「幻想小曲集作品12 (シューマン)」の版間の差分

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{{クラシック音楽}}
'''幻想小曲集('''(げんそうしょうきょくしゅう)''' (Fantasiestücke) '')[[作品番号|作品]]12[[ロベルト・シューマン]]が[[1837年]]に作曲した、8曲からなる[[ピアノ]]曲集。[[作品番号]]は12。タイトルの通り、一つ一つの曲は幻想的な情緒に満ちており、それぞれに[[文学]]的な標題が付けられている<ref name="pianopedia">{{cite web
|title=Schumann - Fantasiestücke, op.12
|url=http://www.pianopedia.com/w_307_schumann.aspx
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}}</ref>。
 
=== 曲の構成 ===
発想標語はもともと[[ドイツ語]]だが、括弧内に[[日本語]][[イタリア語]]の訳を付記する。
 
; 第1曲 夕べに Des Abends [[変ニ長調]]
: '''Sehr innig zu spielen''' (非常に心を込めて弾く; Con molto sentimento)
: 3連符の伴奏の上に、もう1つ大きな単位の、アクセントの違う3連符の旋律が歌われる。つまり2拍子でありながら伴奏は2拍子、旋律は3拍子を感じさせ、それが複雑に絡み合うことで、独特の幻想味を醸し出している。
; 第2曲 飛翔 Aufschwung [[ロンド形式]] [[ヘ短調]]
: '''Sehr rasch'''(極めて速く; Molto vivo)
: 曲集の中では、最も有名なものである。力強い冒頭が印象的。内声部に情熱的な旋律が歌われる主部と、Bでは変ニ長調に転じ、軽やかに高音部で歌われる。Cでは[[変ロ長調]]になり、幾分落ち着いたものとなる。手が小さいと演奏困難で、味を出すには相当な技術が必要。
; 第3曲 なぜに Warum? 変ニ長調
: '''Langsam und zart'''(ゆっくりそして優しく; Lento e teneramente)
: 標題の通り、問いかけるような主題が2声で進行する。
; 第4曲 気まぐれ Grillen
: '''Mit Humor'''(ユーモアをもって; Con umore)
: [[スケルツォ]]の形をとる。変ニ長調であるが、[[変ロ短調]](しかも[[属和音]])で開始され、すぐに[[変ト長調]]となり、[[変イ長調]]を経て、16小節目でやっと変ニ長調が示されるなど、主部だけで十分に気まぐれ的な要素を含んでいる。中間部は変ト長調のコラールとなるが、やはり気まぐれなものである。
; 第5曲 夜に In der Nacht ヘ短調
: '''Mit Leidenschaft'''(情熱をもって; Appassionato)
: 波打つような[[アルペッジョ]]の伴奏に、断片的な旋律が顔を見せる。シューマンはこの曲集の中では最も気に入っており、クララにも最も演奏会に適した曲として薦めている。
; 第6曲 寓話 Fabel [[ハ長調]]
: '''Langsam'''(ゆっくり; Lento)
: [[フェルマータ]]を含む遅い部分と、[[スタッカート]]の速い部分が交替する。
; 第7曲 夢のもつれ Traumes Wirren [[ヘ長調]]
: '''Äußerst lebhaft'''(極めて速く; Vivacissimo)
: 音はきわめて速く、軽やかに鍵盤上を駆け巡る。それは一時の夢を見ているようである。その弾きにくさからしばしば「指のもつれ」と揶揄される。中間部は変ニ長調のコラールとなり、下属調の変ト長調で主題再現、半音下のヘ長調に戻る。
; 第8曲 歌の終わり Ende vom Lied ヘ長調
: '''Mit gutem Humor''' (適度なユーモアをもって; Con buon umore)
: [[クライスレリアーナ]]でも見られるように、シューマンは曲集の最後で度々[[ユーモア]]を用いた。オクターブが折り重なって音楽ができあがっていく様を、シューマン自身は「結婚式と葬式の鐘が入り混じって聞こえてくる」と表現した。コーダは瞑想的なコラールとなり、静かに鐘の余韻が響いて、終わる。
 
