「ピットロード」の版間の差分

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また、米[[ゴールドメダル]]社のディテールアップパーツを輸入販売しているほか、英[[ホワイトエンサインモデルズ]]のキット(主に1/700航空機)を細々と輸入していたりもする。
 
しかし、熱心であるが故に他社との対立があるほか、マニア向け商品が多いために製品が高すぎるといった自社内の爆弾もあり、内憂外憂の状態ではある(詳しくは後述する「[[ピットロード#今後の課題|今後の課題]]」を参考されたし)。
 
== 沿革 ==
=== 前史(1978~1984) ===
* 1978年夏、それまで鉄道模型のストラクチャーキットを中心に発売していた[[グリーンマックス]]が、フレッチャー級駆逐艦を皮切りにスカイウェーブシリーズと銘打って突如1/700の艦船・航空機キットの発売を開始する。
* グリーンマックスは市場に広く出回っていた[[ウォーターラインシリーズ]]とは非競合の方針を取り、米独英の高速魚雷艇やLST・独Z級駆逐艦といった艦船に加え、Uボートブンカーや海軍基地などのジオラマアクセサリー、航空機やAFVに至る多種多様でマニアックなラインナップを1/700で揃えてゆく。シャープでカッチリしたモールドとも相まってコアな艦船モデラーの支持を受ける。
 
=== 略歴(1985~) ===
* 1980年代前半、グリーンマックスは本体である鉄道模型部門の業績が一時的に悪化したのを契機に事業の整理を図り、スカイウェーブシリーズの販売権を経営者同士が縁戚関係である神奈川の模型店・ピットロード東名に譲渡する。そして、旧グリーンマックス製品は1985年冬よりピットロード(東名)名義で発売が再開され、また模型店はピットロード製品のショールーム兼直営店となる。以降、ピットロードはそれまでほとんどキットが無かった外国の大戦艦艇や現用艦を積極的に発売する。
* 1987年、艦船モデラーが長く待ち望んでいた、1/700日本海軍艦艇装備品の共通パーツセット(I)を発売する。メーカーによってバラバラだったウォーターラインの装備パーツを精巧に共通化させるキットとして人気を得た(当時カートン単位で買い占めた艦船モデラーもいたという)。
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* 1993年、製品の金型をレンタル契約していた金型屋が経営危機に陥り、この際に金型が国内外に流失して外国艦艇のインジェクションキットの一部が生産中止に追い込まれる。護衛空母ボーグや独英の駆逐艦など[[田宮模型]]が買い取ってウォーターラインシリーズに組み入れたものや、上海ドラゴンモデルが買い取った金型もあるが、米インディペンデンス級軽空母のように所在が判らなくなってしまったものもある。
* 1994年12月、1/700で駆逐艦陽炎発売、これ以降ウォーターラインシリーズとの製品競合が本格化する。当初はウォーターラインの既製品をはるかにしのぐ超精巧で綺麗なモールドが高い人気を得る。
* しかし、1992年に[[フジミ模型]]が[[静岡模型教材共同組合]]を脱退し、残った3社がウォーターラインの欠けた製品群を補う形で新製品を発売、それは眠っていた潜在需要を掘り起こす形になり、やがてシリーズ初期に発売された日本艦旧製品のリメイクに発展する。リメイク製品の種類が増えるにつれてピットロードとの製品内容の差は急速に縮小し、逆にこれまでモデラーに容認されていた、割高な価格設定や外形の捉え方の悪さといった弱点が次第に大きく捉えられるようになってゆく。また、それまでウォーターラインと競合しなかった事から、静岡模型教材共同組合とピットロードとの関係は当初は良好であったが、この日本艦の製品競合の頃から次第に関係が悪化していったといわれる。
* 1999年、ショールーム兼直営店を横浜市都筑区に移転し、「ノースポート」と改名する(現在は梶ヶ谷に戻っている)。
* 2001年からは中国の[[トランペッター (企業)|トランペッターモデル]]と業務提携し、大型艦において、基本設計は日本、金型製作及び生産は中国で行い、日本国内はピットロードが販売し、海外販売はトランペッターが行うという形を取るキットが増えている。しかしながら従来製品と比較して内容にやや見劣りする部分もあり、かつての超精巧で綺麗なモールドを支持してきたモデラーからは不満の声もわずかながら出ているという(それでも品質は静岡3社と互角以上であるが)。なお、小型艦は従来どおりに国内生産である。
* 2005年2月頃に発売した1/72スケールのAFVキット([[陸上自衛隊]]が保有する、または、していた[[戦車]]の模型)が、[[田宮模型]]が[[ミリタリーミニチュアシリーズ]]で発売したものを縮小コピーしたものであるとされる事件が主な原因で、2005年5月の静岡見本市には[[ウェーブ (模型メーカー)|WAVE]]と共に参加を拒否された(WAVEの子会社であるインターアライドは、トランペッターモデルが発売した製品を日本国内向けに輸入を行っているが、そのためといわれる)。
* 2005年、ショールーム兼直営店「ノースポート」が本社1階に移転する。
* 2006年、ノースポートが[[楽天商店市場]]に展開。
* 2006年 トランペッターモデルと共同で1/700[[アドミラル・クズネツォフ (空母)|アドミラル・クズネツォフ]]、1/700[[ニミッツ級航空母艦]]ニミッツを発売(同級リンカーンは現在開発中)。ニミッツは軍用艦としては世界最大の艦船であり、1/700スケールでもその巨大さから、有名な艦であるにもかかわらずキット化に恵まれない艦船であったが、初のキット化となった。
* 2006年5月の静岡見本市の参加をWAVEや(アカデミー社の正規代理店である)[[GSIクレオス]]と共に拒否された。理由は、[[ドラゴンモデルズ|一部]]を除く特定アジアの模型メーカーとの密接な関係がタミヤの田宮俊作の気に障ったのが原因と言われている。
* 2006年8月21日付けで、米ゴールドメダルモデルズ製エッチングパーツの卸値を上げる。ピットロードの報告によれば、原材料の高騰が主な原因としている。
* 2007年、タカラトミー・イカロス出版株式会社と共同で1/16PVC製コレクションフィギュア(萌え系美少女フィギュア)「それゆけ!女性自衛官」シリーズを開始、第一弾[[海上自衛隊]]編発売。
 
