[[1857年]]以降なので、幕末であれば時代が合う。{{要出典|範囲=劇中では空砲を装填した実物が用いられた。|date=2020年9月}}}}<ref name="大系2解説"/><ref>『[[サライ (雑誌)|サライ]]』([[小学館]])1999年2月4日号 20頁。</ref>。宿場町のオープンセットでは、ヤクザの喧嘩を派手に描くため、道幅を江戸時代のそれより広くとっている{{Sfn|都築|2010|p=307}}<ref name="野上">{{Citation|和書 |author=[[野上照代]] |date=2014-1 |title=もう一度 天気待ち 監督・黒澤明とともに |publisher=草思社 |isbn=9784794220264 |pages=119-122}}</ref>。そのセットに大量の砂を撒き、[[セスナ]]のプロペラ1基を含む東宝の扇風機を総動員して風を起こし、[[西部劇]]のように空っ風が吹き、砂埃が舞う光景を作った<ref name="野上"/>{{sfn|丹野|1998|p=136}}。
本作ではそれまでの[[東映]]時代劇に象徴される[[歌舞伎]]的な立ち回りではなく、リアルな殺陣を追求した。黒澤は「いままでのチャンバラを見てると、斬られるのを待ってる、みたいにノンキでしょう。とにかくいっぺん本式の立ち回りやってみようじゃないか<ref name="自作を語る"/>」と述べている。殺陣師の[[久世竜]]は暴力的で荒々しい殺陣を取り入れた{{Sfn|ガルブレイス4世|2015|p=363}}。三十郎は一人につき二回斬っているが、これは黒澤が一度斬ったぐらいでは止めを刺せないと考えたためである<ref name="自作を語る"/>{{Sfn|都築|2010|p=311}}。また、刀の斬殺音は本作で初めて取り入れられた<ref name="大系2解説"/>。これは黒澤が「人を斬ればやっぱり音がするものだろうな」と効果担当の[[三縄一郎]]に相談を持ちかけたのがきっかけで生まれた{{Sfn|研究会|1999|p=222}}。三縄はいろいろな肉を切って試したが、牛や豚は肉が軟かくて骨らしい感じが出ず、最終的に[[鶏肉]]に割り箸を突き刺し、それを斬ったり叩いたりして音を作り出した{{Sfn|研究会|1999|p=222}}{{sfn|丹野|1998|p=139}}。
従来の時代劇にはない残酷な描写も取り入れている。オープニングで人間の手首を咥えた[[野良犬]]が登場するシーンや、序盤で三十郎が凶状持ちの腕を切り落とすシーンがそれである。前者のシーンは、黒澤が撮影現場に落ちていた手袋を、一瞬だけ人間の手首と見間違えたというエピソードがヒントになったという<ref name="野上"/>。これらの手首や腕は、ヤクザの子分役で出演した[[大橋史典]]が[[ゴム]]で作り、黒澤はあまりのリアルさに気持ち悪がったという<ref name="野上"/>{{sfn|丹野|1998|p=128}}。血しぶきの描写も一度だけ使用しているが、夜間シーンで画面が暗く血糊の量も少ないため目立ってはいない。そのため黒澤作品で初めて血しぶきの演出を行ったのは続編の『[[椿三十郎]]』だと誤解されている。
撮影には[[望遠レンズ]]を多用することで、殺陣の迫力やスピードを効果的に見せている{{Sfn|研究会|1999|p=360}}{{Sfn|都築|2010|p=259}}。黒澤は250~500ミリの望遠レンズで三船の立ち回りを撮影すると、表情がはっきり見えてアクションもより速く見えると語っている<ref name="自作を語る"/>。黒澤がそのシーンのフィルムを編集で見ると、何も映っていないコマがあり、びっくりして映写してみると、ちゃんと見えたという<ref name="自作を語る"/>。撮影は宮川がメインだが、複数のカメラを使用するマルチカム方式で撮影するため、斎藤がサブとしてもう1台のカメラを担当した<ref name="佐藤解説"/>。斎藤は黒澤に「宮川が撮影した分だけで映画ができるから、お前は好きなようにやれ」と言われ、500ミリの望遠レンズを使って自由にかつ大胆に撮影し、完成作品にも斎藤の撮影分が多く使用された<ref name="佐藤解説"/>{{Sfn|ガルブレイス4世|2015|p=366}}<ref>「黒澤明・創ると云う事は素晴らしい~超弩級時代劇誕生」(本作DVDの特典映像)</ref>。
==
[[1961年]]4月25日、本作は日本国内で劇場公開された<ref name="メモ"/>。同時上映作品は[[森繁久彌]]主演の『[[社長道中記]]』である。国内配給収入は3億5100万円で、同年度の邦画配給収入で4位にランクした{{Sfn|85回史|2012|pp=180,188}}。[[アメリカ合衆国|アメリカ]]では、同年9月にセネカ・インターナショナルの配給により、英語字幕版と吹き替え版の両方で公開された{{Sfn|ガルブレイス4世|2015|pp=369-372}}。
==
