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{{medical}}
 
糖尿病によって[[腎臓]]の[[糸球体]]が細小血管障害のため硬化して数を減じていく病気([[ICD]]-10:E10.2、E11.2、等)。
 
== 統計 ==
;日本
:末期[[腎不全]]で[[人工透析|透析]]導入される患者の原因のトップは糖尿病で35%ある。糖尿病そのものよりも糖尿病患者の[[高血圧]]のほうによく相関する。
 
== 症状 ==
;第1期(腎症前期)
:症状は無い。医学的な異常所見も見あたらない。糖尿病を発症した時点で第1期と解釈することができる。
;第2期(早期腎症)
:第1期から5~15年で発症する。自覚症状はない。
;第3期(非代償性腎不全)
:;第3期A
::尿検査用試験紙で尿蛋白が陽性となる。自覚症状は通常ない。 
:;第3期B
::続発性[[ネフローゼ症候群]]を呈する。低アルブミン血症による[[浮腫]]や[[うっ血性心不全]]を生じる。
;第4期(腎不全期)
:浮腫に加え、倦怠感、悪心、精神的不安定、掻痒感などの尿毒症症状が生じはじめる。
;第5期(透析療法期)
:透析療法を行わないと尿毒症症状が容易に生じ死に至る。
 
== 検査 ==
;尿一般検査、尿中微量アルブミン測定
:患者にしてみれば、普通の採尿検査である。
;[[腎臓]]生体針検査([[病理検査]])
:毛細血管基底膜が肥厚し、メサンギウム基質が増加する。第1期から糸球体メサンギウム領域に結節性病変ができ、腫大する。
;[[腎臓]][[超音波検査]]
:糸球体が腫大するため、腎不全になっても腎臓は萎縮せず、腫大する。
 
== 診断 ==
;第1期(腎症前期)
:糸球体濾過量([[GFR]])が増加する。糸球体濾過量が増加する事を濾過過剰(hyperfiltration)と言う。
;第2期(早期腎症)
:第2期は、微量の[[アルブミン]]が尿に漏れ出すようになった時期。微量の[[アルブミン]]が尿に漏れ出すようになる事を、微量アルブミン尿(microalbuminuria)と言うが、血糖コントロールによって消失する。濾過過剰を継続している。<!--基本的には-->[[血尿]]は発症しない。[[高血圧]]が発症し始め、これがさらに腎障害を悪化させ、「腎障害→[[高血圧]]→腎障害」という悪循環に陥る。
;第3期(顕性腎症)
:第3期は持続的[[蛋白尿]]が認められるようになった時期。既に不可逆病変である。
:;第3期A
:;第3期B
::続発性ネフロ—ゼ症候群を呈する。
;第4期(腎不全期)
:[[GFR]]は低下し、血清[[クレアチニン]]値も増加する。
;第5期(透析療法期)
== 治療 ==
;薬物療法
:浮腫に対しては、腎糸球体濾過量を低下させないループ[[利尿薬]]を用いる。糸球体肥厚や硬化を防ぐために糸球体内圧を下げる[[ACE阻害薬|アンギオテンシン変換酵素阻害薬]]や[[アンギオテンシンII受容体拮抗薬]]の有用性が示されるが、全身の血圧も十分降圧する必要もあり、[[Ca受容体拮抗薬]]など他の[[降圧剤]]も組み合わせて用いる。尿毒を便から排泄させる球形吸着炭(クレメジン)やカリウム排泄剤、[[酸塩基平衡]]を補正するための[[重曹]]や[[クエン酸ナトリウム・カリウム合剤]]を内服し、腎性[[貧血]]が進行した場合[[エリスロポイエチン]]の注射を行う。
;[[人工透析]]
:腎症が進行すれば腎機能が完全に廃絶し透析に至ることもある。[[クレアチニン]]が透析導入を判断する基準となる。
;[[腎移植]]・[[膵腎移植]]
:日本では臓器提供が少ないので、[[移植 (医療)|移植]]例数がすくない。膵臓の一部と片腎の提供でも、特に1型糖尿病患者では[[クオリティ・オブ・ライフ|生活の質]]が向上するので、生体移植も試みられている。膵臓と腎臓は心臓死移植でも提供可能である。移植後、糸球体病変の可逆的変化が観察される事が報告されている。
 
{{DEFAULTSORT:とうにようひようせいしんしよう}}
[[Category:代謝内分泌疾患]]
[[Category:腎泌尿器疾患]]