「分子量」の版間の差分

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'''分子量'''(ぶんしりょう、 molecular weight、molecular mass)または'''相対分子質量'''(そうたいぶんししつりょう, relative molecular mass)とは分子の相対質量を表した値であり、[[原子量]]と同様に<sup>12</sup>C=の質量に対する比の'''12.0を基準'''倍としてされる[[無次元量]]である。量記号は''M''または''M<sub>r</sub>''がSIやIUPACにより推奨されている。詳しくは分子の種類をXとして''M<sub>r</sub>(X)''である<ref>国際単位系(SI)国際文書第8版(2006) 2.1.1.6</ref>
 
<!--'''分子量'''も[[分子式]]と[[原子量]]から算出することも可能である為、[[化学式量]]と混同されやすいが前者は物理的測定量であるのに対して、後者は化学式を定量的に扱う際に使用される数値であり、本来は物理的な意味を持たない。分子量は[[物理量]]なので通常、<i>M</i>という斜体の記号で表される。
-->
<!-- 
相対論的エネルギー質量補正はオーダーが違いすぎるので無意味。割愛するのが適当 [[利用者:あら金]]
近似的には、[[分子式]]に示されている元素の原子量の総和であるが、実際には結合[[エンタルピー]]があるため、やや異なる。
-->
[[共有結晶|共有結合性固体]]、[[金属結晶|金属結合性固体]]、[[イオン結晶|イオン結合性固体]]のように分子が存在しない化合物では適当に定義した組成式で示される原子集団の相対質量である'''[[化学式量]]'''を分子量の替わりに用いて、化学反応等における'''[[物質量]]'''の関与する計算を行う。したがって、「[[物質量]]の定義における'''要素粒子(elementary entities)'''の質量」という意味においては、分子量は要素粒子として分子を指定した場合の化学式量であるとも言える。
 
分子量を含む[[化学式量]]は[[分子式]]や[[組成式]]と構成原子の原子量とから計算される。対象試料の原子量はその同位体存在比と各同位体の[[原子量|相対原子質量]]とから計算される量であり両者とも測定可能だが、通常の試料つまり天然存在比であることが明らかな試料についてはIUPACが発表している[[原子量|標準原子量]]を使用することができる。この値を[[パソコン]]や[[携帯機器|携帯端末]]で求めるには [http://molcal-web.hp.infoseek.co.jp/molcaltop.shtml 分子量計算molcal] などの利用が便利である。
 
== 分子量と物性 ==
分子が存在する場合の分子量は純物質の沸点や粘性、希薄溶液の沸点上昇や凝固点降下など様々な物性に影響を与え、逆にそれを利用して分子量を測定することもできる。
 
1個の分子が多数の繰り返しユニットから成る[[高分子]]の分子量は一般に個々の分子により異なっているので単一の値としては平均分子量しか得られない。平均分子量は平均の取り方の違いにより数平均分子量や重量平均分子量など異なる種類があるので、いかなる種類の平均分子量かを明確にしないといけない。さらに平均分子量が等しい試料でも分子量分布の形が違えばその物性は違ってくる。このような高分子の反応や合成を定量的に扱うときは、繰り返しユニットを要素とする化学式量を使うのが適切である。言い換えると高分子の物質量は繰り返しユニットを要素粒子として指定するのが適切である。
 
上記のようなマクロ試料の場合と異なり、質量分析実験や分子線実験では文字通り1個の分子(質量分析では実際はイオン)の質量という意味での分子量が測定に影響する。
 
=== 分子量が影響する物性の例 ===
分子量を[[化学式量]]として[[パソコン]]や[[携帯機器|携帯端末]]で求めるには [http://molcal-web.hp.infoseek.co.jp/molcaltop.shtml 分子量計算molcal] などの利用が便利である。
*類似構造の化合物同士、例えば直鎖アルカン同士や直鎖アルコール同士では分子量が大きいほど沸点が高い。
*同温同圧の気体中の音速は密度の-1/2乗に比例する。つまり理想気体では分子量の-1/2乗に比例する。
 
== 測定方法 ==
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いずれの方法においても、測定対象が単体の分子であるか、'''会合体'''、'''クラスター'''、全体の物性であるかを吟味する必要があり、後者の場合は測定量を補正して'''分子量'''とする。
 
== 参考文献 ==
<references />
 
[[Category:分子|ふんしりよう]]