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本項目では、'''日本の商標制度'''(にっぽんのしょうひょうせいど)について説明する。日本では、商標法と不正競争防止法の2つの法律で、商標の保護を図っている。
{{記事分割|日本の商標制度}}
'''商標'''(しょうひょう)とは、[[商品]]や役務([[サービス]])の出所を需要者に伝達するための標識をいう。商標は、商品や商品の包装に付したり、役務の提供に際して使用される設備や道具に付したりすることによって使用される。需要者は、商標を目にすることによって、希望する商品や役務を選択することができる。
 
=== 商標法による保護 ===
商標を使用しながら、一定の質を有する商品や役務の提供を継続すると、その商標には業務上の信用([[ブランド]])が化体し、財産的価値が備わるようになる。この財産的価値は、商標権として、[[特許権]]や[[意匠権]]にならぶ[[産業財産権]]の一つと位置づけられ、[[条約]]や[[法律]]による保護対象となっている。[[商標法]]に基づいて登録された商標を'''登録商標'''という。
==== 定義 ====
 
== 商標の種類 ==
* 商標は、商品を表示するものと役務(サービス)を表示するものに分けられる。このうち、商品を表示するものを「トレードマーク」(trademark, TM)と呼び、役務(サービス)を表示する商標を「サービスマーク」(service mark, SM)と呼ぶ。
* 商標には、文字や記号、図形といった平面的なもののほか、商品や商品の包装、店舗に設置した立体的な看板など、立体的形状からなるもの([[立体商標]])がある。また、視覚によって認識されるもの以外、例えば、テーマソングなどの特徴的な[[音響]]、[[匂い]]、[[味]]、[[手触り]]も商品識別機能を有する。このような[[音響]]、[[匂い]]、[[味]]、[[手触り]]は、日本では保護対象外であるが、米国等のように音響や匂いを保護対象とする国もある<ref>[http://www.iip.or.jp/summary/pdf/detail01j/13_01.pdf 知的財産研究所:商標の保護対象等に係る国際調和に関する調査研究] - pdfファイル</ref>。
 
== 商標の使用方法 ==
=== 商品における使用方法 ===
名称は、商品自体に付するほか、商品の包装に付することにより使用される。需要者は、商品やその包装に付された名称を目にすることによって、希望する商品を購入し、逆に希望しない商品の購入を避けることができる。
 
=== 役務(サービス)における使用方法 ===
役務(サービス)とは他人のために行う労務または便益であるため、それ自体は無形物である。したがって、役務の対象自体に名称を付することができないため、役務の提供に関連する物に名称を付することになる。たとえば、携帯電話サービスの提供において携帯電話端末に名称を付したり、旅客輸送サービスにおいて電車やバスの車体、飛行機の機体に名称を付したり、ネットバンキングや通信販売サービスの提供において、Webサイト上に名称を表示することによって、名称を使用する。
 
=== 商標の表示 ===
日本では、「登録商標」と表示するよう努めなければならない旨が定められている(施行規則第17条)。ただし、表示がなくても罰則はない。ただの自己の識別標識としての名称やロゴマークには、<small><sup>TM</sup></small>(trademark)、<small><sup>SM</sup></small> (service mark)、権利が取得された名称やロゴマークには &reg; (registered trademark; ) を表記することがあるが、いずれも日本の法律に基づく表記ではない。権利が取得されていない名称に &reg; の表示を付すと虚偽表示(第74条)とされるおそれもあるので、注意すべきである。
 
== 日本における商標の保護 ==
=== 商標法による保護 ===
==== 定義 ====
日本では、法により権利が認められており、これによると商標の定義は次のようになる。
 
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であって、モノ(商品)やサービス(役務)を生産販売する事業者が、それを識別するために用いるもの、となる。
 
==== 権利の効力 ====
権利は、設定の登録により発生する(法18条1項)(設定までの手続は後述)。権利は1以上の商品または役務(以下、単に商品という)を指定して登録される。これを「指定商品」とよぶ。
 
