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'''アンカーボルト'''とは、[[構造部材([[木材]]や[[鋼材]])や[[設備機器]]機器などを固定するために、[[コンクリート]]等に埋め込み使用する[[ボルト (部品)|ボルト]]のことを指す。アンカーボルトは、[[引張り]]や[[せん断]]に抵抗することによって、コンクリートに取り付けられた構造部材(木材や鋼材)もしくは設備機器が、分離・浮遊・移動・転倒することを防ぐ役割をもつ
 
== 概要 特徴==
 
形状はL形等様々である。土木や建築の基礎の場合にはコンクリート打設前に、あらかじめボルトを埋め込んで置くことが多い。床や壁面に構造物を固定するためや、天井に配管や二重天井のための吊りボルト(全ネジ、寸切りとも呼ばれる)を吊るために、コンクリート打設後に[[アンカーホール]]を[[ドリル]]などで穴を空けてボルトを押し込む、または叩き込むものは、あと施工アンカーボルトという。一旦埋め込むと抜けない形状となっている。[[据え付け]]の時にもう一度、位置を微調整する必要がある場合は、[[箱抜き]]を行いL字型アンカーボルトを機器の設置後にモルタルで埋める工法も以前は行われたが、地震時にモルタルごと抜けることがあり引抜き強度で劣る。[[引張抵抗]]を増大させるために、ボルトのさきを曲げたり、[[プレート]]を取り付けたりする。 (この場合の基礎は[[橋台]]なども入る。)コンクリート打設後に行うものは基本的には打ち込み式とケミカル式に分類される。また、[[ALC]]用のアンカーボルトもある。
*形状は、L型、J型がなどがある。
 
*太さは、M12・M16・M20・M24・M22・M30・M33・M36などがある。
 
*長さは、太さに応じてさまざまである。
 
*材質は、一般構造用圧延鋼(JIS G 3101)のSS400・SS490、あるいは、建築構造用圧延棒鋼(JIS G 3138)のSNR400A・SNR400B・SNR490Bなどがある。
 
*表面処理は、素地(無処理)のものや、電気[[めっき]]や溶融亜鉛[[めっき]]を施したものがある。
 
*アンカーボルトの引き抜き強度は、一般的に、アンカーボルトの[[コンクリート]]に接する表面積に[[比例]]する。すなわち、深く埋め込むほど、また、太いアンカーボルトほど、引き抜き耐力が大きくなる。特記の無い限り、太さの40倍以上埋め込む必要がある。さもなければ、アンカーボルトが所定の[[耐力]]に達する前に抜けてしまう。引き抜き強度を増大させるために、ボルトの先端を曲げたり、先端に[[プレート]]を取り付けたりする。
 
*土木構造物や建築構造物の[[基礎]](この場合の基礎は[[橋台]]なども入る)の場合には、コンクリート打設前に、あらかじめアンカーボルトを埋め込んでおく。この場合、アンカーボルトは[[鉄筋]]に結束するか、アンカーボルト用の架台に取り付けて固定する。<!---ただし、非常に小規模なアンカーボルトでは、コンクリート打設後で、コンクリートが固まる前に、上面から挿入する場合もある('''田植え''')という。しかし田植えで入れたアンカーボルトは、鉄筋に結束されておらず、施工精度も悪いため、構造上重要なものを固定する場合は好のましくない。-->
 
形状はL形等様々である。土木や建築の基礎の場合には*コンクリート打設前に、あらかじめボルトを埋め込んで置くことが多い。製の床や壁面に構造物を固定するためや、天井に配管や二重天井のための吊りボルト(全ネジ、寸切りとも呼ばれる)を吊るために、コンクリート打設後に[[アンカーホール]]を[[ドリル]]などで穴を空けてボルトを押し込む、または叩き込むものは、'''あと施工アンカーボルト'''という。一旦埋め込むと抜けない形状となっている。[[据え付け]]の時にもう一度、位置を微調整する必要がある場合は、[[箱抜き]]を行いL字型アンカーボルトを機器の設置後にモルタルで埋める工法も以前は行われたが、地震時にモルタルごと抜けることがあり引抜き強度で劣る。[[引張抵抗]]を増大させるために、ボルトのさきを曲げたり、[[プレート]]を取り付けたりする。 (この場合の基礎は[[橋台]]なども入る。)コンクリート打設後に行うものは基本的には打ち込み式とケミカル式に分類される。また、[[ALC]]用のアンカーボルトもある。
 
