「万年筆」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
甚平 (会話 | 投稿記録)
m編集の要約なし
2行目:
'''万年筆'''(まんねんひつ)は、ペン軸の内部に保持したインクが[[毛細管現象]]によりスリットの入ったペン芯を通じて<!-- 細い割れ目が入った(ペン先の標準的構造であり、特筆に価しない)金属製の(とは限らない) -->[[ペン先]]に持続的に供給されるような構造をもった[[ペン]]の一種。インクの保持には、インクカートリッジを用いたもの、<!-- コンバーターと呼ばれる(カートリッジ式ペンを吸入式として使用出来るようにする特殊カートリッジが「コンバーター(機構変換機)」、吸入式の吸入機構はコンバーターとは言わない) -->インク吸入器を利用したものなどがある。
==筆記具としての特徴==
万年筆は、他の[[文房具|筆記具]]と異なり、低筆圧で筆記可能であり、その名の通り半永久的とさえ言われるほどの長期にわたって使用することができる。また、使用者の癖に応じてペン先の形状などが変化して、オーナーにとっては書き心地が向上する(いわゆる、馴染んでくる)という長所がある。しかしながら、以下のような多くの欠点がある。<!-- 欠点ばかり列挙しているが、長所もかなりあるはず -->
 
===欠点===
*頻繁なインク補充、ペン先の手入れ、吸入器の洗浄など、取り扱いが面倒。
*温度や気圧の変動に弱く、しばしば不慮のインク洩れ・インク飛散事故を起こす。
25 ⟶ 24行目:
万年筆が日本に入ってきたのは、[[1884年]]、横浜のバンダイン商会が輸入したのが始まり。東京日本橋の[[丸善]]などで販売された。当時は「針先泉筆」と呼ばれており、「萬年筆」と命名したのは、[[1884年]]に日本初の国産万年筆を模作した大野徳三郎と言われている。なお、丸善の当時の販売担当の金沢万吉の名にちなみ、「万さんの筆=“万年筆”」と名付けられたという説もある<!--が、当の丸善のウェブサイトの社史に「万年筆の由来として販売担当者・金沢万吉にちなんで“万年筆”と命名したともいわれる 」とあることから、実際は大野説のようだ-->。
 
カートリッジ式の万年筆を発明したのは、阪田製作所(後の[[セーラー万年筆]])の阪田久五郎と言われている。阪田は[[1954年]]にカートリッジ式万年筆の特許を取得しているが、同社が実際にカートリッジ式万年筆を初めて発売したのは[[1958年]]のことであり、[[1957年]]にカートリッジ式万年筆(オネスト60)60)を発売した[[プラチナ萬年筆]]に遅れをとっている。
 
戦前には日本の万年筆製造は盛んで、[[1940年]]には世界生産量の半数を日本で生産していた。
 
===万年筆の文化史===
万年筆はペンとともに[[1960年代]]頃まで、[[手紙]]や[[はがき]]、[[公文書]]など改ざん不能な文書を書くための筆記具の主流であったが、徐々に[[ボールペン]]に取って代わられ、[[1970年代]]に公文書への[[ボールペン]]の使用が可能になり、また書き味に癖がなく安価な低筆圧筆記具である水性ボールペンが開発されたことにより、<!-- 一般の筆記具としてはボールペンに移行し、 -->万年筆は事務用・実用筆記具としてはあまり利用されなくなっている。しかし最近近時万年筆特有の書き味が見直され、趣味の高級文具として復権の兆しが見られる。また、万年筆のデザイン性、希少性に着目し、コレクターズアイテムとしても注目されている。このため、万年筆を扱った書籍や雑誌が刊行されるようになっている。
 
==構造==
38 ⟶ 37行目:
 
===ペン先===
ペン先(ニブともう)には常時インクが接触していることから耐酸性が、強弱のある書き心地を実現するために適度な柔らかさが、長年使用することから耐磨性が必要となる。そこで、尖端に[[イリジウム]]をつけた金ペンが伝統的に使用されてきたが、[[1970年]]代からは合金を使用した白ペンも普及する。
 
価格が1万円前後の比較的安価な万年筆の場合は、ペン先に[[ステンレス]]や[[鉄]]を使用した物が多い。一方、2万円を越える比較的高級な万年筆には、14金から21金の[[金]]が使用されている。また、デザインを考慮し、[[ロジウム]]で銀色にコーティングした金や、逆に金メッキしたステンレスが使用されることがある。
62 ⟶ 61行目:
 
=== キャップ ===
万年筆のキャップはペン先を保護するとともに、インクが乾かないように密閉しておく役割ももつ。このため、機密構造となっているものが多いが、一部には穴のあいているものもある。螺子式あるいはスリップ式になっているものが主流であるが、低価格のものを中心に嵌合式(まっすぐパチっとうところまで差し込むもの。フェルトペンなどでは主流。)のものも多い。嵌合式の場合、胸のポケットに入れて携行する場合外れてインクが服に染み出すこともある。
 
=== インクの補充方式 ===
71 ⟶ 70行目:
 
==== カートリッジ式 ====
現在は、インクの補充を簡単に行うため、インクを詰めたカートリッジが広く使われている。<!--国産品の場合-->カートリッジの形状は原則としてメーカーごとに異なっており、ペンの製造メーカーから供給されるカートリッジを購入し使用するのが一般的である。ヨーロッパのメーカーの多くでは欧州共通規格のカートリッジが採用されており、この場合、欧州共通規格を採用するほかのメーカーのインクを使用することも可能である。ただし、ラミーなど、欧州のメーカーであっても独自規格のカートリッジを採用するメーカーも多く、またペンの種類によって利用可能なカートリッジが異なっている場合もあるので、カートリッジ購入のさいには注意が必要である。カートリッジ式の場合、インクにかかる費用が吸入式の5倍近くになると言われている。
 
また、カートリッジ式を採用した万年筆でも瓶入りインクを利用できるように、コンバーターと呼ばれるピストン式のインク吸入装置がメーカーにより供給されている場合が多い。
195 ⟶ 194行目:
 
== 脚注 ==
 
<references />
[[category{{DEFAULTSORT:文房具|まんねんひつ]]}}
[[Category:文房具]]
 
[[da:Fyldepen]]