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== 概要 ==
古くは貧しい[[移民]]希望者が、[[20世紀]]に入ると政治的迫害を受けた[[亡命]]者や経済的困窮から母国を脱出する手段として用いることが多くなった。こういった者の中には[[外国人労働者|国外での就労]]を希望しての場合もある。

20世紀後半になると、各国の[[入国管理]]や[[身分証明]]制度が強化され、[[空港]]や[[港湾]]の警備体制が近代化されるとともに、[[輸送]]も輸送される物資の量的な増大に伴い隠れる手段が少ない[[コンテナ船]]が増加へと変化しているこのため[[船舶]]では船員など関係者と内通していない限り密航は不可能となっている。このため、船を密航者で占拠して密航を行う[[ボートピープル]]や[[パスポート]]の偽造などによる偽装出国が増加している。
 
その一方で航空機など船舶以外の交通機関や場合によっては国境を横断する[[鉄道]]列車や[[貨物自動車]]に隠れて便乗して来るケースも見られるが、身分証明が社会補償サービスにも就労にも、また[[医療保険]]などのような生活支援サービスの前提となるなど「正式に入国しないと就労以前に生活することも侭成らない」[[先進国]]社会では、経済難民による密航は割に合わないものともなっている。
 
== 失敗例 ==
密航では、輸送機関の旅客スペース以外に身を潜める必要があることなどから、それら輸送機関の安全が保証された快適な旅行とは異なり、過酷な状況に晒される。
* [[飛行機]]の主脚格納庫に侵入し密航を謀るケースがあったが、目的地へ到着する前に[[凍死]]している。
 
* [[コンテナ]]の内部に居住スペースを設置し密航を謀るケースがあったが、目的地へ到着する前に[[熱射病]]のため死亡している。
例えば[[飛行機]]の主脚格納庫に侵入し密航を謀ったケースでは、その場所が与圧されていないことから目的地へ到着する前に[[凍死]]している。またコンテナ船の場合では、[[コンテナ]]の内部に居住スペースを設置し密航を謀るケースがあったが、目的地へ到着する前に[[熱中症|熱射病]]のため死亡したケースもある。
 
密航の失敗の多くは、乗員などに発見されることだが、発見された場合は目的地に到着した直後に[[退去強制|強制送還]]される。古くは「海に投げ込まれた」や「[[強制労働]]させられた」などの話も物語を中心に語り継がれる所ではあるが、中には発見され[[救命ボート]]で逃走したケースもある。救命ボートは基本的に救助を待つために[[漂流]]することを前提として設計されているため、[[外洋]]などで逃走することには向いていないし、[[沿岸]]付近で逃走しても岸にたどり着きにくい。こういった逃走者の多くは、救助という形で捕まり、強制送還の憂き目に遭う。
 
== アフリカからヨーロッパへの密航 ==
近年、[[アフリカ]]から[[ヨーロッパ]]への密航者の急増が社会問題化している。経済的に発展途上国が多く、労働市場の状況が悪いアフリカ諸国から、仕事を求めてヨーロッパへの渡航を試みるものは多い。アフリカからヨーロッパへ密航するルートはおもに[[西アフリカ]]から[[スペイン]]を目指すものと、[[リビア]]から[[イタリア]]を目指すものなどがある。[[1990年代]]に[[シェンゲン協定]]が西ヨーロッパ諸国で実施され、ヨーロッパ内の国境通過が自由化されると、そこから[[ドイツ]]や[[フランス]]などの経済先進国への入国を目指そうと考える密航者が増えている。
 
1990年代になると、[[モロッコ]]から、アフリカ大陸のスペインの飛び地であるスペイン領[[セウタ]]へ密入国するアフリカ人が急増した。[[2000年]]には、セウタとモロッコとの陸上国境の[[中立地帯]]に二重の鉄条網が張り巡らされ、国境警備が厳しくなったが、海路で[[ジブダルタル海峡]]から密航する小型船が後を立たたない。
 
モロッコからヨーロッパ大陸への交易海上警備が強化されると、モロッコ沖のスペイン領[[カナリア諸島]]を目的地とする密航船増加する。100キロ以上の外洋を航海することになるため、遭難する船や、海上で命を落とす密航者も少なくない。モロッコ沿岸の取締りが強化され、[[2000年代]]半ばには、密航船の出発地が、[[モーリタニア]]沿岸、さらに[[セネガル]]沿岸へと、どんどん遠方化していく。それに伴い密航にかかわるリスクとコストは増加することになる。2006年にはセネガル沿岸からのカナリア諸島への密航者が急増し、8月までの約8ヶ月間で、約2万人が密航したといわれている。セネガルからカナリア諸島への密航には、1人当たり約40万CFAフラン(約9万円)が必要といわれている。
 
== 関連項目 ==