「無人砲艦ヴァルキリー」の版間の差分

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'''無人[[砲艦]][[ワルキューレ|ヴァルキリー]]'''は、[[谷甲州]]の[[ハードSF]]に登場する[[宇宙戦艦|架空の戦闘艦艇]]。[[航空宇宙軍史]]シリーズの一冊、中編集『[[仮装巡洋艦バシリスク]]』の『砲戦距離一二、〇〇〇』と『襲撃艦ヴァルキリー』、中編集『星の墓標』の『星と海とサバンナ』に登場する。
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==建造経緯==
 
正規[[フリゲート|フリゲート艦]]を保有していなかった外惑星連合軍は、別の方法で航空宇宙軍に対して優位に立つことを考えた。つまり、小型の無人艦を暗礁宙域に潜ませ、有人艦では不可能な高機動を武器に敵の船隊を迎え撃つことである。
 
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==主兵装・戦法==
 
ヴァルキリーの備える唯一の武装は、大出力で収束性に優れた[[レーザー|レーザ]]主砲である。しかしヴァルキリーの圧倒的攻撃力の源泉はむしろその超長距離射撃管制システムである。第一次外惑星動乱当時の通常の艦艇が備えるセンサでは、レーザの照準が可能な限界は1,000km程度とされていた。これに対しヴァルキリーは10,000kmを遙かに超える長距離からの射撃が可能であるため、完全なアウトレンジからの攻撃が行える。これは着弾観測によるクローズドループ制御により可能になった。
 
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==劇中の活躍==
===砲戦距離一二、〇〇〇===
 
===『砲戦距離一二、〇〇〇』===
 
外惑星連合軍のヴァルキリーが初陣を飾る。ヴァルキリーはクロック以外の活動を完全に停止して小惑星に偽装していたが、輸送船団を護衛する警備艦に発見され、投射ミサイルによる攻撃を受ける。しかしその命中寸前に起動したヴァルキリーは、既破砕弾頭片が着弾するまでの数秒間に命中が予想されるすべての破片を主砲で蒸発させ、100Gもの爆発的加速で攻撃に転ずる。アウトレンジ砲戦システムにより2秒55隻の輸送艦を破壊したヴァルキリーは、しかし警備艦クルーにはその射撃管制方式を見破られてしまう。警備艦は爆雷とエンジン噴射による即席の煙幕を張ることで、かろうじてヴァルキリーの攻撃をかわすことに成功する。
 
===襲撃艦ヴァルキリー===
 
外惑星動乱終結130年後、プロクシマの武装組織ヴァルハラがヴァルキリーのシステムを元に同様の無人戦闘艦を製作し、地球からの輸送艦隊を人質に航空宇宙軍に要求を呑ませようとはかった。ヴァルキリーという対抗手段のない攻撃手段を有するヴァルハラに対し航空宇宙軍は要求を受諾するが、にもかかわらずヴァルキリーは輸送艦隊先導艦を破壊してしまう。これは戦闘を回避することを優先したためであり、輸送船団の積み荷である戦闘艇が脅威になる前に破壊しようとしたものであった。輸送艦隊本隊の司令官はかつて警備艦でヴァルキリーと戦ったことのあるダツ中佐であったが、ヴァルキリーの意図を理解し、積み荷を放棄し破壊させることにより撃破を免れる。これによりヴァルキリーは星系内の戦術的優位性を維持することになるが、戦略的には一時的なことであった。
 
===星と海とサバンナ===
 
外惑星動乱終結直後、抹殺されかかったラザルスを救出した[[タナトス戦闘団]]のダンテ隊長は、ラザルスを航空宇宙軍からの鹵獲無人艦に搭載して低速軌道で土星に向け送り出す。これに対しカリスト軍はラザルス抹殺のためヴァルキリーを送り込む。しかしその無人艦は制御中枢として改良シャチ・ジョーイの脳を搭載した高機動無人戦闘艦オルカキラーであった。オルカ戦隊との戦いの末自爆を試みたジョーイは完全な破壊を果たせず、外惑星連合軍に鹵獲され一応の修復がなされていた。迫り来る脅威を察知して目覚めたジョーイは、持てる限りの戦術とヴァルキリーの開発者であるラザルスから吸い上げた情報を駆使してヴァルキリーの裏をかき続け、ついに致命的な打撃を被ることなくヴァルキリーから逃げ切ることに成功する。帰投したヴァルキリーは外惑星連合軍の手により解体され、痕跡も残さないまでに消し去られることになる。