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Shaggy (会話 | 投稿記録)
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外来語や濁直音といったものを除外
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'''濁音''' (だくおん) とは、[[日本語]]の[[モーラ音節]]のうち[[濁点]](゛)をつけた[[仮名]]で表されるモーラ総称である。濁音は'''濁直音'''と'''濁[[拗音]]'''に分類されるをいう
 
== 概要 ==
清音・濁音の区別は中国の伝統的な言語学である[[音韻学]]の[[清濁]]に由来している。中国音韻学ではナ行・マ行の子音([[鼻音]])やラ行子音([[流音]])、ヤ行・ワ行の子音([[半母音]])も濁音に分類されている。
伝統的には次のような[[五十音図]]において[[清音]]に対立するガザダバ行の音である。
 
濁直音は、[[清音|清直音]](濁点も[[半濁点]]も付けない仮名1文字で表される、[[撥音]]と[[促音]]を除くモーラ)のうち頭子音が無声音であるものの仮名文字に濁点を付けて表されるモーラである。また、「ヴ」で表されるモーラも濁点をつけた仮名文字1文字で表されるモーラという意味で濁直音に含めることができる。具体的には、濁直音は次の各音である。<br/>
 
:[[か|が]] - [[き|ぎ]] - [[く|ぐ]] - [[け|げ]] - [[こ|ご]]
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:[[た|だ]] - [[ち|ぢ]] - [[つ|づ]] - [[て|で]] - [[と|ど]]
:[[は|ば]] - [[ひ|び]] - [[ふ|ぶ]] - [[へ|べ]] - [[ほ|ぼ]]
:[[ヴ]]
 
またその[[拗音]]を含むことがある。
濁拗音は濁開拗音、濁合拗音およびその他の濁拗音に分類される。濁開拗音は濁直音の「い」段音の仮名文字1文字に小文字の「ゃ、ゅ、ょ」の内の1文字をつけて2文字で表され、濁合拗音は「ぐ」に小文字の「ゎ」を付けた「ぐゎ」で表される。また、外来音などを表記するため、濁直音の「い」段音の仮名文字1字に小文字の「ぇ」を付けた「ぎぇ」などを濁開拗音に含めることがある。その他、外来音、方言などを表記するため、「い」段音以外の濁直音の仮名文字1文字に小文字の「あ」行音や「や」行音1文字を付けたモーラもその他の濁拗音として濁拗音に含めることができる。具体的には、濁拗音は次の各音である(「デァ」など使用頻度の低いものは除いた)。<br/>
:ぎゃ - ぎゅ - ぎぇ - ぎょ
:じゃ - じゅ - じぇ - じょ
:ぢゃ - ぢゅ - ぢぇ - ぢょ
:びゃ - びゅ - びぇ - びょ
:ぐゎ
 
ただし、ガ行は{{Ipa|ɡ}}のガ行音と{{Ipa|ŋ}}のガ行鼻音([[鼻濁音]])の区別があるが、表記上、両者は区別されない。また現代では「じ」と「ぢ」、「ず」と「づ」の[[四つ仮名]]は同音である。
 
また近年、定着しつつある[[外来語]]の音で濁点を使って表記するものを濁音に入れるかについては議論の余地がある。それは五十音図のようなきっちりとした体系をもっておらず、各音の定着度にばらつきが見られるからである。
 
== 名称の由来 ==
清音・濁音の区別は中国の伝統的な言語学である[[音韻学]]の[[清濁]]に由来している。中国音韻学ではナ行・マ行の子音([[鼻音]])やラ行子音([[流音]])、ヤ行・ワ行の子音([[半母音]])も濁音に分類されている。
 
== 音声学的な特徴 ==
:ぎゃ - ぎゅ - ぎぇ - ぎょ
これらの音は、原則として[[清音]]の[[子音]]をそのまま[[有声音|有声化]]したものに相当するが、実際の発音上はいくつかの例外が存在する。
:じゃ - じゅ - じぇ - じょ
:ぢゃ - ぢゅ - ぢぇ - ぢょ
:びゃ - びゅ - びぇ - びょ
:ぐゎ
:ヴァ - ヴィ - ヴュ - ヴェ - ヴォ
:ズィ
:ディ - デュ
:ドゥ
 