; 第2曲 飛翔 Aufschwung [[ロンド形式]] [[ヘ短調]]
==脚注==
: '''Sehr rasch'''(極めて速く; Molto vivo)
{{脚注ヘルプ}}
: 曲集の中では、最も有名なものである。力強い冒頭が印象的。内声部に情熱的な旋律が歌われる主部と、Bでは変ニ長調に転じ、軽やかに高音部で歌われる。Cでは[[変ロ長調]]になり、幾分落ち着いたものとなる。手が小さいと演奏困難で、味を出すには相当な技術が必要。
<references/>
 
; 第3曲 なぜに Warum? 変ニ長調
==外部リンク==
: '''Langsam und zart'''(ゆっくりそして優しく; Lento e teneramente)
* [http://imslp.org/wiki/Fantasiest%C3%BCcke%2C_Op.12_%28Schumann%2C_Robert%29 Fantasiestücke, Op.12 (Schumann, Robert)] by International Music Score Library Project 全曲の楽譜を閲覧できる。
: 標題の通り、問いかけるような主題が2声で進行する。
* [http://www.archive.org/details/fabel_and_traumeswirren 'Fabel' and 'Traumeswirren' from "Fantasiestucke, Op.12"] by Internet Archive (Open Source Movies) 「寓話」と「夢のもつれ」を試聴できる。
 
; 第4曲 気まぐれ Grillen
: '''Mit Humor'''(ユーモアをもって; Con umore)
: [[スケルツォ]]の形をとる。変ニ長調であるが、[[変ロ短調]](しかも[[属和音]])で開始され、すぐに[[変ト長調]]となり、[[変イ長調]]を経て、16小節目でやっと変ニ長調が示されるなど、主部だけで十分に気まぐれ的な要素を含んでいる。中間部は変ト長調のコラールとなるが、やはり気まぐれなものである。
 
; 第5曲 夜に In der Nacht ヘ短調
: '''Mit Leidenschaft'''(情熱をもって; Appassionato)
: 波打つような[[アルペッジョ]]の伴奏に、断片的な旋律が顔を見せる。シューマンはこの曲集の中では最も気に入っており、クララにも最も演奏会に適した曲として薦めている。
 
; 第6曲 寓話 Fabel [[ハ長調]]
: '''Langsam'''(ゆっくり; Lento)
: [[フェルマータ]]を含む遅い部分と、[[スタッカート]]の速い部分が交替する。
 
; 第7曲 夢のもつれ Traumes Wirren [[ヘ長調]]
: '''Äußerst lebhaft'''(極めて速く; Vivacissimo)
: 音はきわめて速く、軽やかに鍵盤上を駆け巡る。それは一時の夢を見ているようである。その弾きにくさからしばしば「指のもつれ」と揶揄される。中間部は変ニ長調のコラールとなり、下属調の変ト長調で主題再現、半音下のヘ長調に戻る。
 
; 第8曲 歌の終わり Ende vom Lied ヘ長調
: '''Mit gutem Humor''' (適度なユーモアをもって; Con buon umore)
: [[クライスレリアーナ]]でも見られるように、シューマンは曲集の最後で度々[[ユーモア]]を用いた。オクターブが折り重なって音楽ができあがっていく様を、シューマン自身は「結婚式と葬式の鐘が入り混じって聞こえてくる」と表現した。コーダは瞑想的なコラールとなり、静かに鐘の余韻が響いて、終わる。
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
<references/>
 
== 外部リンク ==
* [http://imslp.org/wiki/Fantasiest%C3%BCcke%2C_Op.12_%28Schumann%2C_Robert%29 Fantasiestücke, Op.12 (Schumann, Robert)] by International Music Score Library Project 全曲の楽譜を閲覧できる。
* [http://www.archive.org/details/fabel_and_traumeswirren 'Fabel' and 'Traumeswirren' from "Fantasiestucke, Op.12"] by Internet Archive (Open Source Movies) 「寓話」と「夢のもつれ」を試聴できる。
 
[[Category:シューマンのピアノ独奏曲|けんそうしよきよくしう]]
[[Category:ピアノ独奏曲|けんそうしよきよくしう]]
 
[[de:Fantasiestücke]]