「標識 (言語学)」の版間の差分

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ある文法機能が、特定の標識で示されるなら'''有標''' (marked) と呼び、標識を用いないで示されるなら'''無標''' (unmarked) と呼ぶ。例えば日本語の「食べる」と「食べない」では、後者には[[否定]]の標識「ない」が付いているが、前者に肯定の標識があるわけではない。このため前者は無標、後者は有標である。格標識に関しては、対格言語では主格が、また[[能格言語]]では絶対格が無標のことが多い。
 
一方、有標とは特殊と考えられるものであり、無標とは基本的ないし自然と考えられるものとすることもある。この概念を'''有標性'''(markedness)という。例えば英語のlionは[[性別|雄雌]]どちらの[[ライオン]]も表すが、lionessは雌だけである。前者が無標で後者が有標である。こちらの意味で「有標」「無標」を用いる場合、標識の有無と一致しないことがある。例えば[[ロシア語]]の女性名詞複数生格([[属格]])は標識無しで表されるが、複数主格や単数生格に比べて自然なわけではない。
 
有標・無標の概念は元々は[[プラハ学派]](プラーグ学派)の[[音韻論]]から発展してきた概念である。音韻論や文法だけでなく[[語彙論]]、[[意味論]]などの分野にも適用されている。