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デジタル回路におけるしきい値について加筆
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'''しきい値'''(しきいち)、あるいは'''閾値'''(いきち)(独: ''Threshold'', ''Schwelle'', 英: ''threshold'', ''limen'')とは、境目となる値のこと。
 
== 概説 ==
== 各分野におけるしきい値 ==
 
[[生理学]]や[[心理学]]では「閾値」が、[[物理学]]や[[工学]]では「しきい値」が、学術用語として定着している。
 
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[[画像処理]]の分野においては、減色処理で使われる用語である。例えば、ある基準の濃度を超える色を黒、それ以外を白にする2値化処理において、この色濃度の基準(黒とするための最小限の濃度)をしきい値、閾値と呼ぶ。また、このように基準を設定して色を区別する処理のことを'''しきい値処理'''、または'''閾値処理'''と呼ぶことがある。
 
== 電子回路 ==
電子回路の分野においては、主に[[デジタル回路]]で「高電位」と「低電位」を区別する境となる電位をさす。「しきい値」の他、英語の発音に近い「スレッショルド」「スレシホールド」などと呼ぶことも多い。
 
デジタル回路では、信号線の電位がしきい値の付近にある場合、電位のごくわずかな揺らぎによって論理「H」として解釈されたり論理「L」として解釈されたりするため、正しい処理ができなくなる。さらに、[[CMOS]]による回路ではしきい値付近の電位を入力信号線に与えると内部に大電流が流れて素子破壊の危険がある。このため、しきい値に大きな幅を持たせて、「○○V以下ならLとする」「○○V以上ならHとする」というように上下限が規定されていることが多い。
 
同じデジタル回路でも、素子の構造によってしきい値範囲は大きく異なる。このため、動作電圧が同じであってもしきい値が異なる場合には回路を直接接続することはできない。例えば、[[Transistor-transistor logic|TTL]]のしきい値は0.8V-2.0Vであるが、これをしきい値が1.0V-3.5VであるCMOSと接続することはできない。ただし、CMOS[[標準ロジックIC]]の場合、回路を工夫してTTLとしきい値をほぼ同一にした製品群があるため、この問題は解決されている。
 
このように、入力電位がしきい値範囲内になることを避けなければならないが、電気回路である限り電位の過渡状態は必ず存在し、その時間をゼロにすることはできない。特に通信線などの配線長が長い回路の場合には、配線部分の[[静電容量]]と[[抵抗]]により電位変化がゆっくりになり、しきい値範囲に入ってしまう時間が長くなることがある。
 
このような場合には、回路素子を工夫することにより、「低電位から高電位に変化する際のしきい値」と「高電位から低電位に変化する際のしきい値」を異なるものとする。例えば低電位が0V、高電位が5Vだとして、低電位から高電位に変化する際のしきい値を4V、高電位から低電位に変化する際のしきい値を1Vとなるようにつくられた回路で説明をしよう。入力信号が0Vから5Vまでゆっくりと上昇した場合、4Vを超えるまでは「低電位である」と判断されるため、1V付近で電位が揺らいでも問題が無い。ひとたび4Vを超えると、今度は「高電位である」と判断されるので1Vのしきい値を下回らない限り高電位であるという判断は変わらない。つまり、4V付近で電位が揺らいでも問題が無い。入力信号が5Vから0Vに変化する場合も同様で、この回路は入力信号の揺らぎに対して安定して動作することになる。
 
このように工夫した入力回路は、「入力ヒステリシス回路」などと呼ばれる。
 
== 閾値の読み方 ==