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'''地雷'''(じらい、(『ぢらい』とあらわすこともある。)landmine)とは、地上または地中に設置され、人や車両の接近や接触によって爆発して危害を加える[[兵器]]。対人用、対車両用がある。比喩的用法については[[#転用]]参照。
 
== 解説 ==
[[Image:Mines 501556 fh000026.jpg|thumb|250px|地雷]]
古典的かつ伝統的な物では、一定の[[重量]]が[[信管]]にかかることによって作動し、[[爆発]]することで通過した人や物を[[殺傷]]・[[破壊]]することを目的としている。対人地雷には、前述の圧力式のほか、ワイヤでピンが抜かれることで爆発するもの(引張式)、遠隔操作で[[起爆]]させるもの、[[赤外線センサー]]等を使用するものがある。中には[[地雷探知機]]の発する[[磁気]]を感知して爆発するものまである。
 
設置方法はさまざまで、人が地面に設置する、地雷を撒くための車両や[[ヘリコプター]]を使って一気に撒く、航空機を利用し、[[クラスター爆弾]]の中に入れて広範囲に撒き散らすなどがよく使われる。
 
基本的に踏めば即起爆するものが一般的であるが、[[第二次世界大戦]]中にドイツ軍が使用した'''Sマイン'''(ドイツ語読みではSミイネ)と呼ばれる対人地雷は、触覚状の信管を踏むと火薬の爆発により地中から高さ1mほど飛び上がり、そこで炸薬を起爆させ鉄球を飛び散らせることで踏んだ人物以外にも被害を与えうる。
 
対応する重量によって、対人地雷・対戦車地雷などに分類される。第2次大戦中の対戦車地雷の感知重量は90kgから200kgに設定されており、通常、人が踏んだくらいでは爆発しない。
 
地雷の戦略上欠点としては、一度通過すればそこは安全地帯になってしまうということが挙げられる。一度爆発すればそこにはもう地雷はないし、爆発しなければそこにはそもそも地雷がない。そのため過去においては、捕虜に前を歩かせその後ろを行軍するといったことも行われた。また巨大なローラーのようなものを車両の前に取り付ける対地雷装備も開発されている。この欠点を補う為に複数回刺激が加わって爆発する地雷が造られた。これには隊列を組んで行軍している部隊に対してより多くの被害を与えられるというメリットもある(先頭を歩いている者が踏んで爆発するよりも隊列の中間で爆発する方がより被害が大きい)。一方でこのような地雷は残留地雷の問題をより厄介にしている。
 
広範囲に地雷が埋設された場合、その地域は[[地雷原]]と呼ばれる。地雷原に対しては小型爆弾を大量にばらまき地雷ごと爆破させる[[日本]]の[[92式地雷原処理車]]のような対地雷兵器なども開発されている。(→[[地雷処理戦車]])
 
適切に敷設し、適切に管理された地雷原は比較的低コストで防衛ラインを設定できるため、国境線や海岸線の長い国にとっては、効果的な防衛に適している。しかし不適切に敷設されたり、適切に管理されていない地雷原は敵だけでなく味方にとっても脅威となる。前線がいきつもどりつしているような場合、内戦が長期化している場合など、地雷は敵・味方あるいは軍人・民間人を区別せず爆発する。そのため、地雷を敷設した場合は、記録した上でそのことを直ちに友軍へ連絡する必要があり、戦闘終結後には速やかに地雷を撤去することになっている。そのため、正規軍が敷設する地雷は敵対勢力の脅威になりこそすれ、民間人や友軍の脅威にはなり得ない。
 
=== 新機能 ===
近年になって開発された地雷は、行方不明になった際の安全対策も進化したものになっている。
*敷設時にタイマーをセットし、それを経過した時点で完全に無力化する。
*暗号化された無線送信に対して応答して所在を知らせ、回収を容易にする。
その他残置された地雷を非戦闘員が後日に触れて被害に遭うことを相当な高確率で防止する機能は次々に開発されている。つまり、今叫ばれている地雷の人道的な面での問題のほぼ全ては、(コストは掛かるが)技術で解決が可能なものである。しかし、昨今問題とされているのはこうした機能を持たない旧式の地雷であり、地雷を敷設する際のセオリーを守ることのない非正規交戦組織によるものであり、発展途上国では現在でも依然として安価且つ大量に製造販売が行われている。
 
=== 戦略上の地雷 ===
地雷は原則として(自分から飛んで行ったり)能動的に攻撃を行うものではない。これは日本政府が標榜する「専守防衛」に極めて適ったものである。とはいえ、[[陸上自衛隊]]は対人地雷禁止条約(後述)に従い、2003年2月までに処理訓練用のものを除く対人地雷を廃棄した。もっとも、遠隔操作のみで爆破可能な[[Fordonsmina 13|指向性散弾]]は条約の禁止する対人地雷に含まれないため、代用武器として使用している。
 