本作は第35回[[キネマ旬報ベスト・テン]]で2位に選ばれる高評価を受けた{{Sfn|85回史|2012|pp=180,188}}。海外でも高く評価されており、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の映画批評家[[ロジャー・イーバート]]は本作に最高評価の星4つを与え、自身が選ぶ最高の映画のリストに加えている<ref>{{Cite web|url=https://www.rogerebert.com/reviews/great-movie-yojimbo-1961 |title=Reviews: A fistful of samurai |website=RogerEbert.com|language=英語|accessdate=2020/9/4}}</ref>。[[フランシス・フォード・コッポラ]]は、[[2012年]]に[[英国映画協会|BFI]]の映画雑誌[[:en:Sight & Sound|サイト・アンド・サウンド]]が発表した「{{仮リンク|史上最高の映画ベストテン|en|Sight & Sound#The Sight & Sound Poll of the Greatest Films of All Time}}」の監督投票で、本作をベスト映画の1本に投票した<ref>{{Cite web |url= https://www.bfi.org.uk/films-tv-people/4ce2b6bb57fdc/sightandsoundpoll2012 |title=Votes for Yojimbo (1961) | website=BFI |language=英語 |accessdate=2020年9月4日}}</ref>。映画批評集積サイトの[[Rotten Tomatoes]]には40件のレビューがあり、批評家支持率は95%で、平均点は8.84/10、観客支持率は96%となっている<ref>{{Cite web |url=https://www.rottentomatoes.com/m/yojimbo |title=YOJIMBO | website=[[Rotten Tomatoes]] |language=英語 |accessdate=2020年9月4日}}</ref>。
[[2008年]]に[[イギリス]]の映画雑誌[[エンパイア (雑誌)|エンパイア]]が発表した「歴代最高の映画500本」で95位にランクした<ref>{{Cite web |url=https://www.empireonline.com/movies/features/500-greatest-movies/ |title=The 500 Greatest Movies Of All Time | website=Empire |language=英語 |accessdate=2020年8月4日}}</ref>。[[2005年]]に[[タイム (雑誌)|タイム]]誌が発表した「史上最高の映画100本」にも選出されている<ref>{{Cite web|url=https://www.filmsite.org/timemagazinegreats5.html|title=All-Time 100 Best Movies by Time Magazine|website=Filmsite.org|language=英語|accessdate=2020/8/4}}</ref>。日本では、[[1989年]]に[[文藝春秋]]が発表した「大アンケートによる日本映画ベスト150」で17位、[[1999年]]に[[キネマ旬報]]が発表した「オールタイム・ベスト100 日本映画編」で19位{{Sfn|85回史|2012|p=588}}、[[2009年]]に同誌が発表した「オールタイム・ベスト映画遺産200 日本映画篇」で23位<ref>{{Cite web |url=http://www.kinejun.jp/special/90alltimebest/index.html |archiveurl=https://web.archive.org/web/20091215171829/http://www.kinejun.jp/special/90alltimebest/index.html |archivedate=2009-12-15 |title=「オールタイム・ベスト 映画遺産200」全ランキング公開 |website=[[キネマ旬報映画データベース]] |accessdate=2020年9月4日}}</ref>にランクした。
=== 受賞とノミネートの一覧 ===
{| class="wikitable" style="font-size: 95%"
|- style="background:#b0c4de; text-align:center;"
! 賞 !! 部門 !! 対象 !! 結果 !! 出典
|-
|rowspan="2"|[[ヴェネツィア国際映画祭]]||[[金獅子賞]]||[[黒澤明]]||{{nom}}||rowspan="2"|<ref>{{Cite web |url=https://www.imdb.com/title/tt0055630/awards?ref_=tt_awd |title=Awards - Yojimbo |website=IMDb |language=英語 |accessdate=2020年9月4日}}</ref>