== 今後の課題 ==
ピットロードはコアな商品を数多くだしており、熱烈な客層が多いのが特徴である。しかし、それらの商品はおおむね販売数が少なくまとまる傾向が非常に強く(ロシアの巡洋艦である[[モスクワ (ミサイル巡洋艦)|モスクワ]]や同国の空母[[アドミラル・クズネツォフ (空母)|アドミラル・クズネツォフ]]と、日本海軍の戦艦である[[大和 (戦艦)|大和]]との、日本における知名度の違いを考えれば、それらは容易に想像できると思う)。そのため、商品価格が(静岡3社+フジミと比べて)非常に高いという問題点がある。これに関し、ピットロード側の主張では、「この値段でも販売数X販売価格に対しての仕入原価の割合が、すでに限界利益を割り込んでいる」という。ウォーターラインの新金型差し替えが活発になってきた今日、品質の面で(値段が安い)静岡3社らとの差が縮まっており、この価格問題は利益に直結する面でもあり、深刻な問題であろう。
 
また、新製品の発売予定の遅延も常態化している。近年ではニミッツ、リンカーンといった目玉モデルの遅延、さらには販売を公式に発表までしていた、小説「[[亡国のイージス]]」に登場した「いそかぜ」の開発停止など、製造業としての問題行動が多く、その面での不信は払拭できない状態である。ただ、最近では1/700ホーネットの発送予定日が1日早まるなど、努力はしているようである。
 
なお、食玩の原型など多角的な展開を模索しているものの、インジェクションキットはおおむね尽くした感があり、新製品はやや目新しさに欠け、ニミッツなどの目玉商品、未キット化商品を続けて発売し続けることができるかが勝負、と見られている
 
今後、業界全体の売り上げ自体が飛躍的に延びる可能性は0に近いといえる模型業界において、パイの取り合いは深刻である。ピットロードは1994年に陽炎型を発売した。これは「静岡3社は日本艦、PTは外国艦(と静岡3社が出していない日本艦)。」という垣根をピットロードのほうから破っていったものであり、明らかにパイの拡大を狙っている。しかし、これは1/700日本艦のシェアをフジミとともに独占していた静岡3社に嫌われ、さらには中国の模型会社トランペッターとの業務提携は、同国ドラゴンモデルズとの関係が強い、重鎮タミヤの田宮俊作の怒りを買うなど、他の模型会社との溝が深まっている。「他業界が不思議な目で見るほど仲が良い」とまでいわれる模型業界において、今後ピットロードが協調路線をとるのか、対立路線をとるのかは模型業界の大きな争点であろうと言われる
 
これらがピットロードが持っている問題点であり、2006年以降いかにこれらを解消していくかが大きな課題である。
 
== 直営店ノースポート ==
ピットロードは、神奈川県川崎市に直営店「ノースポート」を経営している。また、この直営店を経由しての通信販売が可能となっている。なお、ノースポートは楽天商店市場にも出店しており、こちらからの通信販売も可能である。
 
なお、ピットロード社は、ランナー(プラスチックモデルのパーツが付いている物で、キット完成後はゴミとなる)の回収を行っており、回収はノースポートで受け付けている。ただし、中国生産品は回収対象ではなく、国内生産品のランナーのみである。しかし、わざわざゴミをノースポートに持っていかないといけないため、回収状況はあまり芳しくないようである。