「地球のエネルギー収支」の版間の差分

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[[Image:NASA earth energy budget ja.gif|thumb|250px|right|地球のエネルギー収支を簡略化した図(NASAによる)]]
[[地球]]に入ってくる全てのエネルギーと地球から出ていく全てのエネルギーは、'''地球のエネルギー収支'''という1つの物理的なシステムと考えることができる。地球が得るエネルギーの合計と放出するエネルギーの合計は等しく、均衡が保たれている。
 
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前述の「失うエネルギー」とは、地球の大気が得たエネルギーが長い時間をかけて必ず宇宙へ放射されることを前提としており、「失うエネルギー」から除いた地熱や潮汐によるエネルギーもやがて宇宙へ放射されるため、結局は収支は0となる。
 
大気が「得るエネルギー」が「失うエネルギー」を上回れば、エネルギーのうち[[熱]]に変わる量も相対的に増えて、地表付近の気温や海面温度の上昇という形で現れることとなる。逆に、「得るエネルギー」が「失うエネルギー」を下回れば、同様にエネルギーのうち[[熱]]に変わる量が相対的に減り、温度が低下すると考えられる。このような収支バランスの崩れは「[[放射強制力]]」という言葉で定義される。得るエネルギーが失うエネルギーを上回れば正(+)、逆の場合は負(-)の放射強制力が働いていると表現される。
 
「得るエネルギー」の変化をもたらす原因としては、太陽活動の変化が最も大きい。11年周期での太陽活動の変化は微小なものだが、過去には太陽活動の大規模な変化があり気候の変化をもたらしたことがあると考えられている。「失うエネルギー」の変化をもたらすのは、アルベドの変化が大きい。氷はアルベドが大きいため、氷床の面積が広くなるとその分反射するエネルギーが増えることになる。
 
[[温室効果]]は、エネルギー収支の量に影響を及ぼすことはない。温室効果は、[[温室効果ガス]]が熱に変わりやすい赤外線などの電磁波を吸収しやすいために、大気や地球表面が得たエネルギーが熱として留まる現象であり、放射の量の変化は起こさない。温室効果の変化(温暖化や寒冷化)とは『「得たエネルギー」のうち熱に変わる割合の変化』ということである。これは、[[日傘効果]]なども同様である。<!--[[温室効果]]による-->
 
=== 人為的原因による収支 ===
石油や石炭、木材などの[[温室効果ガス化石燃料]]の増加燃焼陸地の土地利用・海面の状態の変化(砂漠化や海氷面積の減少など)などの人為的原因も、エネルギー収支の総量をわずかに変えていると考えられている。IPCCの調査([http://www.grida.no/climate/ipcc_tar/wg1/figspm-3.htm リンク])によれば、[[2000年]]のエネルギー収支の総量は、[[1750年]]に比べて約2.4 W m<sup>-2</sup>(太陽放射により地球の大気が得るエネルギーの1%弱に当たる)増加したとされる。
 
== 出典 ==