|-
|[[ヴェネツィア国際映画祭 男優賞|男優賞]]||[[三船敏郎]]||{{won}}
|-
|[[第34回アカデミー賞|アカデミー賞]]||[[アカデミー衣裳デザイン賞|衣裳デザイン賞]]||[[村木与四郎]]||{{nom}}||<ref>{{Cite web |url=https://www.oscars.org/oscars/ceremonies/1962 |title=THE 34TH ACADEMY AWARDS | 1962 |website=Oscars.org |language=英語 |accessdate=2020年9月4日}}</ref>
|-
|rowspan="2"|[[キネマ旬報ベスト・テン]]||日本映画ベスト・テン||||{{draw|2位}}||rowspan="2"|{{Sfn|85回史|2012|pp=180,188}}
|-
|男優賞||三船敏郎||{{won}}
|-
|[[ブルーリボン賞 (映画)|ブルーリボン賞]]||主演男優賞||三船敏郎||{{won}}||<ref>{{Cite web |url=https://web.archive.org/web/20130121074807/http://cinemahochi.yomiuri.co.jp/b_award/1961/ |archiveurl=http://cinemahochi.yomiuri.co.jp/b_award/1961/ |archivedate=2013/1/21 |title=ブルーリボン賞ヒストリー 第12回(1962年1月25日)|website=シネマ報知 |accessdate=2020年9月4日}}</ref>
|-
|都民映画コンクール||銀賞||||{{won}}||{{Sfn|研究会|1999|p=394}}
|-
|日本映画記者会賞||男優賞||三船敏郎||{{won}}||{{Sfn|研究会|1999|p=394}}
|}
== 影響とリメイク ==
[[1964年]]公開の[[セルジオ・レオーネ]]監督の[[マカロニ・ウエスタン]]『[[荒野の用心棒]]』は、本作を非公式に[[リメイク]]した作品である。[[1963年]]に本作を鑑賞したレオーネがこれを[[西部劇]]に作り変えようとして制作した{{Sfn|ガルブレイス4世|2015|pp=369-372}}。しかし、ストーリーが酷似していることから、東宝は黒澤や菊島とともに[[著作権侵害]]で告訴した<ref name="大系2解説2">「解説・世界のクロサワと挫折―『荒野の用心棒』」({{Harvnb|大系2|2009|pp=705-706}})</ref><ref name="盗作">「『用心棒』の盗作事件」(『映画年鑑 1967年版』)。{{Harvnb|大系2|2009|pp=378-380}}に所収</ref>。黒澤もレオーネに権利料の支払いを求める手紙を送ったが、レオーネは黒澤から手紙をもらったことに感激し、周りの人たちに見せびらかしていた{{Sfn|ガルブレイス4世|2015|pp=369-372}}。最終的にイタリア側が盗作を認めたため日本側が和解に応じ、交渉には[[川喜多長政]]がかかわった<ref name="大系2解説2"/>。[[1965年]]11月に著作権保有者の黒澤と菊島は、『荒野の用心棒』の日本・[[台湾]]・[[大韓民国|韓国]]の配給権と、世界配給収入の15%を受け取ることでイタリア側と合意した<ref name="盗作"/>。これを受けて東宝は、黒澤と菊島が日本配給権を獲得した『荒野の用心棒』を傍系の[[東宝東和|東和]]を通じて配給し、同年11月25日に公開した<ref name="盗作"/>。
[[1966年]]公開の[[セルジオ・コルブッチ]]監督のマカロニ・ウエスタン『[[続・荒野の用心棒]]』も本作を下敷きにしているが、レオーネに『荒野の用心棒』として翻案するアイデアを提案したのはコルブッチだった<ref>{{Cite web |url=https://www.thecinema.jp/article/886 |date=2020/2/3|author=なかざわひでゆき |title=これが不滅のマカロニ・ヒーロー、ジャンゴの原点だ!『続・荒野の用心棒』 |website=ザ・シネマ |accessdate=2020年9月4日}}</ref>。また、[[1996年]]には[[ウォルター・ヒル]]監督の『[[ラストマン・スタンディング]]』でリメイクされた。この作品は[[1998年]]11月15日に『[[日曜洋画劇場]]』でテレビ放送され、黒澤と親交の深かった[[淀川長治]]の最後の解説作品となった。
リメイクではないが、[[1992年]]公開の[[ケヴィン・コスナー]]主演作『[[ボディガード (1992年の映画)|ボディガード]]』で、主人公たちが映画館で見る作品として本作が登場し、1シーンがそのまま使われている。作品のタイトル自体が本作のアメリカ公開時の英題であり、他にも劇中で本作を含む黒澤作品へのオマージュが見られる。
