「ミシュランガイド」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
{{告知}} |
内容ほぼ不変のまま大幅に編集。ノート参照 |
||
1行目:
{{告知}}
'''ミシュランガイド'''
それらのうちで代表的なものは、レストランの評価を星の数で現すことで知られるレストラン・ホテルガイドであり、これは装丁が赤色であることから'''レッド・ミシュラン'''(Red Michelin、仏:'''ギド・ルージュ''' Le Guide Rouge<!--'''赤ミシュラン'''とも呼ばれる。-->)とも通称される。他には、緑色を基調とした装丁から'''グリーン・ミシュラン'''(Green Michelin、仏:'''ギド・ヴェール''' Le Guide Vert<!--'''緑ミシュラン'''とも呼ばれる-->)とも呼ばれる[[旅行ガイドブック]]や、自動車旅行向けの道路地図'などがある。
== 歴史 ==
[[第一次世界大戦]]に伴い[[1915年]]から[[1918年]]まで出版が中断したものの、終戦後には旅行ガイドブックのシリーズとして『古戦場案内』も刊行された。この頃、ある修理工場を訪ねた際に傾いた作業台の足代わりとしてミシュランガイドが地面に積み重ねているのを見かけて「人間は金を払って買ったものしか大切にしない」と考えたミシュラン社のミシュラン兄弟はそれまでの無償配布を中止、1920年からは有償での販売となった<ref name="rekishi">[http://www.michelin.co.jp/guide/history/guide.html ミシュランガイドの歴史] 日本ミシュランタイヤ株式会社</ref>。
[[1930年代]]にはレストランを星で格付けする方式が開始され、ミシュラン社員が匿名で施設の調査を行うようになった<ref name="rekishi"/>。星の数は当初の1つ星のみから、2つ星までとなり、現在の3つ星方式は1933年が最初である。 [[第二次世界大戦]]に伴う[[1940年]]からの出版中断を経て、[[1945年]]に登場した改訂版では戦争で破壊されたレストラン・ホテルが点線で示された。星による格付けの再開は[[1950年]]版からであった。
[[1956年]]、初めてのフランス国外版として「北イタリア」版ガイドが創刊され、[[ベネルクス]]版、[[スペイン]]版が続いた。2005年には、初めて[[ヨーロッパ]]以外を対象とした「[[ニューヨーク市|ニューヨーク・シティ]]」版が登場、3つ星レストランがわずか3軒、しかも全てがフランス人[[シェフ]]の店だったことで物議を醸した。2006年には「[[サンフランシスコ]]とベイエリア」版が加わった。2007年には[[欧米]]以外では初となる[[東京]]版が出版された。
== レストラン・ホテルガイド ==
これはミシュランガイドのなかで代表的なものであり、レストランとホテルを評価・案内している。伝統的に赤色の装丁を特徴とし、フランス国内を中心に日米欧各都市・地域と言語別の分冊になっている。レストランやホテル1件ごとの記載があり、それぞれに対して各種記号による格付けがなされている。
=== 評価と格付け ===
*星印による評価( =料理そのものの評価)
星の数は次のような意味を持つ<ref name="guidetokyo">[http://www.michelin.co.jp/guide/index.html ミシュランガイド東京] 日本ミシュランタイヤ株式会社</ref>。
(1つ星) - その分野で特に美味しい料理
(2つ星) - 極めて美味であり遠回りをしてでも訪れる価値がある料理
(3つ星) - それを味わう為に旅行する価値がある卓越した料理
ミシュランガイドでは、星印が付かなくとも掲載されていること自体で一定の評価を得ていることを意味するが、2007年発行の東京版では史上初めて掲載全店に1つ以上の星が付与された。「フランス」版(2006年)では、掲載された約8,900軒以上のレストランのうち26軒が3つ星を得ている。
*フォークとスプーン印による評価( =快適さとサービスによる評価 )
スプーンとフォークでX字形に組み合わせた印を5段階で用いることによって評価を現している<ref name="guidetokyo"/>。ホテルの項目では[[ファサード]]をマーク化したものが用いられる。
*ビブによる評価(コストパフォーマンスによる評価 )
ビブとはミシュラン社のキャラクターである「ムッシュ・ビバンダム」のことである。レストランには[[1997年]]、ホテルには[[2003年]]から用いられるようになった比較的新しい基準で、それらのコストパフォーマンスを現している。レストランの場合パリ郊外では26ユーロ未満、パリでは34ユーロ未満の予算で料理が提供されること<ref name="guidetokyo"/>が条件となる。
