「1988-1993」の版間の差分

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茶屋町 (会話 | 投稿記録)
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[[1993年]]発表のベストアルバム『[[角松敏生1981-1987]]』に続く2枚組ベストアルバム。前作同様、タイトル通りに[[1988年]]から[[1993年]]の間に発表された楽曲が収録されているが、角松敏生自身はこのアルバムについては「ベストというよりも[[コンピレーション・アルバム|コンピレーション]]」と一歩引いた姿勢を取っている。<ref>『角松敏生 81-01・・・・・・ ~thousand days of yesterdays~』シンコーミュージック、2001年、p64</ref>
 
その理由は、本作品の企画は収録曲の[[原盤権]]を持つ前所属事務所(マーマレード)からの要望によるもので、しかも当時の角松は解凍(活動再開)してようやく次なる活動展開の境地を見つけ出した頃であって、過去を振り返る作活動は必ずしも本意ではなかったからである。それでも、前所属事務所への恩義に報いて作を受け入れ、角松のコントロール下で選曲及びリマスタリング作業が行われるなどされて、ベストアルバムにありがちな「アーティスト側の知らぬところで勝手に選曲されていつのまにか出ていた」などという浅はかな作品とはなっていない。
 
しかしながら、本作品作時の角松は最新アルバム『[[存在の証明]]』のプロモーションで全国ツアー中とあって多忙を極め、本作品と対となる『角松敏生1981-1987』と同じようにオリジナル音源を元に大幅に手を加えたり、曲そのものをリテイクするといった凝ったことは断念。一部楽曲をエディットし直した以外はリマスタリングするに留めた。なので、本作品価値を見いだすとする点としては、当時既にすべて廃盤となって入手困難だったシングル(8センチCD)の多数の楽曲がオリジナル音源のまま初収録されていることであろう。それらはアルバム収録のものとバージョン違いであったり、またはアルバム未収録のものもあり、ファンにとってはいわば貴重であっコレクターズアイテム化していた。先述のように本作品の作経緯が角松の本意ではないとは言え、このように他方面からでも企画されなければ、懐メロ歌手になるのを嫌って常に新作中心に拘る精神で活動を続けている角松敏生の作品史のなかでおそらく未だアルバム収録化されずに埋没していた楽曲ばかりである。
 
ただ、そのシングル収録曲は多数であって必ずしも網羅はされておらず、なかでもファンに人気が高く、アルバム未収録なのにもかかわらず収録参加メンバーもとりわけ豪華で、角松自身も凍結以前と解凍以後の今日でも度々演奏している「[[もう一度…and then]]」(1988年発表)は収録されていない。この1988年から1993年の活動期において重要な楽曲であるはずなのに(ついでに書くと、シングルがアナログのEP盤から8センチCDへ移行する過渡期に発表されただけにEP盤とCDの両バージョンあり、そのどちらも生産数と残存数から希少価値が高く、1988年から1993年に発表されたシングルの中では最も入手困難)。どのような意図の下で外されたのかは正式に言及されてはいないが、冒頭の角松の言葉を借りれば「ベストというよりもコンピレーション」ととしてこの曲がないばかりに『角松敏生1988-1993』のタイトルに見合う価値を確信犯的に一段下げていることは否めない。