三船は他監督の作品でも三十郎と同様の役柄を演じている。[[1970年]]公開の[[岡本喜八]]監督作『[[座頭市と用心棒]]』では、三船が同じような衣装で用心棒として登場するが、役名は佐々大作となっており、役作りも異なる。同年公開の[[稲垣浩]]監督作『[[待ち伏せ (映画)|待ち伏せ]]』では本名不明の用心棒{{Refnest|group="注釈"|劇中では「名前は諸国を放浪している間に忘れた」と語っている。}}を演じている。[[1971年]]公開の[[テレンス・ヤング]]監督作『[[レッド・サン]]』では日本使節団の一員の侍役を演じたが、随所に三十郎を彷彿とさせるシーンが見られる。
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{Reflist|group="注釈"}}
=== 出典 ===
{{Reflist|2}}
== 参考文献 ==
* {{Cite book |和書 |author=スチュアート・ガルブレイス4世|title=黒澤明と三船敏郎|publisher=亜紀書房|date=2015-10|isbn=9784750514581 |ref={{SfnRef|ガルブレイス4世|2015}} }}
* {{Cite book |和書 |author=黒澤明 |date=1988-3 |title=全集黒澤明 第5巻 |publisher=[[岩波書店]] |isbn=978-4000913256 |ref={{SfnRef|全集5|1988}} }}
* {{Citation |和書 |editor=黒澤明研究会 |date=1999-12 |title=黒澤明 夢のあしあと |series=MOOK21シリーズ |publisher=[[共同通信社]] |isbn=9784764130418 |ref={{SfnRef|研究会|1999}}}}
* {{Citation |和書 |editor=丹野達弥 |date=1998-10 |title=村木与四郎の映画美術「聞き書き」黒澤映画のデザイン |publisher=フィルムアート社 |isbn=4845998858 |ref={{SfnRef|丹野|1998}} }}
* {{Cite book |和書 |author=[[都築政昭]]|title=黒澤明 全作品と全生涯 |publisher=[[東京書籍]]|date=2010-03|isbn=9784487804344 |ref={{SfnRef|都築|2010}} }}
* {{Citation |和書 |editor=[[浜野保樹]]|title=大系黒澤明 第2巻|publisher=[[講談社]]|date=2009-12 |isbn=9784062155762 |ref={{SfnRef|大系2|2009}} }}
* {{Citation |和書 |editor=|date=2010-4 |title=キネマ旬報セレクション 黒澤明 |publisher=[[キネマ旬報社]] |isbn=9784873763293 |ref={{SfnRef|キネマ旬報|2010}} }}
* {{Cite book |和書|editor=|date=2012-05|title=キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011|series=キネマ旬報ムック|publisher=[[キネマ旬報社]]|isbn=978-4873767550|ref={{Harvid|85回史|2012}}}}
=== 関連文献 ===
* 黒澤プロダクション編『用心棒 スチール写真』[[小学館]]〈[[小学館文庫]]〉、1999年5月。ISBN 9784094167313。
* 都築政昭『黒澤明と「用心棒」 ドキュメント・風と椿と三十郎』[[朝日ソノラマ]]、2005年11月。ISBN 9784257037217
== 外部リンク ==
{{
* {{jmdb title|1961|ck002050}}
* {{Allcinema title|87948|用心棒}}
* {{Kinejun title|20222|用心棒}}
* {{Amg movie|55840|
* {{IMDb title|0055630|
* {{mojo title|yojimbo|Yojimbo}}
* {{Rotten-tomatoes|yojimbo|Yojimbo}}
{{黒澤明監督作品}}
{{DEFAULTSORT:ようしんほう}}
[[Category:1961年の映画]]
[[Category:日本の剣戟映画]]
[[Category:時代劇映画]]
[[Category:ボディーガードを題材とした映画作品]]
[[Category:黒澤明の監督映画]]
[[Category:佐藤勝の作曲映画]]
[[Category:日本の白黒映画]]
[[Category:東宝製作の映画作品]]
[[Category:三船敏郎]]
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