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[[画像:Gifujyou5840.JPG|thumb|right|200px|[[岐阜城]]にて。]]
'''矛'''('''ほこ''')は、[[槍]]や[[薙刀]]の前身となった長柄[[武器]]で、やや幅広で両刃の[[剣]]に長い柄状の穂先けたような形状をしている。和名は手鉾(てほこ)。沖縄のローチンが有名
槍の一種類と言え、日本と中国において矛と槍の区別が見られる。日本では鉾の字も使用されるが、ここでは矛で統一する。
 
== 概略 ==
「突く」と「斬る」の両方ができるのが特徴。
矛は中国において、[[チャリオット|戦車兵]]に欠かせない武器として用いられだけでなく、歩兵や騎兵にとっても有効な武器として広く使用された。その後、冶金技術の進歩や戦術の変化により、刺突力が優れ集団戦に向く槍へと進化した。
 
前述の通り矛と槍の区分は一部地域のみで見られるもので、槍と矛の境界線は明確とは言えない。中国では槍と矛の違いは全く無いとする説もある。
矛と槍は、穂先(剣の部分)の付け根部分の構造で区別される。
 
矛は穂先の根本がソケット状(袋部)になっており、そこに柄を差し込むものをいい、槍は逆に穂先の根元を柄に差し込むものをいう。
以下に一般的にあげられる、矛の特徴と槍との違いを説明する。
*「刺突」と「斬る」の両方を目的とした刃をもつが、槍は矛に比べより刺突力に優れた形状をもつ。
*柄との接合部が袋穂とよばれるソケット状になっている。槍は茎(なかご)を差し込んで固定する方式をとる。
 
なお、中国では[[明]]の時代に、蛇をおもわせるくねった刀身をもつ改良型の蛇矛(だぼう)が登場している。
 
== 日本における矛 ==
日本においては矛と槍の違いについて、さらに以下のような説がある。
*穂先の形状に一定の傾向があり、矛は先端が丸みを帯び鈍角の物が多いのに対し、槍は刃が直線的で先端が鋭角である。
*矛は片手での使用が基本で逆の手に盾を構えて使用した。これに対し槍は両手での使用を前提としていた。
*時代区分として、[[鎌倉時代]]後半、特に[[菊池千本槍|菊池槍]]から発展し南北朝時代に広く広まったものを槍とした。後世に用いられた弭槍(はずやり)や[[袋槍]]は袋穂形式ではあるが、槍から進化した槍の一種に分類される。
 
[[国産み]]神話で大地をかき混ぜるのに天沼矛(あめのぬぼこ)が用いられたことからも分かるように、古い歴史をもつ武器である。
 
矛は金属器の伝来と共に中国から伝わってきたと考えられている。材質は青銅製の[[銅矛]]で後に鉄で生産されるようになると、銅矛は大型化し祭器として用いられるようになった。
日本の訓読みで「矛」や「鉾」だけでなく戈、鋒、戟いずれも「ほこ」の読みがある事から、この時代の「ほこ」は長柄武器の総称であった可能性がある。
 
[[鎌倉時代]]では従来の矛や手鉾(てぼこ)が用いられていたものの、戦闘は馬上合戦の一騎打ちが主で、刀の作成技術の発達と流行から、[[太刀]]、[[長巻]]、[[薙刀]]が主力であった。
しかし鎌倉時代後期の[[元寇]]において元軍が用いた集団戦への対応や、足軽の台頭により、日本でも戦闘形態が徒歩の集団戦へと変化した。それに適した武器として長柄の刺突武器が見直された結果、槍の誕生へと繋がった。
 
== 備考 ==
沖縄の古武術にあるローチンは手鉾の一種で盾(ティンベー)と共に用いられる。これは日本からではなく中国から伝来したものとされている。
 
== 関連項目 ==
*[[矛盾]]
<!--*[[矛部]]-->
*[[薙刀術|薙刀]]
*[[矛部]]
 
== 参考文献 ==
*戸田藤成著 『武器と防具 日本編』新紀元社、1994年、58-69頁
*篠田耕一著 『武器と防具 中国編』新紀元社、1992年、81-89頁
 
[[Category:槍|ほこ]]