「シンクロナイズドスケーティング」の版間の差分

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Jade0416 (会話 | 投稿記録)
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国際スケート連盟の定める規定によると、国際スケート連盟主催の国際試合に参加する資格を持つ次の2つのカテゴリ(シニア、ジュニア)のチームは、ショート・プログラムとフリー・スケーティングという2つの演技を行わねばならず、それらの得点の合計点によって順位が定められる。
 
==== ショート・プログラム(SP)(SP) ====
チームが選んだ音楽に合わせて2分50秒以内で細かく定められた8つの要素を行う、合唱祭で言う課題曲のようなものであり、近年の傾向として、スピンやステップ・シークエンスなどのシングル的な要素と、腕をつないで行ういわゆるシンクロ的な要素が半々含まれる構成を要求されている。
 
==== フリー・スケーティング(FS)(FS) ====
チームが選んだ音楽に合わせて、4分30秒(±10秒)で定められた12個の要素をバランスよくつなぎ合わせた自由曲のようなものであり、リフトやジャンプなどより幅広い演技展開を許される。演技時間はシニア男子シングル並みである。
 
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シンクロ・スケートは、隊形や技によって次の要素に分けられる。大きく分けて、シンクロ初期から存在するシンクロ5大要素と近年新しく出来たシングル的要素の2種類がある。
 
シンクロ5大要素とは、全員で円の形を作る「サークル(CIRCLE…略記C)」、3列以上の箱型の形を作る「ブロック(BLOCK…略記B)」、2列以下の列を作る「ライン(LINE…略記L)」、中心点を軸に回転する動作をする「ウィール(WHEEL…略記W)」、一部の選手が残りの選手の間を通り抜ける「インターセクション(INTERSECTION…略記I)」の5つであり、選手がつないで滑ることを基本的には要求される。
 
シングル的要素は、全員で同じポジションのスピンを、回転をあわせて行うことを要求される「スピン(SPIN…略記SP)」、全員でリンクの端から端まで同じステップを行う「ノー・ホールド・ステップ・シークエンス(NO HOLD STEP SEQUENCE…略記NHSS)」、スパイラルや、イナ・バウアー、スプレッド・イーグルといったフリー・スケーティング動作を行う「ムーブス・イン・ザ・フィールド(MOVES IN THE FIELD…略記MF)」、チームの半数以下の小部隊に分かれてジャンプやリフトなどを行う「ムーブメント・イン・アイソレーション(MOVEMENT IN ISOLATION…略記MI)」の4つがある。
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=== ジャッジ・システム ===
システムの大枠は、シングルやペア等と同じで、ショート・プログラムの得点とフリー・スケーティングの得点との総合点で最終順位が決まる。各演技の得点は、BASE VALUE(BV)VALUE(BV)とGrade Of Execution(GOE)Execution(GOE)によるTotal Element Score と Total Program Component Scoreと減点分を合わせたもの。オリンピックでの不正疑惑以来、採点システムが変容してきているが、今回紹介するのは変更後の新しい採点システムについてである。
 
==== 採点関連役員 ====
採点に関わる役員として、レフェリー・アシスタント・レフェリー・アイス、最多で12名のジャッジ、テクニカル・コントローラ(TC)(TC)とテクニカル・スペシャリスト(TS)(TS)、アシスタント・テクニカル・スペシャリスト、データ入力オペレータ、テクニカル・デリゲイトが必要。モニターや特殊なコンピュータ・ソフトを用いるため、データ入力オペレータやテクニカル・デリゲイトといったスタッフが必要だが、得点に直接関係するわけではない。
 