#濁音は一般に文節頭または[[撥音]](「[[ん]]」)の後では有声[[破裂音]]または[[破擦音]]に、撥音の後を除く文節中または文節尾では有声[[摩擦音]]またはそれに近い音(口腔内を閉鎖する上下の調音器官の密着度の弱いあるいは密着時間の短い有声破裂音または破擦音)に発音される傾向がある。ただし、が ぎ ぐ げ ご および ぎゃ ぎゅ ぎぇ ぎょ の発音には上記のほかに[[鼻音]]も存在し、これを特に[[鼻濁音]]と呼ぶ。普通の濁音と鼻濁音の間に意味上の違いはないため、鼻濁音を使う話し手と使わない話し手があるが、使う(使い分ける)話し手は、文節頭では普通の濁音、即ち上述の有声破裂音を、そのほかでは撥音の後も含めて鼻濁音、即ち鼻音を使用する。なお、方言によっては文節中および文節尾の濁音が[[前鼻音]]化することがあり、その場合は文節頭より文節中・文節尾の濁音の方が閉鎖の密着度の強い破裂音または破擦音になることがある。
これらの音は、原則として[[清音]]の子音をそのまま有声化したものに相当するが、実際の発音上はいくつかの例外が存在する。
#濁音は一般に文節頭または[[撥音]](「[[ん]]」)の後では有声[[破裂音]]または[[破擦音]]に、撥音の後を除く文節中または文節尾では有声[[摩擦音]]またはそれに近い音(口腔内を閉鎖する上下の調音器官の密着度の弱いあるいは密着時間の短い有声破裂音または破擦音)に発音される傾向がある。ただし、が ぎ ぐ げ ご および ぎゃ ぎゅ ぎぇ ぎょ の発音には上記のほかに[[鼻音]]も存在し、これを特に[[鼻濁音]]と呼ぶ。普通の濁音と鼻濁音の間に意味上の違いはないため、鼻濁音を使う話し手と使わない話し手があるが、使う(使い分ける)話し手は、文節頭では普通の濁音、即ち上述の有声破裂音を、そのほかでは撥音の後も含めて鼻濁音、即ち鼻音を使用する。なお、方言によっては文節中および文節尾の濁音が[[前鼻音]]化することがあり、その場合は文節頭より文節中・文節尾の濁音の方が閉鎖の密着度の強い破裂音または破擦音になることがある。
#ば び ぶ べ ぼ および びゃ びゅ びょ は、は ひ ふ へ ほ および ひゃ ひゅ ひょ の古い発音の音を有声化したものに相当する。即ち、これらの清音の頭子音が無声両唇破裂音であったり無声両唇摩擦音であったりしたものを有声化して、有声両唇破裂音または有声両唇摩擦音としたものであるので、この濁音を無声化すると、元の[[半濁音]]の ぱ ぴ ぷ ぺ ぽ および ぴゃ ぴゅ ぴょ (無声両唇破裂音)または清音の ふぁ ふぃ ふ ふぇ ふぉ および ふゃ ふゅ ふょ (無声両唇摩擦音)となる。
#一部の[[方言]]を除き、じ と ぢ あるいはじゃ行とぢゃ行の同一段同志を音の上で区別しない。どちらにも、し またはしゃ行各段の音を有声化した音(有声摩擦音)またはそれに近い音(閉鎖の弱い有声破擦音)と ち またはちゃ行各段の音を有声化した音(有声破擦音)の両方が使われる。
#一部の方言を除き、ず づ を音の上で区別しない。どちらにも、す を有声化した音(有声摩擦音)またはそれに近い音(閉鎖の弱い有声破擦音)と つ を有声化した音(有声破擦音)の両方が使われる。
#「[[ヴ]]」および「ヴァ」、「ヴィ」、「ヴュ」、「ヴェ」、「ヴォ」は外来音である[[唇歯音|唇歯摩擦音]]{{IPA|v}}およびそれを頭子音とする音節を表記するために便宜的に「ウ」に濁点をつけて使われる濁音であって、清音の「ウ」とは直接の関係はない。一般に外来語の表記には片仮名が使用されるため、通常は片仮名の「ヴ」が使われ、平仮名の「ゔ」は使われない。後ろに「あ行」や「や行」の小文字を伴わない「ヴ」(即ち直音)は子音{{IPA|v}}を表す場合と音節{{IPA|vu}}を表す場合がある。
 
== 表記 ==
現代の表記では濁音は対応する清音に[[濁点]](゛)を付して書かれるが、歴史的には濁点を使用していない表記も存在している。また、[[変体仮名]]の清音に濁点をつけて対応する濁音を表す表記も存在している。
 
== 連濁 ==
2つの語を組み合わせて熟語を作るときに後続の清音が濁音化する場合があり[[連濁]]と呼ぶ。
:例:もち+こめ→もちごめ(餅米)、こい+ふみ→こいぶみ(恋文)