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温泉はその含有成分によって分類がなされる。またその分類も掲示用泉質名、旧泉質名、新泉質名など3種類存在する。以下は掲示用泉質名の分類である。温泉の種類は[[泉質]]についても参照のこと。
 
=== 単純泉 ===
含まれる成鉱物分・ガス分の含有量が大変少ないため(温泉水1kg(1ℓ1000mgに1g未満)刺激が少なく肌にやさしい。無色透明で、無味無臭。旧泉質名は単純泉。[[神経痛]]、[[筋肉]]・[[関節痛]][[うちみ]]、くじき、冷え性、[[疲労]]回復、[[健康]]増進などの一般的適応症に効果があるとされるが殆どは温泉の効能では無く温浴による効能である。
単純泉は成分の少ない単なる湯、質の低い温泉だと誤解されやすい。単純泉とは、成分の含有量だけを評価したものであり成分の種類について規定したものではない。よって単純泉とひとくくりにしても個々の泉質は多岐にわたるため単純な比較・分類はできない。成分の組成比によって、下記の各種温泉の性質を帯びることもあるし、様々な成分を少量ずつ含んだバランスの良い泉質となっているものもある。
 
=== 硫黄泉 ===
多量の[[硫化水素]]が多くまれる温泉。白濁して[[卵]]の腐ったような[[硫化水素]]の[[臭い]]があり、色は微白濁色。[[換気]]が悪い場合、中毒を起こすことがある。概して高温で、[[ニキビ]]、オイリー肌、[[皮膚病]]、[[リウマチ]]、[[気管支喘息|喘息]]、[[婦人病]]などの症状に効果あり。硫黄イオンは[[インスリン]]の生成を促す働きがあるので、[[糖尿病]]の症状にも有効。[[硫化水素]]は有毒物質で粘膜・皮膚・呼吸器を強く刺激する。病中病後で[[体力]]が落ちている人や乾燥肌の人には特に注意が必要であり、リウマチや喘息の患者が安易に入浴することは時として不適切となる。当該患者が硫黄泉の入浴を希望する場合は、事前に医師の指導を仰ぐことが望ましい。硫化水素は[[金属]]を[[腐食|侵す]]ため、[[金]]と[[白金]]以外の金属製の[[アクセサリー]]を身につけて入浴してはならない。特に[[銀]]は著しく反応して輝きを失い黒くなる。
 
===塩化物泉 ===
[[ナトリウム塩類]]が含まれる温泉。旧泉質名は特に[[塩化ナトリウム|食塩]]を多く含む温。そのため食塩泉とも呼ばれる。1ℓ中に食塩1g以上を含む。主な効用としては、[[外傷]]、慢性皮膚病、打ち身、[[ねんざ]]、慢性ウマチ、[[不妊症]]、[[痛風]]、[[血管硬化症]]などがあげられる。飲用は胃腸慢性消化器病に効くといわれている(飲泉は、[[医師]]の指導を受け、飲用の許可がおりている場所で、注意事項を守って行うこと)。ナトリウムイオンは、脳の[[ホルモン]]を刺激し、[[女性ホルモン]]の[[エストロゲン]]を上昇させる働きがあるので、女性の[[更年期障害]]にも有効。
 
===鉄泉===
[[炭酸鉄]]・[[硫酸鉄]]を含む温泉。水中の鉄分が空気に触れる事によって[[酸化]]するため、湯の色は茶褐色であを呈する。殺菌消毒作用がある。炭酸水素塩系のものと[[硫酸]]塩系のものがある。この泉質の温泉は保湿効果が高いので、体がよく温まる。[[貧血]]に効く。
 
===含銅・鉄泉===
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[[アルミニウム]]を主成分とする温泉。旧泉質名は、明礬泉、緑礬泉など。殺菌消毒作用がある。肌のハリを回復させる効果があり、また慢性皮膚病、[[水虫]]、[[じんましん]]などにも効く。明礬泉はとくに眼病に効果があるとされる。
 
=== 酸性泉 ===
水素イオンを量の遊離した[[硫酸]]・[[塩酸]]などをむ強いみ、[[酸性]]反応を示す温泉([[水素イオン指数|pH]]3以下)。刺激が強く、[[殺菌]]効果が高い。また、古い肌を剥がし新しい肌に刺激を与えて自然治癒力を高める効果もある。水虫や[[湿疹]]など、慢性皮膚病に効く。肌の弱い人は入浴を控えるか、入浴後に真水で体をしっかり洗い流すなどの配慮が必要。
 
=== 炭酸水素塩泉 ===
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=== 放射能泉 ===
微量の[[ラジウム]]、[[ラドン]]および[[アスタチン]]から[[水銀]]までの[[原子核崩壊]]によって生じる[[放射性同位体]]が含まれる([[ウラン系列]]の記事に詳しい)。特にラジウムの含有量の多いものはラジウム泉とも呼ばれる。これらが放つ[[放射線]]は人体に[[被曝|悪影響]]を及ぼす可能性は小さく、[[ホルミシス効果]]で[[免疫|免疫細胞]]を活性化させるので、むしろ[[健康|体に良い]]のではないかと考えられている。
[[皮膚病]]、[[婦人病]]を始め様々な[[病気]]や[[外傷]]に効果があるといわれ、特に良いとされるのは[[痛風]]、[[低血圧|血圧降下]]、[[循環器]]障害である。[[癌]]の発育を妨げることがあるのではないかとも言われている。ただいずれの適応症も今のところ確たる[[根拠に基づいた医療|エビデンス]]が得られておらず、今後の[[研究]]が待たれるところである。ラドン温泉の治療効果を解明すべく、[[三朝温泉]]には[[岡山大学]]医学部附属病院三朝医療センターが設置されており、本格的な療養を行っている。
 
=== 硫酸塩泉 ===
[[硫酸塩]]が含まれる。苦味のある味。[[硫酸ナトリウム|芒硝]]泉、[[石膏]]泉、正苦味泉に分かれる。血行をよくする働きがある。入浴効果は外傷や[[痛風]]、肩こり、腰痛、神経痛などに効く。飲泉は[[便秘]]やじんましんに効く。硫酸塩は、強張った患部(硬くなった肌)を柔らかくして動きやすくする働きを持っているため痛風や神経痛の症状に効果が高い。硫酸塩の中でも、[[硫酸カルシウム]]を多く含む泉質の場合、とろりとした滑らかな触感を伴う。硫酸カルシウムは[[石膏]]の成分であるためである。まれに誤解されるのが、[[硫酸]]が含まれていて危険ということである。硫酸は危険な物質だが、硫酸ナトリウム・[[硫酸マグネシウム]]などは無害な物質である。また、硫化水素泉のような悪臭も放たない。硫酸塩泉は温泉入浴を禁じられている人以外にはこれといった弊害のない無難な泉質である。家庭用[[入浴剤]]の多くが、硫酸塩泉と似た組成である。
 
==温泉マーク==