「連結納税」の版間の差分

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== 沿革(日本)==
政府機関レベルで連結納税制度について論議がなされたのは、昭和42年5月 [[企業会計審議会]]答申『連結財務諸表に関する意見書』の「財務諸表を制度化するには、連結に関する会計慣行を育成するとともに…その受入態勢を整備するため」という件においてであった。これは、昭和40年3月に出された[[監査]]態勢の充実強化についての[[大蔵大臣]]からの諮問に答えたものである。この頃、[[粉飾決算]]による倒産事件が多発し、特に[[子会社]]を利用しての財務諸表の粉飾がその原因となっていたものが多かったため、支配従属関係にある会社の[[監査]]充実を主目的として、[[連結財務諸表]]制度の導入が諮問された。しかし、この意見書では、会計に関する制度の改善を図る方策の一環として「税法の諸規定との調整を図ること。連結納税申告制度を採用する方向においてその具体的な内容について検討の要がある」と述べるに止まっている。さらに、[[証券取引法]]の連結財務諸表制度確立の直接の基礎となった昭和50年6月[[企業会計審議会]]答申『連結財務諸表の制度化に関する意見書』においても、連結納税制度の導入については触れられてはいない。<br/>
そして、近年における連結納税制度の論議は、平成8年3月[[経済団体連合会]]『連結納税制度に関する提言』において、「我が国経済の抜本的な構造改革は、21世紀に向けての不可欠課題である。経済活力の源泉たる企業活動の一層の効率化、活性化を目指し、企業は懸命に[[リストラ]]を進めている。…分社化を選ぶか、社内部門での経営を選ぶかといった選択肢に対し、本来、税制は中立であるべきであり、事業形態によって税制上の不利益が生じることがあってはならない。親子会社の経済的一体性を重視した税制として連結納税制度を早急に導入すべきである。」と提言したことにより始まる。これは、日本経済の[[グローバル化]]・ボーダーレス化に伴う国際的競争の激化を身近に感じている経済界を中心に、日本企業の競争相手である[[アメリカ合衆国|米国]]および[[欧州連合|EU]]加盟の[[ヨーロッパ諸国]]においては既に連結納税制度を導入していることもあり、税制面においても欧米諸国の企業と同等の条件となる連結納税制度の導入を強く希望していたためである。<br/>
この[[経済団体連合会]]の提言に答える形で、平成8年11月[[税制調査会]]法人課税小委員会報告において、「わが国企業の活性化を図る観点から企業の分割を促進するため、あるいは企業形態に対する税制の中立性を維持することをその理由として、連結納税制度の導入が必要であるとの意見がある」と述べ、「連結納税制度については、今後、[[商法]]や[[企業会計]]の分野で連結納税制度等がどのように制度化され定着するか、企業経営の実態が連結納税制度に相応しいものとなるか、そうした変化を踏まえて国民がこの制度をどう認識するか注視していく必要がある」として、「これらを踏まえて、引き続き研究課題とすべきであろう」と結んでいる。しかし、翌年の平成9年12月税制調査会『税制改正に関する答申』においては、「連結納税制度については、今後、企業経営の実態や[[商法]]等の関連諸制度のあり方、さらには、[[租税回避]]や税収減の問題といった諸点を踏まえつつ、引き続き検討を深めていく必要がある問題です。」としており、まだこの時点では、連結納税制度の導入には必ずしも積極的ではない。<br/>
翌々年の平成10年12月[[税制調査会]]『[[税制改正]]に関する答申』においては、「分社化や[[持ち株会社]]化などの企業の組織形態の多様化に対応する観点や、経済の急速な国際化が進展する中、国際競争力の維持・向上に資する観点などから、企業集団をいわば一つの「課税単位」とする連結納税制度について、まずは、専門的・実務的観点から、法人税小委員会において本格的な分析・検討を行うことが適当と考える。」としており、前向きに取り組もうとする姿勢が見受けられ、平成11年度『[[税制改正]]大綱』では、「日本経済を支える企業の国際競争力を諸外国と同等の条件とし、日本経済の活性化を促すため、2001年を目途に連結納税制度の導入を目指すこととする。」と述べ、連結納税制度の導入についての関心が非常に高まってきた。<br/>