== 対戦車地雷 ==
[[Image:TM-46 AP-mine.JPEG|thumb|250px|TM-46対戦車地雷]]
'''対戦車地雷'''(たいせんしゃじらい)は、主に[[戦車]]などの[[装甲戦闘車両]]を破壊する事を目的として使用される地雷である。
 
一般に、[[軍用車両]]は底部の装甲が最も薄いため、地雷による攻撃はかなり有効な手段となる。故に、5から10kg程度の火薬でトラックや[[装甲兵員輸送車]]等を十分に破壊することができ、[[軽戦車]]を横転させ、[[主力戦車]]に対してもキャタピラやサスペンションを破壊するなどの威力がある。
 
70kgから130kg以上の加重で起爆するようにされており、これは武器弾薬等を携帯した兵士が踏んでも起爆せず車両を攻撃する為である。磁気吸着式により、車両に吸着させるタイプや、有人管制により手動で起爆させるタイプもある。地雷除去を防ぎ、殺傷力を上げるために対人地雷とセットで埋設されることがある。人間が踏んでも起爆装置の中心点を踏めば起爆しないが少しでも中心点を外れた部分を踏めばテコの要領で起爆する重量に達してしまい起爆してしまう。そのため現在の陸上自衛隊での教育時にも対戦車地雷だからと言って踏んでも問題ないわけではないことを十分に教育している。
 
対戦車地雷に対抗する為には、車両の底部の装甲を厚くしたり、二重にする、車両床を高い位置にし爆風を逃がすV字型にする、装輪数を増やすなどの方法がある。
 
[[爆薬]]が不足している軍・武装勢力においては[[榴弾砲]]や[[迫撃砲]]の[[砲弾]]や[[無誘導爆弾|航空爆弾]]を地面に埋め込み、対戦車地雷として利用した例がある。旧日本軍の場合、地雷を背負って敵戦車の前に身投げしたり、穴を掘って爆弾を抱えてうずくまり、敵の接近に合わせて信管を叩く「人間地雷」戦術を実行している。
 
パレスチナでは重装甲で知られる[[イスラエル国防軍]]の[[メルカバ (戦車)|メルカバ Mk 3]]戦車を行動不能にし、イラクでは対戦車地雷を積み重ねる事により[[アメリカ軍]]の[[M1エイブラムス|M1A2SEPエイブラムス]]戦車を完全に破壊した。
 
== 対人地雷 ==
[[Image:M18 Claymore Mine.jpg|thumb|250px|対人地雷の一種 [[クレイモア地雷]]]]
現在使われる主な'''対人地雷'''(たいじんじらい)には、踏みつけた人間の足を踝(くるぶし)から吹き飛ばす程度の威力をもった小型のもの、容器が二重になっていてワイヤーや踏圧その他で信管が作動すると内側の容器が空中に1-2m打ち揚がって爆発し、内部の鋼球などを撒き散らして周囲数十mの敵を倒すことを狙った大型のもの([[跳躍地雷]])、信管が作動すると扇状の範囲に鋼球を撒き散らして殺傷する地上設置型のものなどがある。
 
炸裂した時、一定の方向に扇形に散弾を発射する性質(指向性)を持った地雷([[クレイモア地雷]]など)を指向性対人地雷、または指向性散弾といい、危害範囲が非常に広いのが特徴である。これは地中に埋設するのではなく、付属した簡易な三脚や四脚に載った形で地上に設置され、水平方向に散弾や弾片を射出する。また、張られたワイヤーに兵がひっかかることで作動するだけでなく、遠隔操作で任意のタイミングで炸裂させることもできる。これにより兵が密集していた場合、一度に10名以上が殺傷されることもある。
 
安価で数多く使われる小型のものは、敵兵を殺すことではなく、敵兵に重傷を負わせることにより戦闘不能にすることを目的としている。敵兵を1人戦死させれば、それは敵の兵力を1減らすことになる。しかし、敵兵1名に重傷を負わせれば、敵は重傷者を後送する兵・手当てする兵を確保せねばならず、前線の敵兵力を2名以上減らすことができる。
 
またこういった小型のものは空中投下して散布することが可能である。しかし正確な散布場所が分からなくなるので被害を出しやすい危険な方法である。広く流布した話に「小型地雷に子供の興味を引くぬいぐるみやおもちゃのようなものを取り付けてばら撒き、触れた子供の手足や生命を奪う」と言うものがあるが事実として確認されていない。(ソ連軍のアフガニスタン進駐等で使用されたとする記事も多いがその実態は空中散布式のバタフライ型地雷PFM-であったようだ。不発弾を発見しやすくするための明るい色や、散布時に適度な空気抵抗を得るための独特な形状を見ておもちゃと誤解した子供が触れたのを、勝手に手の込んだ罠と解釈したものが実に多い。)。
 