==== 役員の役割 ====
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==== 採点の流れ ====
チームより提出されるProgram Content Sheet (予定演技要素一覧)を参考に、テクニカル・スペシャリストとテクニカル・コントローラは公式練習から各チームの演技をチェックし始める。実際本番の演技で各要素の必須事項が守られ、確実に実行されていれば、ルールの解釈の違い等によるプログラム構成上の致命的なミスがない限り、Program Content Sheet の申請通りのBase Valueが、テクニカル・スペシャリストとテクニカル・コントローラによって与えられることになる。Base Valueは、各要素に1つずつ与えられる値であり、難易度の高いものほど大きな値が定められている。最多で12名のジャッジは、各要素に対しその出来栄えを7段階評価で採点する。この2つの採点結果を組み合わせることで、Total Element Scoreが算出される。また、ジャッジはProgram Componentと呼ばれる芸術面の採点を5つのカテゴリに分けて行う。スケーティング技術の特性、トランジションの特性、パフォーマンス/エクセキューションの特性、振付/構成の特性、表現/タイミングの特性について、それぞれ10点満点、0.25刻みで評価する。平均が各カテゴリの点数となる。ショート・プログラムは、課題をこなせているかがポイントとなるので、各カテゴリの点数を足したものに0.8を掛けた点数がTotal Program Component Scoreとなり、フリー・スケーティングは、各カテゴリの点数を足したものに1.6を掛けた点数がTotal Program Component Scoreとなる。後はレフェリーとテクニカル・コントローラによって減点が計算され、全てを足し合わせることで、SPSPFSFSそれぞれの点数が算出されることになる。
 
=== プロトコル ===
==== 概要 ====
競技会が終わるごとにプロトコルと呼ばれる最終結果と競技会の基礎データをまとめたものがCD-ROMや冊子といった形で各チーム、全参加国スケート連盟に配布され、インターネット上に公表される。パスワードなどもなく一般の人々が自由に閲覧できるようになっている。記載内容は、場所や日時、リンクの種類、氷の状態、ジャッジ団の構成、上位3位までのチームのチーム・メンバーの名前とチーム・キャプテン名、チームの写真といった競技会の一般的な事項と、JUDGES DETAILS PER TEAMと呼ばれる各チームのSPSPFSFSそれぞれの最終結果。
 
==== JUDGES DETAILS PER TEAM ====
JUDGES DETAILS PER TEAMとは、SPSPFSFSそれぞれに1つずつ与えられる採点詳細表。総合点を見ることで順位を知ることは出来るが、JUDGES DETAILS PER TEAMを読むことで何故その点数が与えられたのかを知ることが出来る。旧採点では採点規準が不明瞭であるという印象が大きかったが、採点ルールの知識とそれなりの経験さえあれば誰でも見定めることの出来る、客観的判断によって定まる実行内容に対し、スケートの知識の豊富なジャッジ団によってそれらの実行内容の出来が評価される、という発想に基づく新たな採点システムは、一先ずは観るものを納得させることに成功したといえるだろう。また、旧採点であれば特定の持ち味を持っていれば世界で勝負することができたが、現行のシステムにおいてはあらゆる技術を満遍なく評価対象とするため、競技者の能力を多方面に発揮させる結果となりつつある。
 
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次のJUDGES DETAILS PER TEAM は2006年世界シンクロナイズド・スケーティング選手権大会の際のもので、SPSPにおける日本チームの最終結果表。左端の数字が順位で、この時日本チームのSPSPは11位、得点は40.96。
 
図 2 2006年世界シンクロナイズド・スケーティング選手権大会 SPSP 日本
(図を見るには下のURLURLをクリック)
http://sports.geocities.jp/sys_system2006/zu2.jpg
 
チームのSPSPにおける得点であるTotal Segment Scoreは、3つの点数を足し合わせることによって定まる。
 
1つ目は、TSTSTCTCが判断した演技における実行内容とその実行内容の出来をジャッジが判断することによって与えられるGOEGOEを総合したTotal Element Score。旧採点で言う技術点に相当する。
 
2つ目は、ジャッジが判定するProgram Componentsである。旧採点で言う芸術点に相当する。
 
3つ目は、レフェリーやTSTSTCTCの判断した減点内容。
 
図 3 プロトコルの見方①