ガイドブック内に[[広告]]は掲載されず、評価対象に対しては匿名での調査を基本とする。フランスの慣習「料理評論家は評価対象のレストランでの食事代金を支払わない」には従わないが、身分を明かした後、写真撮影の為の料理代金は店持ちとなるという<ref name="asahi1121">[http://book.asahi.com/news/TKY200711210415.html ミシュラン東京版発売 星150店「納得」「疑問」の声] 『朝日新聞』 2007年11月21日</ref>。調査員は調査地域を固定されることなく、各地を転々とする。調査員の大半はホテル学校の卒業生で、5年から10年のレストラン・ホテル業界経験者のミシュラン社員である<ref name="guidetokyo"/>とされる。
さらに、調査員の身分を明かしてレストラン・ホテルの経営者やシェフについて聞き取りを行う「訪問調査」が組み合わされる。全てのレストランには少なくとも18箇月に一度、星を与えられたレストランには年に数回という頻度での「試食調査」が行われているといわれる{{要出典}}。最終的な決定は調査員からの報告書とミシュランガイドに織り込まれている読者カードにより寄せられた読者の意見なども加味して、審査員全員の合議により決定される。
{{出典の明記S}}
3つ星を与えられた施設は多くの客を集め、経営者やシェフはマスコミに取り上げられる。また食品や食器の製造企業とのスポンサー契約なども見込める。逆に、3つ星から2つ星に評価が下がる場合には、その負の影響を考慮して事前通告がなされるという。
ミシュランの調査員を16年間務めたパスカル・レミ(Pascal Remy)は自著『L'Inspecteur Se Met a Table』<ref>「裏ミシュラン」 吉田良子(訳)、バジリコ ISBN 4901784587</ref>において、3つ星レストランのなかには既にその価値が無くなっているにも係わらず、しがらみから星の数を維持している店も在る等の実態を暴露している。そのほか、星に纏わる逸話には次のようなものがある。
*[[1966年]]、[[パリ]]の人気レストラン「ルレー・デ・ポルクロール」のシェフ、アラン・ジックが自殺。ミシュランの評価が下がったことを気にしたのが原因と噂された。
*[[2003年]]、[[1980年代]]に天才料理人ともてはやされた[[ベルナール・ロワゾー]]が自殺。自身の3つ星レストラン「ラ・コート・ドール」の2つ星への降格が打診されたのことが原因と噂された。2003年版で同レストランは3つ星を維持<ref>tadasi,レストラン・ガイドの『ゴー・ミヨ』誌は同年に19点から17点に評価を落とした</ref>した。
*世界で最も有名な[[フランス料理]]レストランのひとつであり1933年以来3つ星を維持していた「[[トゥール・ダルジャン]]」<ref>1947年から2006年までのオーナー、クロード・テライユは「世界のレストランは2種類ある。トゥール・ダルジャンとそれ以外のレストランだ」と語っている(宇田川悟 『フランス料理は進化する』 文芸春秋 ISBN 4-16-660219-3)。</ref>は[[1996年]]、2つ星に降格。オーナーが一時失踪したと伝えられた。同店は観光客が入り過ぎて雰囲気が悪化しているとされ、2006年版では1つ星にまで降格している
*パリのを代表する高級レストランのひとつとして3つ星を得ていた「マキシム(Maxim's)」だが、[[1978年]]版から6つの店が突然掲載されなくなった。マキシムは「当方はレストランではなく劇場。従ってミシュランは正しい」としたが、実際のところは3つ星から2つ星への降格を打診され、これを受けたマキシムがレストランとしての掲載を拒否したというものであった。
== ミシュランガイド東京 ==
2007年11月20日、『ミシュランガイド東京日本語版2008』が発行された。これは欧米以外では初めての版であり、[[和食|和食店]]や[[寿司屋]]が3つ星を取得した初めての例である。格付けは「3つ星」がパリに次ぐ8店だったのを始め、掲載店全てが「1つ星」以上を獲得、星の合計は190を超えた。発売に際しミシュランガイド総責任者、ジャン=リュック・ナレは「東京は、世界一の美食の町である」と語った<ref name=asahi>[http://www.asahi.com/food/news/TKY200711190221.html asahi.com 三つ星レストランは8軒 - ミシュランガイド東京版発表] 『朝日新聞』 2007年11月19日</ref>。
発売日から4日間で初版12万部をほぼ完売、発売初日に9万部も売れたのは、ミシュランガイド史上初めてであったという<ref>[http://www.michelin.co.jp/media_center/news/corporate/071127.html 「ミシュランガイド東京」、発売初日に9万部販売 日本語版12万部をほぼ完売し、重版決定] 日本ミシュランタイヤ(プレスリリース、2007年11月27日)</ref>。
=== 調査 ===
