「シクロヘキサンの立体配座」の版間の差分

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[[画像Image:Cyclohexane-chair-colour-coded-3D-balls.png|300px|thumb|いす型のシクロヘキサン(英語版より)。アキシアル水素は赤、エカトリアル水素は青く色を付けている。]]
'''いす型'''または'''いす型配座'''(Chair conformation)は、[[シクロヘキサン]]環のように[[原子]]同士の結合がすべて[[単結合]]の六員環の化合物において、すべての原子が三次元的に歪みのない[[立体配置]]を取ったときの形である。
'''いす型'''(Chair conformation)は[[シクロヘキサン]]等の環を構成する[[原子]]がすべて単結合の六員環の化合物において、すべての原子が[[ねじれ型]]の立体配置を取ったときの形を言う。従って、[[ふね型]]に対して安定な型なので、単結合の六員環の化合物のうちのほとんどの物質がこのいす型の状態で存在する。いす型の化合物は四つの原子が平行四辺形をとっており、そこから垂直な電子軌道を持つ原子を'''[[アキシアル]]原子'''、そうでない原子を'''[[エカトリアル]]原子'''('''エクアトリアル原子''')と呼ぶ。シクロヘキサンの場合にはエカトリアル水素とアキシアル水素がそれぞれ6つずつあり、1個おきにおなじ方向に電子軌道を持つ原子があり、これらは互いに反発しあっている。アキシアル原子の電子半径が大きいと反発力が大きくなるので、巨大な原子あるいは[[官能基]]はエカトリアルの位置に存在する場合が多い。
 
== 安定性 ==
いす型配座は、[[炭素]]原子間の[[結合角]]が109.5度という理想的な角度を成している。このため、[[ふね型]]配座と比べて[[エネルギー]]的に安定的な配座であり、単結合の六員環化合物のほとんどのものがこのいす型配座の状態で存在する。ただし、これは置換基同士の反発を考えない場合である、
 
== アキシアルとエカトリアル ==
[[画像:説明図 シクロヘキサン1.PNG|300px|thumb|right|シクロヘキサンは室温で容易に環反転が起こる。アキシアル位に大きな置換基がある場合、隣のアキシアル原子との反発力が大きくなるため環反転の平衡はエカトリアル側に傾く。]]
'''いす型'''(Chair conformation)は[[シクロヘキサン]]等の環を構成する[[原子]]がすべて単結合の六員環の化合物において、すべての原子が[[ねじれ型]]の立体置を取ったとき形を言う。従って、[[ふね型]]に対して安定な型なので、単結合の六員の化合物のうちのほとんどの物質がこのいす型の状態で存在する。いす型の化合物は四つの原子が平行四辺形をとっており、そこから垂直に伸びた電子軌道を持つ原子を'''[[アキシアル]]原子'''、横のうでない原子を'''[[エカトリアル]]原子'''('''エクアトリアル原子''')と呼ぶ。シクロヘキサンの場合にはエカトリアル水素とアキシアル水素がそれぞれ6つずつあり、1個おきにおなじ方向に電子軌道を持つ原子があり、これらは互いに反発しあっている。アキシアル原子の電子半径が大きいと隣のアキシアル原子との反発力が大きくなるので、巨大な原子あるいは[[官能基]]は'''環反転'''(ring-flip)によりエカトリアルの位置に存在する場合が多い。
 
== 1,3-ジアキシアル相互作用 ==
[[画像:メチルシクロヘキサンの環反転.PNG|center|300px]]
[[メチルシクロヘキサン]]では、3位のアキシアルにあるメチル基が1,5位のアキシアル水素と反発し、[[立体障害]]となる。このためメチルシクロヘキサンは環反転の平衡は図の右側に傾く。この立体的な相互作用を'''1,3-ジアキシアル相互作用'''(1,3-diaxial interaction)という。
 
== 関連項目 ==
* [[ベンゼン]]
* [[メチルシクロヘキサン]]
 
 
[[Category:立体化学|いすかた]]