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'''四菩薩'''(しぼさつ)とは、[[仏教]]の信仰・造像の対象である[[菩薩]](真理を探求し、[[如来]]に成って悟りを開くために修行中の者)の組み合わせの1つである。文字通り「四名の菩薩」の意であるが、その意味するところは宗派や依拠する経典によって異なってくる。
{{Buddhism}}
'''四菩薩'''(しぼさつ)とは、[[仏教]]の信仰・造像の対象である[[菩薩]](真理を探求し、[[如来]]に成って悟りを開くために修行中の者)の組み合わせの1つである。文字通り「四名の菩薩」の意であるが、その意味するところは宗派や依拠する経典によって異なってくる。
=== 密教における四菩薩 ===
[[密教]]の「胎蔵曼荼羅」では、曼荼羅の中央に位置する「中台八葉院」に表わされる四体の菩薩、すなわち'''[[普賢菩薩]]'''、'''[[文殊菩薩]]'''、'''[[観音菩薩]]'''、'''[[弥勒菩薩]]'''を四菩薩と称する場合がある。
 
=== 天台宗密教における四菩薩 ===
[[密教]]の「胎蔵曼荼羅」では、曼荼羅の中央に位置する「中台八葉院」に表わされる四体の菩薩、すなわち'''[[普賢菩薩]]'''、'''[[文殊菩薩]]'''、'''[[観音菩薩]]'''、'''[[弥勒菩薩]]'''を四菩薩と称する場合がある。通常、四菩薩といえば、この密教における四菩薩を指す場合が多い
 
=== 密教天台宗における四菩薩 ===
[[天台宗]]系では[[阿弥陀如来]]の脇侍として、'''金剛法'''、'''金剛利'''、'''金剛因'''、'''金剛語'''の四菩薩を安置することがある。金剛法、金剛利、金剛因、金剛語の各菩薩は、単独では造像されることのまずないものだが、密教の金剛界曼荼羅では五仏([[五智如来]])の1つである阿弥陀如来の東・南・北・西に上記四菩薩が配されている。この形の阿弥陀五尊像(阿弥陀如来及び四菩薩像)は[[比叡山]]東塔常行三昧堂に安置されていたことが知られ、現存する古像としては、[[日光]][[輪王寺]]常行堂安置の五尊像(重要文化財)が知られている。
 
=== 日蓮宗・法宗における厳経の四菩薩 ===
'''法慧'''、'''功徳林'''、'''金剛幢'''、'''金剛蔵'''の四菩薩のこと。
[[日蓮宗]]・[[法華宗]]では、[[法華経]]に登場する'''上行'''(じょうぎょう)'''菩薩'''、'''無辺行'''(むへんぎょう)'''菩薩'''、'''浄行'''(じょうぎょう)'''菩薩'''、'''安立行'''(あんりゅうぎょう)'''菩薩'''を四菩薩と称する。法華経の第15章にあたる従地涌出品(じゅうじゆじゅっぽん)第十五の記述によれば、[[釈迦如来]]が説法をしていた際に大地が割れ、そこから涌き出た無数の菩薩の筆頭が上行菩薩、無辺行菩薩、浄行菩薩、安立行菩薩であり、これらの菩薩は釈迦亡き後の末法の世において[[法 (仏教)|仏法]]を護持するものとされている。[[日蓮]]は、世が乱れ災害が起きるのは邪教を奉ずるからだと主張し、鎌倉の街頭で法華経の教えを説いたが、自己をこうした上行菩薩になぞらえていた。
 
== 日蓮宗・法華宗における四菩薩 ==
[[日蓮宗]]・[[法華宗]]では、[[法華経]]に登場する'''上行'''(じょうぎょう)'''菩薩'''、'''無辺行'''(むへんぎょう)'''菩薩'''、'''浄行'''(じょうぎょう)'''菩薩'''、'''安立行'''(あんりゅうぎょう)'''菩薩'''を四菩薩と称する。法華経の第15章にあたる従地涌出品(じゅうじゆじゅっぽん)第十五の記述によれば、[[釈迦如来]]が説法をしていた際に大地が割れ、そこから涌き出た無数の菩薩(これを総称して地涌の菩薩と称す)の筆頭が上行菩薩、無辺行菩薩、浄行菩薩、安立行菩薩であり、これらの菩薩は釈迦亡き後の末法の世において[[法 (仏教)|仏法]]を護持するものとされている。[[日蓮]]は、世が乱れ災害が起きるのは邪教を奉ずるからだと主張し、鎌倉の街頭で法華経の教えを説いたが、自己をこうした上行菩薩になぞらえていた。
 
なお、この法華経に登場する四菩薩は「金色の身で、[[三十二相]]を具えている」などと記されていることから、悟りを開く為の修行中の菩薩ではないとも解釈される。この場合、自らの解脱の為に菩薩行を行なう菩薩ではなく、悟達し既に仏界へ昇った如来が末法救済のために九界へ降り立った大菩薩であるとされる。またこの四菩薩は[[涅槃経]]に説かれる[[常楽我浄]]に配当される。
 
日蓮宗において[[本尊]]とされるものに大曼荼羅(「[[南無妙法蓮華経]]」の題目の周囲に諸尊の名を文字で記したもの)、一尊四士(釈迦如来と脇侍の四菩薩)、[[一塔両尊]]四士(宝塔を中心に釈迦如来、[[多宝如来]]、四菩薩を表わす)などがあるが、これらのいずれにも上記四菩薩が表現されている。お、みに大曼荼羅、一尊四士、一塔両尊四士のいずれを日蓮宗の本尊と見なすかについては古来議論がある。なお、その細目については本項の目的からはずれるため割愛する。
 
=== 付記 ===
[[弥勒菩薩]]、[[観音菩薩]]、[[勢至菩薩]]、[[文殊菩薩]]、[[普賢菩薩]]、[[地蔵菩薩]]、[[虚空蔵菩薩]]については、それぞれの項目を参照のこと。