「密度効果」の版間の差分

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== 具体的内容 ==
密度効果が具体的にはどのように現れるものかは、個々の生物でやや異なる。たとえば内田はアズキゾウムシについて詳しく調べた例では、成虫一個体当たりの[[産卵]]数、卵の[[孵化]]率、[[幼虫]]期([[]]を含む)の死亡率が、いずれも密度に依存して、高密度であるほど個体数が減少する方向に変化する。また、高密度では生まれる成虫個体も小型になり、繁殖能力が低くなる傾向がある。
 
そのような結果がどのような過程で生じるかには、様々な要因があるが、大きく分ければ個体間の'''相互干渉'''(mutual interfarence)と、環境の'''生物的条件付け'''(biological conditioning of environment)に分けられる。
 
=== 相互干渉 ===
個体数が多くなると、互いに接触する局面が増え、その結果、それぞれの活動を邪魔したり、傷つけ合ったりと言った直接的な影響が生まれる。あるいは互いの行動の邪魔になる場合もあるだろう。このような影響を相互干渉と言う。たとえば産卵時に他個体と接触することで産卵行動が邪魔されると、産卵数が減少する、というような具合である。内田によるアズキゾウムシの例では、卵の孵化率が密度の増加によって大きく低下することが分かっており、恐らく成虫による踏み付けが原因だろうと述べている(内田,1972)。ヒラタコクヌストモドキの場合、雌成虫による卵の[[共食い]]がかなり大きいと言う。
 
また、いわゆる[[ストレス]]によって体内の状態に変化をもたらすのもこれに当たる。なお、ストレスの場合、単一個体のみで孤独ストレスを生じる例もあり、この場合は具体的な個体間の関係は無いのであるが、相互干渉が極端に減少したことによる結果と考えれば、この範疇に含められる。
 
=== 生物的条件付け ===
多数個体が生息することで、その背景の環境に影響が出て、それがその生物の生育に影響することもある。これを環境の生物的条件付けという。これは物理的、化学的、あるいは生物学的な変化として生じる。例えば[[農業]]で言う[[嫌地現象]]もその一つである。
 
ヒラタコクヌストモドキの場合、成虫の胸部に臭腺があり、これから分泌されるエチルキノンによって次第にピンク色で臭くなる。この状態における環境の変化は化学物質だけでなく、微生物相にも大きな違いが生まれる。このような状態になるとコクヌストモドキに奇形が生じやすくなり、また原虫による寄生率も高まる。実験的には、産卵数も減少することが知られている。
 
また、アメリカの[[トノサマガエル]]類では、[[オタマジャクシ]]を狭い容器で飼育すると成長が阻害されることが知られている。面白いのは狭い容器でオタマジャクシを育てた時の水を使って飼育すると、広い容器でもオタマジャクシの成長阻害が見られる。つまり水がオタマジャクシで条件付けられたのである。この原因は1958年にリチャーズによって発見された。彼は10-15μmの粒子を通すフィルターで濾過することで条件付けが解除されることを発見し、また、オタマジャクシが[[]]をすると効果が強まるのを見つけ、糞中から[[プロトテカ]]という[[藻類]]を見つけ、これが原因であることを突止めた。
 
== 密度の定義 ==
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