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en: Experimental psychology 00:49, 30 March 2008を翻訳
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'''実験心理学'''は自然科学の一領域としての心理学の方法であり、[[実験]]的手法により心の理解を目指す。実験心理学者には実験以外の手法について疑問視することが多かった。特に、実験心理学者は[[臨床心理学]]や[[発達心理学]]で用いられる[[ケーススタディー]]や[[インタビュー]]などの手法を比較的軽視してきた。
'''実験心理学(じっけんしんりがく)'''は[[ヒト]]への[[実験]]をもとに、ヒトの[[感覚]]、[[知覚]]、[[記憶]]、[[学習]]、[[認知]]などを対象に研究を行う[[心理学]]の一分野。
 
実験心理学とは研究対象ではなく、研究手法に基づいた分類である。そのため、実験心理学が扱う研究対象は多岐に渡る。一般には[[知覚心理学]]、[[認知心理学]]、[[比較心理学]]、[[実験的行動分析]]や、[[生理心理学]]および[[発達心理学]]の一側面を含んでいる。
ドイツの生理学者[[ヘルマン・フォン・ヘルムホルツ]]による視覚・聴覚の研究や、同じくドイツの物理学者[[グスタフ・フェヒナー]]による[[精神物理学]]などを源流とし、物理刺激に対するヒトの感覚量及び反応の法則性について、実験的に明らかにする事をその主な目的とする。
 
[[イブン・アル・ハイサム]](アルハーゼン)は、実験心理学の先駆者とされることがある。これは、彼の著作『光学の書』において[[視覚|視知覚]]や[[錯視]]を実験的に扱ったことによる。<ref name=Khaleefa>Omar Khaleefa (Summer 1999). "Who Is the Founder of Psychophysics and Experimental Psychology?", ''American Journal of Islamic Social Sciences'' '''16''' (2).</ref>実験的手法は、同時代のペルシャの心理学者[[アブー・ライハーン・アル・ビールーニー|アル=ビールーニー]]によっても開発され、彼は[[反応時間]]の概念を発見した。<ref name=Iqbal>{{citation|first=Muhammad|last=Iqbal|author-link=Muhammad Iqbal|year=1930|title=[[The Reconstruction of Religious Thought in Islam]]|chapter=The Spirit of Muslim Culture|url=http://www.allamaiqbal.com/works/prose/english/reconstruction|accessdate=2008-01-25}}</ref>さらなる発展が訪れたのは19世紀に[[ウィルヘルム・ブント]]が登場してからである。彼は実験心理学という領域を確立し、実験心理学に数学的・定量的な手法を導入した。このことから、彼は実験心理学の父と考えられている。<ref name=Khaleefa/>ブントは自身を心理学者あるいは研究・実験的心理学者と名乗った最初の例である。彼は[[ライプチヒ]]に心理学研究室を創設し、構成主義心理学派の祖となった。
近年、一般に実験心理学という場合、初めに挙げたような広義な意味を取る事は少なく、知覚心理学や心理物理学など、比較的低次な感覚・知覚過程を扱う分野を意味する事が多い。
 
他の実験心理学者には、[[ヘルマン・エビングハウス|エビングハウス]]や[[エドワード・ティチェナー|ティッチナー]]など、実験的手法に[[内観|内観法]]を用いたものがいる。しかしながら[[20世紀]]の前半には、特に[[米国]]における実験心理学は[[行動主義]]と密接に結びつき、[[精神]]現象を無視することにつながった。[[ヨーロッパ]]ではこの傾向は比較的弱く、[[フレデリック・バートレット|バートレット]]、[[ケネス・クレイク|クレイク]]、[[ウィリアム・エドモンド・ヒック|ヒック]]、[[ドナルド・ブロードベント|ブロードベント]]らの影響のもとで、実験心理学者は[[思考]]、[[記憶]]、[[注意]]などのテーマを研究した。このことが、後の認知心理学の発達の基礎となった。
==分野==
 
* [[知覚心理学]]
20世紀の後半には、心理学分野の拡大や副次的な方法論の増加により、"実験心理学"という語の意味は変化することになった。実験心理学者は多くの手法を用いるようになり、厳密に実験的な手法以外の方法も用いるようになった。このことの原因のひとつは、[[科学哲学]]の発展が実験的手法の絶対的な地位に影響したことがあげられる。その一方で実験的手法は、発達心理学や[[社会心理学]]など、従来は実験心理学の分野ではなかった領域においても用いられるようになっている。今日、実験心理学という語は、洗練され名声のある[[学会]]や[[学術雑誌]]、大学における心理学専攻の名前などに用いられ続けている。
* [[認知心理学]]
 
* [[発達心理学]]
==ノート==
{{reflist}}
 
== 参考文献 ==
* Edwin G. Boring. ''A History of Experimental Psychology''. 2nd Edition. Prentice-Hall, 1950.
* Robert L. Solso and M. Kimberly MacLin. ''Experimental Psychology: A Case Approach. 7th Edition''. Allyn & Bacon, 2001.
 
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