以上のように対人地雷は敵味方軍民を問わず被害をこうむる危険があるため厳格な運用が必要とされる。しかし紛争国では無計画に埋設された結果、除去困難に陥り戦後の紛争の後遺症として住民を苦しめ続ける事似なる例が見られる。そのため[[規制が議論されている兵器|規制が議論されている]]となっている。そのような観点からオタワ条約が発効した。ただ地雷に安全対策を施すのではなく対人地雷そのものをなくそうという非現実的な内容だったため、主要な地雷輸出国が批准せず肝心の紛争地帯での地雷被害は減っていない。
 
== 戦場に於ける地雷原の突破 ==
戦場に於いて地雷原を突破する際には以下のような方法が取られる。
; 地雷処理用の専用機材を用いる
: もっとも望ましい方法であり、前述の[[地雷処理戦車]]や地雷処理用の機材(地雷原処理用のロケット弾発射機等)を使用する。以前は、戦車の前方方向に伸びた機材で対戦車地雷を捜索し爆破するスネークが使用されたこともある。また地雷の探知に[[第二次世界大戦]]から使用され始めた[[金属探知機]]を用いる方法もあるが、これは'''木製地雷'''等の金属の使用量が極めて少ないものに対しては効果を発揮できない。
;地雷原に銃砲撃を加える
: [[砲兵]]部隊の支援が受けられるならば、地雷原に砲弾を撃ち込み地雷を誘爆させるという方法もある。これは砲兵でなくとも、進撃する[[戦車]]自身が搭載砲で道路を射撃することもある。また露出している地雷に対しては遠距離から[[対物ライフル]]等で銃撃を加えることで安全に処理する。現在は大型の狙撃銃として知名度の高い[[バレットM82]]も元々は爆破物処理機材として[[スウェーデン軍]]に採用されたのが始まりである。その他にも、[[エル・アラメインの戦い]]で、悪魔の園と言われた二重三重に埋めてあるドイツ軍の対戦車地雷をイギリス軍が砲撃を加えて爆破処理した例もある。
; 無人の車両を走らせる
: 戦場に於いて捕獲した自動車のエンジンを掛け、一定距離を走らせる。自動車は貴重品だが、それを惜しみ失うであろう戦車や人命に換えられるものではない。又、[[ドラム缶]]に砂利等をつめ、地形の傾斜などを利用して転がすという方法もある。
; 歩兵の一般装備を用いて地雷を処理する
: 上記のような方法が取れないとき、歩兵が[[スコップ]]や[[ナイフ]]を用いて地中を探り、地雷を除去(単にマーキングだけに留めることもある)する。地雷は一定以上の圧力が加わらないと爆発しないので、ナイフ等でコツコツ叩く程度では安全である。
: ただし地雷の中には除去する人物をも対象にしたものがあるので注意が必要である。例えば信管が複数存在する地雷や、ある一定の角度以上に傾けると爆発する地雷がある。また、そんな機能を備えていなくとも地雷を二重に設置し、下の地雷の[[信管]]を上の地雷に結ぶ。こうすれば除去する誰かが上の地雷を取り外そうと持ち上げれば、下の地雷が起爆する。
; 非人道的な方法を用いる
: 上記のような「正攻法」ではなく、敵の[[捕虜]]や一般市民を背後から銃で脅し、部隊の先頭を歩かせるという方法がある。[[第二次世界大戦]]の[[東部戦線]]では独ソ両軍で見られた光景である。また人を使うのではなく動物を使う方法もあるが、こちらは成功しないことが多い(あらぬ方向に走っていく)。但しこれらの方法では重量の関係で対戦車地雷に対する効果は薄い。
; 無視する
: 悠長に地雷を処理していられる時間のない緊急時に於いては'''「踏んだら不運と諦めろ」'''という様に地雷の存在を無視して行動することもある。また、人命が軽視される、あるいはできうる体制下にあっては、'''「十個の地雷があっても、十一人の兵士がいれば必ず突破できる」'''という考え方がなされる場合もある。これは、ノルマンディー上陸作戦のオマハF地区での戦闘に例が見られる。
 
== 対人地雷全面禁止条約 ==
[[Image:Ottawa Treaty members.png|thumb|350px|{{legend|#0078ac|条約批准国}}]]
[[Image:Minefield warning.JPG|thumb|300px|ゴラン高原の地雷原標識、シリア陸軍によって40年以上前に設置されたもの]]
[[Image:Metal_detector.jpg|thumb|250px|[[89式地雷原探知機セット]]]]
このような地雷に対し、人道的な見地から「[[対人地雷の使用、貯蔵、生産及び移譲の禁止並びに廃棄に関する条約]]」(対人地雷全面禁止条約、オタワ条約などともいう)が作られ、[[1999年]][[3月1日]]に発効した。この条約が作られる機運を盛り上げるにあたっては、[[イギリス]]の[[ダイアナ (プリンセス・オブ・ウェールズ)|ダイアナ元皇太子妃]]も大きな役割を果たした。
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