「中間圏」の版間の差分
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中間圏の下、成層圏では気温が高度とともに減少するのに対して、中間圏では[[対流圏]]と同じように高さとともに気圧に比例して気温が減少する。成層圏界面では[[オゾン]]濃度が高いためにオゾンが紫外線を吸収して平均約-2.5℃、高いときには0℃前後あるのが、高度とともにオゾン濃度が減少し、中間圏界面では平均約-92.5℃の低温である。したがって中間圏界面付近は通常、大気の鉛直構造の内、一番低温な部分となっている。こう見ると気温減率が激しく、中間圏でも対流圏のような[[対流]]が起こるのではないかと思うが、中間圏における平均的な気温減率は対流圏よりも小さいので、対流はすることがあっても比較的安定な状態が多く、この付近では対流圏のような[[高気圧]]・[[低気圧]]の発生も見られない。中間圏では大気密度が非常に低いために、この付近での熱構造は主に[[酸素分子]]が[[太陽]]からの[[紫外線]]を吸収し、大気を加熱することと、[[二酸化炭素]]が[[赤外線]]を放射することによる冷却の両者のつりあいによって決定している。
中間圏では面白いことに、冬よりも夏の方が温度が低い状態にある。これは冬に[[大規模波動]]による大気下層からの熱が活発に輸送されるためである。したがって、夏などは中間圏界面では-100℃以下になるので、[[夜光雲]]という特殊な薄い雲が観測されることもある。中間圏界面からさらに上層では再び高度とともに温度が上がり、[[電子]]密度もここから急激に上がり始める。これは大気に含まれる[[原子]]・[[分子]]が太陽からの[[紫外線]]による[[電離]]によって[[電子]]が増加するからである。このような中間圏よりも上にある電離状態にある層を[[熱圏]]といい、また大気が電離している層を[[電離層]]という。電離層の最下層にあたるD層は中間圏界面付近にるので中間圏でも上層は電子密度が比較的多い状態となっている。
中間圏において高・低気圧の発生はないと、前に述べたが、中間圏では大気密度が非常に小さいことから、下層からの[[プラネタリー波]]や[[長波]]などが振幅が大きい状態で伝わってくる。したがって、中間圏ではこうした[[波動]]現象が見られ、振幅が極端に大きい場所では力学的に不安定になっている部分もある。また、この波動現象はこの付近の[[大気大循環]]に大きな影響を与えていると見られる。
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