*[[設備]]機器などを据え付ける時に、もう一度位置を微調整する必要がある場合は、箱抜きを行いL字型アンカーボルトを機器の設置後に[[モルタル]]で埋める工法も以前は行われたが、[[地震]]時にモルタルごと抜けることがあり、引き抜き強度で劣る。
 
<!--*また、[[ALC]]用のアンカーボルトもある。-->
 
==主な用途==
 
[[画像:AnchorBolt Moku 01.jpg|thumb|200px|right|木造建築物の基礎に埋め込まれたアンカーボルト。短いのは[[土台]]用M12、長いのは[[ホールダウン金物]]用M16。]]
 
*[[木構造 (建築) |木造]]建築物の[[土台]]用アンカーボルト(M12、埋め込み長さ250mm以上)。
 
*木造建築物の[[ホールダウン金物]]用アンカーボルト(M16、埋め込み長さ360mm以上、全長900mm程度)。
 
*[[鉄骨造]]建築物の鋼製柱脚の基礎コンクリートへの固定。なお、固定柱脚とするには、柱1本あたり8本以上のアンカーボルトを埋め込む必要がある。
 
*[[鉄筋コンクリート]]製の[[柱]]・[[梁]]などへの[[H型鋼]](小梁、エレベーターシャフトなど)の固定。
 
*[[鉄筋コンクリート]]製の[[柱]]・[[梁]]・[[床]]・[[壁]]などへの[[設備]]機器固定。
 
==設計方法==
 
*アンカーボルトに生じる[[引張り]]力や[[せん断]]力を計算する。
 
*引張り力やせん断力に応じて、適切な太さ・材質・埋め込み長さを決定する。
 
*[[鉄筋]]の混み具合などを考慮して、本当にアンカーボルトがその位置に納まるかどうか検討する。納まらない場合、アンカーボルトの位置・形状・太さ・長さ・数量などを、計算した引き抜き力を下回らないように変更する。あるいは、鉄筋の太さ・数量・配置などを、元の強度を下回らないように変更する(ただし鉄筋を変更すると、構造計算のやり直しが必要になる)。
 
==施工方法==
 
=== あと施工通常のアンカーボルト ===
[[コンクリート]]打設前に、[[鉄筋]]に強固にアンカーボルトを結束する。鉄筋への結束だけでは位置精度が十分に出ない場合は、[[型枠]]に穴を開けてアンカーボルト固定したり、位置出し材を取り付けてそれに固定したりする。近接した複数のアンカーボルトを高精度に配置するには、あらかじめ用意した[[鋼板]]に複数の穴をあけ、アンカーボルトを差し込み、点付け[[溶接]]するなどして、複数のアンカーボルトを一体化する。いずれの場合も、埋め込み長さ、出の長さを間違えないように注する。その後、コンクリートを流し込み、固まるのを待つ。
 
== あと施工アンカー ==
=== 打ち込みアンカー ===
打ち込みたい位置に指定された径と深さの穴を[[ハンマードリル]]などで開け、コンクリートの切り粉をブロワーなどで除去し、アンカーボルトを埋める、もしくは打ち込んでから、さらにアンカーの芯、もしくは外周部を打ち込み棒を使ってハンマーで叩くと、外周部が膨らんでコンクリートに固定される仕組みである。内周部にはメスネジが切ってあって、全ネジなどを差し込んで、構造物を固定するが、あらかじめオスネジを切ってあるボルトが外に出るようになっているものもある。
 
=== 締付けアンカー ===
取り付けたい位置に規定の径と規定以上の深さの穴を開け、切り粉をブロワーなどで除去し、アンカーボルトを埋め、アンカーの[[ナット]]を規定の[[トルク]]値まで締めつけることによって固定する。
 
=== ケミカルアンカー ===
ケミカルアンカーとは、日本デコラックス社の商品名で、正式には'''接着系アンカー'''と呼ぶのが正解である。ケミカルアンカーはその名のとおり化学反応を利用した[[接着剤]]によって全ネジや、異形鋼棒を固定するものである。コンクリートに[[ドリル]]で穴を開け、ブロワーで切り粉を除去し、更にケミカルブラシで孔壁の粉塵を除去、更にブロワーや集塵機で清掃したあと、(試験管のような容器に入っていることが多い)ケミカルアンカー(カプセル型接着系アンカー)を穴に挿入し、先端を斜めに切った全ネジや異形鋼棒を打ち込むことによってケミカルアンカー(カプセル型接着系アンカー)の容器が破壊され、[[化学反応]]が起こり、しばらくすると固定される仕組みである。
 
== 外部リンク ==