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: 権利の存続期間は設定日から10年間であるが(法19条1項)、回数を無制限とする更新ができるため、更新を繰り返すことにより権利が永続する(同条2項)。特許権、意匠権、著作権のような他の知的財産権と異なり、商標権が永続できるのは、権利者が名称を継続して使用する限りにおいては、名称の価値(商品のブランド価値)は時が経っても陳腐化することがないと考えられるからである。一方、10年ごとに更新を必要としたのは、使用されなくなった権利についてまで権利を継続する必要はないからである。
 
==== 権利取得の手続 ====
権利の取得は、次のような流れになる。
# [[特許庁]]長官に出願願書を提出(送付)する(5条)。
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# 前記の審決に不服のある場合は、その審決の謄本が送達された日から30日以内に[[東京高等裁判所]]([[知的財産高等裁判所]])に審決取消の訴を起こすことができる(63条2項によって準用される[[特許法]]178条3項)。
 
==== 権利取得の要件 ====
権利取得の要件のうち、主なものを挙げる。
; 自他商品等識別能力を有すること(3条1項)
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: 指定商品等は施行規則の別表で定められた区分に従って記載しなければならない。例えば化学品は第1類、食肉は第29類などと定められており、食肉を指定商品とする場合には「第29類食肉」と記載する。誤った分類を記載した場合(例えば「第1類食肉」と記載した場合)や分類を記載しなかった場合には拒絶理由となる。
 
==== 権利の取消および無効 ====
一旦登録された権利であっても、所定の理由がある場合には権利が取り消されたり無効とされたりすることがある。権利を取り消しまたは無効にする主な手段は以下のとおりである。
 
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: 専用使用権者または通常使用権者が専用権または禁止権の範囲内で、品質の誤認や出所の混同を招くような不正な方法で登録商標または登録商標に類似する商標を使用した場合には、何人も商標登録の取消を請求することができる(使用権者による不正使用取消審判、53条)。取消となった場合には、権利は取消審決が確定したときに消滅する(54条1項)。
 
==== 地域団体商標の導入(平成17年度改正) ====
{{Main|地域団体商標}}
「地域の名称」と「商品(役務)の名称」のみ等からなる名称について、その名称が使用された結果、一定の範囲で周知となった場合には、事業協同組合、農業協同組合等が事業協同組合などを権利主体として権利を取得することができる。
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#商品の品質(役務の質)の誤認を生じさせるような不適切な方法で名称を使用した場合には、[[取消審判]]の対象となる。
 
== 不正競争防止法による保護 ==
== 商標登録制度の国際的比較 ==
{{節stub}}
出願時の審査の有無、先使用主義(米国等)か先出願主義(日本・ヨーロッパ等)かなど、国によって若干違いがあるので注意が必要。
 
国際出願をしない限り、保護は国内に限定される(マドリッド・プロトコル([[標章の国際登録に関するマドリッド協定の議定書]])による国際出願によって国際出願をすれば、指定国でもその権利を取得できる。)。
 
== 参考文献 ==
* 特許庁商標課編「商標審査基準〔改定第7版〕」発明協会、2000年
 
== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
<div class="references-small"><references/></div>
 
== 関連項目 ==
* [[zh:]]
* [[商標法]]
* [[地域団体商標]]登録
* [[立体商標]]
* [[商標の普通名称化]]
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== 外部リンク==
{{Commonscat|With trademark}}
* [http://www.ipdl.inpit.go.jp/homepg.ipdl 特許電子図書館](特許・実用新案と商標の検索が可能)
* [http://www.iippf.jp/02/pdf/tomeko24_a.pdf#search='%E7%99%BB%E9%8C%B2%E5%95%86%E6%A8%99%E7%AC%AC1%E5%8F%B7' 「我が国初の登録商標第 1 号は・・・」(韓国)](国際知的財産保護フォーラムHP内)
* [http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%8f%a4%95%57%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S34HO127&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1 商標法 (総務省法令データ提供システム)]
*[http://www.ci-portal.com Corporate Identity Portal]
 
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[[Category:知的財産権|しようひよう]]
[[Category:商標法|*]]
[[Category:シンボル|しようひよう]]
 
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[[Category:知的財産権|しようひよう]]
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