「DL表記法」の版間の差分

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[[立体異性体]]の立体配置を明示する方法には、[[CIP順位則]]による[[RS表示法]]が広く用いられている。
 
しかし、生体由来の糖やアミノ酸のような[[キラリティー|キラル]]な分子については、[[光学異性体]]の表示法である d-, l- (それぞれ dextro-rotatory = 右旋性(+)、levo-rotatory = 左旋性(-))のような表記のほうが立体配置をイメージしやすいという場合もある。
 
そのため、d-[[グリセルアルデヒド]] の立体配置を基準として、この立体配置を崩さずにできる化合物を<small>D</small>-体とし、その[[鏡像異性体]]を<small>L</small>-体と表記するのが、<small>D</small><small>L</small>表記法である。
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光学異性体は、その原子の立体配置によって名づけることができる。<small>D</small>/<small>L</small> 表記法では、その分子をグリセルアルデヒドに対応させることで名づける。グリセルアルデヒドそのものがキラルであり、2つの光学異性体を <small>D</small> や <small>L</small> と名づけることができる。
 
グリセルアルデヒドは、特定の化学反応を用いれば、その立体配置([[コンフィグレーション]])を変えることなく、広く用いられるキラル分子を生成することができる。これが、<small>D</small><small>L</small>表記法という命名法が用いられる歴史的経緯となった。
 
この表記法では、化合物をグリセルアルデヒドに例えることにより、一義的に表記できる。ただ、グリセルアルデヒドと良く似た小さな生体由来化合物の場合、この表記が容易であるとは限らない。
 
その一つの例が、アミノ酸である[[アラニン]]である。アラニンは2つの光学異性体を持っており、それらはそれぞれがどちらのグリセルアルデヒド異性体に由来するかによって表記される。なお、[[グリシン]]はグリセルアルデヒドから派生するアミノ酸であるが、キラルではない(アキラルである)ため光学異性体を持たない。対して、アラニンはキラルなのである。
 
<small>D</small>/<small>L</small> 表記法は、旋光性を示す(+)/(-&minus;)表記とは関係が無い。つまり、どちらの[[エナンチオマー]]が右旋性で、どちらが左旋性であるかは全く表現していない。むしろ、<small>D</small>/<small>L</small> 表記法は、その化合物の立体構造が、グリセルアルデヒドのどちらのエナンチオマーの立体構造と関連しているか、を表記しているのである。タンパク質のなかによく見られる19ある<small>L</small>-アミノ酸のうち、9つは右旋性であるし(波長589nmにおいて)、<small>D</small>-[[フルクトース]]は”levulose”([[果糖]])の名のとおり、”levorotatory”(左旋性)である。
 
実は、グリセルアルデヒドの右旋性異性体は <small>D</small>-体である。これは幸運なことであった。というのも、この<small>D</small>/<small>L</small> 表記法が確立された時代には、どちらの立体配置が右旋性かを知る方法が無かったからである。もし、この予想が間違っていたとしたら、今日の<small>D</small>/<small>L</small> 表記は更に混乱を招くものとなっていたであろう。
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がどのように配置しているかで判断する方法である。水素原子が奥側(向こう側)になるように見たとき、上記の官能基が炭素の周囲に時計回りに配置しているものが <small>D</small>-体 である。一方、反時計回りであれば、<small>L</small>-体である。(例: <small>L</small>-[[アラニン]])
 
 
==関連項目==
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*[[立体異性体]]
 
[[Category:立体化学|かんいんこるとふれろくしゆんいそくDLひようきほう]]
 
 
[[ar:كايرالية]]