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{{格}}
'''主格'''(しゅかく; 英 nominative case 羅 casus nominativus)とは[[名詞]]・[[代名詞]]の[[格]]のひとつであり、典型的には名詞や代名詞(冠詞・形容詞の場合は修飾する名詞)が文の[[主語]]ないし主語と同格の[[補語]](属詞)になる場合に使用される。主格以外の格は[[斜格]]と呼ばれる。
ドイツ語では一格とも呼ぶ。
また、しばしば[[呼格]]を兼ねており、人・物への呼びかけなどにも使用される。
 
== 形態 ==
[[英語]]などの[[インド・ヨーロッパ語族]]では、格によって語形が変化するのが本来の姿であるが、現在では[[英語]]・[[フランス語]]・[[スペイン語]]・[[イタリア語]]など多くの言語で、代名詞(および、英語における名詞の所有格)を除いて格変化は消失している<ref>英語の[[人称代名詞]]には、主格・所有格・目的格の3つの格があり、主格はI, you, he, she, it, we, theyであ。</ref>
 
英語の[[人称代名詞]]には、主格・所有格・目的格の3つの格があり、主格はI, you, he, she, it, we, theyである。
 
格変化を保持している言語(代表例は[[ドイツ語]]・[[ギリシア語]]・[[ラテン語]]など)では、名詞・代名詞は単数主格形、冠詞・形容詞は男性単数主格形をもって辞書の見出し形とする。
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現代[[日本語]]の場合は、名詞に[[格助詞]]の「が」を加えることによって主格となる。日本語においても、主格が主語を標示するのが典型的であるが、「私は'''頭が'''痛い」「あの人は'''英語が'''話せる」「私は'''りんごが'''好きだ」などの例のように、格形態と[[文法関係]]にずれが生じることもある。この場合、格形態としては主格であっても文法関係(意味上)としては主語ではない。このような例は他の言語にも多く、例えば[[イタリア語]]の"Mi piace ~"(私は~が好きだ)でも、好む対象~が形式上の主格をとる。
なお、[[日本語文語体]]の主格は元来、無標(格助詞を伴わない)だった。しかし、連体修飾[[節]]内の主格は連体格助詞の「が」または「の」で示す規則があったため、のちに[[体言]]の[[終止形 (文法)|終止形]]が[[連体形]]に合流<ref>「日本語」の[[日本語#終止・連体形の合一|終止・連体形の合一]]の節も参照</ref>したのに呼応して、連体格助詞だった「が」(一部[[方言]]では「の」)を付けるようになった。そこで現代語では「が」が主格助詞となったのである。
 
== 主格補語 ==
「AはBだ」「AはBでない」の形式の名詞文(コピュラ文)におけるBは、主語Aと同格という意味で主格[[補語]]と呼ばれ、多くの言語では主格で表される。日本語と似た文法を持つ[[朝鮮語]]でも、否定の「Bでない」には主格助詞を用いる。しかし日本語では「で」(である)あるいは「に」(なり < にあり)という、主格とは異なる助詞を用いる点で特殊である。「AはBになる」のような変化を表す文でも、Bを主格で表す言語が多いが、日本語と同じように主格と異なる格で表す言語もある。例えば、[[フィンランド語]]でこ意味の補語は[[変格]](意味によっては部分格、[[様格]]となる場合もある)に置かれる。英語やデンマーク語では元々主格を用いていたが、目的語とみなされるようになり斜格("me"など)に置き換えられる傾向にある<ref>イェスペルセン『文法の原理(中)』第13章 格 158-160頁 デンマーク語では主格よりも対格を用いるほうが良いとされている。英語では口語的な表現である。</ref>
 
== 参考文献 ==
なお、[[日本語文語体]]の主格は元来、無標(格助詞を伴わない)だった。しかし、連体修飾[[節]]内の主格は連体格助詞の「が」または「の」で示す規則があったため、のちに[[体言]]の[[終止形 (文法)|終止形]]が[[連体形]]に合流<ref>「日本語」の[[日本語#終止・連体形の合一|終止・連体形の合一]]の節も参照</ref>したのに呼応して、連体格助詞だった「が」(一部[[方言]]では「の」)を付けるようになった。そこで現代語では「が」が主格助詞となったのである。
[[オットー・イェスペルセン]] 『文法の原理(中)』安藤貞夫訳 岩波文庫 2006年 ISBN 4003365747
 
== 脚注 ==
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{{language-stub|しゆかく}}
 
[[Category{{DEFAULTSORT:格|しゆかく]]}}
[[Category:格]]
 
[[ang:Nemniendlic cāsus]]