予め選び出された東京のレストラン約1000軒を覆面調査員が1年半を掛けて訪問、盛り付けの見た目、味、食材の鮮度、仕込みの度合い等といった観点から星が評価された<ref name=asahi/>。2008東京版の調査員はフランス人3名、日本人2名の計5名で、調査対象は約1500軒だったとも言われる<ref name=asaduma/>。日本ではフランス人の来店客は目立つことに加え、下記の様な特異な行動を取ることで調査員であることが店側に見破られることもあったという<ref name=asaduma/>。
* 席に着いた直後に皿を裏返してしげしげと眺める
* 2名で来店し、1人がアラカルト、1人がコースで料理を注文する
* コースの内数皿だけ省略するよう要望する
* 電子辞書で食材を調べる
* メモを取
===
掲載対象となるのはミシュランの取材を受け入れた店のみであり、総責任者ナレは日本のテレビ番組で「東京版で星を獲得した店から掲載を拒否されたことはない」としている<ref>情報番組 『[[ブロードキャスター]]』 (TBS) 2007年11月24日放送</ref>。ミシュランからの取材や撮影依頼を受けたものの、その手法を嫌って協力を拒否、掲載されなかった有名店<!--日本料理店『麻布かどわき』-->もある<ref name="asahi1121"/>。
===
格付け結果には異論があり、3つ星を獲得した店が[[Yahoo! Japan]]の掲示板では5点満点中平均3.09点だった例がある<ref>[http://www.j-cast.com/2007/11/20013580.html ミシュラン3つ星「すきや橋 次郎」 「最悪」から「絶賛」までの評判] 『J-CASTニュース』 2007年11月20日</ref>。また、東京版と名乗りながら東京23区のうち8区の店舗しか取り上げられていない、[[焼き肉]]・[[焼き鳥]]店の掲載が皆無など料理の分野に偏りがある、などの批判がある<ref name=akada>赤田康和・松村北斗 「ミシュランに賛否 - 質の高さ気づかせた/評価ばらつき」 『朝日新聞』 45288号、朝日新聞東京本社、2007年11月22日、31面。</ref>。フランス人調査員の中には、[[モズク]]など和食に使用される食材に嫌悪感を示す者がおり、店側が気を遣い通常のメニューとは異なる食材で料理を提供した例もあったという<ref name=asaduma>浅妻千映子 「都内有名店が明かす『ミシュラン』バレバレ覆面調査 - フランス人がやってきて『もずくは苦手です』…」 『週刊文春』 49巻46号、文藝春秋、2007年11月29日、34頁</ref>。<!--誤植や店舗名の表記間違いが存在するが、2007年[[12月]]に発行された第2版でも修正されていない。-->フランス人が和食を適切に評価できるのかとの疑問に対して、総責任者ナレは調査員に日本人が加わっていることで問題はないとしている。
== その他のガイドブック ==
=== 観光ガイド ===
緑色の装丁を特徴とし、対象地域の観光地を案内するガイドブック・シリーズである。
レストランガイドと同様、観光地の見所を星の数で評価している。項目は通常アルファベット順にならべられ、写真<ref>一時期までは写真をまったく使用せず図版のみだった</ref>、イラスト、平面図などで旅行者に理解を与える工夫がなされている。<!--2007年には日本編が作られ、多くの日本の旅行代理店が外国人向けの企画の際、参考文献として使われることが多い。-->
=== 実用旅行ガイド ===
2005年3月から発行されている実用旅行ガイドブック
*[[フランス語圏]]
**フランス本土:[[ブルターニュ半島|ブルターニュ地方]]、[[コルシカ島]]
115 ⟶ 94行目:
**[[中華人民共和国]]
**[[日本]]
***日本版
===
「'''Guide escapade'''」と名付けられ、主に[[都市]]を対象と
*フランス:[[ブルターニュ半島|ブルターニュ地方]]、[[ペイ・ド・ラ・ロワール地域圏|ロワール]]の古城、[[パリ]]
*[[ベネルクス]]:[[アムステルダム]]、[[ブルッヘ|ブルージュ]]-[[ゲント|ガン]]-[[アントウェルペン|アンベール]]([[フランドル]]地方)、[[ブリュッセル]]
128 ⟶ 107行目:
*[[北米]]:[[フロリダ州]]、[[ニューヨーク]]、[[サンフランシスコ]]、[[モントリオール]]
*[[アジア]]:[[タイ王国]]
=== バリューなレストランガイド ===
「'''Les guides gourmands'''」。[[意訳]]すると「[[食道楽]]の手引き書」となる。フランスの地方の比較的安価なレストラン等を掲載している。
==雑学==
*[[1944年]]、[[ノルマンディー上陸作戦]]を行ったアメリカ軍は、その前線に「ミシュランガイド・1939年版」を極秘扱いで写真電送したという{{要出典}}。
*フランスにおけるミシュランガイド(レストラン・ホテル)の表紙の表記は、従来『Le GUIDE ROUGE』だったものが[[2004年]]版からは単に『Michelin』に戻った。<!--ミシュランの他のガイドブックと区別する為「ギド・ルージュ」は愛称として使用される。-->
== 脚注 ==
|