「物理モデル音源」の版間の差分

削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
編集の要約なし
1行目:
'''物理モデル音源'''('''ぶつりモデルおんげん''')は、[[DSP]]を利用して、生楽器の発音構造や共鳴構造等をコンピュータ上で仮想的にシミュレートして音を出す方式。生楽器だけでなく、実在しない楽器も作成することも可能である。
 
世界で初めて[[1993年]]に[[ヤマハ|YAMAHA]]の[[シンセサイザー]]'''VL1'''に搭載された。この'''物理モデル音源''''''物理音源''''''DSP音源'''とも呼ばれる。ヤマハはVL1に採用したこの音源方式を''Virtual Acoustic''音源の略として'''VA音源'''と名付けた。
 
世界で初めて[[1993年]]に[[ヤマハ|YAMAHA]]の[[シンセサイザー]]'''VL1'''に搭載された。この'''物理モデル音源'''は'''物理音源'''や'''DSP音源'''とも呼ばれる。ヤマハはVL1に採用したこの音源方式を''Virtual Acoustic''音源の略として'''VA音源'''と名付けた。
 
持続系の[[管楽器]]や[[弦楽器]]など音色変化のある楽器のシミュレートを得意とするが、減衰系の[[ピアノ]]や[[ドラムセット|ドラム]]の音は[[PCM音源]]に比べて得意でない。
 
コントロールする項目が多いため、鍵盤を押しただけではリアルな音が出せず、ブレスコントローラなどを利用して初めてリアルな音が出せる。そのため、PCM音源のような手軽さはなく、弾きこなすには相当の訓練を要する。複雑な処理を音源で行うため、最大同時発音数は1音または多くても16で、同価格帯のPCM音源より発音数が少ない。
 
以上の点から、VL1発売当初はPCM音源がFM音源を駆逐していくように、いずれは物理モデル音源がPCM音源を駆逐していくかと思われたが、発売から10年以上経過した現在でも、あまり普及せず、波形の大容量化による音質の向上もあってPCM音源が主流のままである。
 
以上の点から、VL1発売当初はPCM音源が[[FM音源]]を駆逐していくように、いずれは物理モデル音源がPCM音源を駆逐していくかと思われたが、発売から10年以上経過した現在でも、あまり普及せず、波形の大容量化による音質の向上や音色のバリエーションの増加もあってPCM音源が主流のままである。
 
現在、ヤマハではウィンドシンセWX5用の音源モジュールVL70-mと[[MOTIF]]シリーズや[[MUシリーズ]]などの拡張ボードPLG150-VLとSTAGIA等の一部のエレクトーンに搭載されている。
 
[[ヤマハ|YAMAHA]]以外では、[[コルグ|KORG]]社のZ1やProphecyなどの'''MOSS'''音源も物理モデル音源であり、ヤマハからライセンスを受けた技術を応用した音源を搭載している。Z1やProphecyともに2005年現在は生産完了しており、[[TRITON]]シリーズのオプションの拡張ボードとしてのみこのMOSS音源は販売されている。
 
[[ヤマハ|YAMAHA]]以外では、[[コルグ|KORG]]社のZ1やProphecyなどの'''MOSS'''音源も物理モデル音源であり、ヤマハからライセンスを受けた技術を応用した音源を搭載している。Z1やProphecyともに2005年現在は生産完了しており、[[TRITON]]シリーズのオプションの拡張ボードとしてのみこのMOSS音源は販売されている。
 
 
アナログシンセサイザーをデジタルで再現したNord Leadや、ローランドのJP-8000などの[[バーチャルアナログ音源]]は、この物理モデル音源を生楽器でなく、アナログシンセサイザーに特化したものである。