「経済成長理論」の版間の差分

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==概要==
数学モデルを用い、経済成長に関する考察を導き、説明を行う事がその主たる内容になっている。なお、経済成長の測定は[[計量経済学]]の分野に属し、制度、政策的な要因も考慮して[[発展途上国]]の経済成長を分析する分野として[[開発経済学]]が存在する。また、過去の経済成長の要因の分析は[[経済史]]の一分野で、特に計量経済学や経済成長論の諸理論を多用する経済史研究を指して数量経済史と呼ぶことがある。
 
==基本的なアイディア==
 
「なぜ、[[国]]は豊かになるのか」、「国ごとの豊かさの格差はなぜなのだろうか」、「成長を謳歌できる時期とそうでない時期があるのだが、それはなぜなのであろうか」といった問題は、経済学の主要なテーマである。
 
近代以降の経済活動においては、生産により生み出された生産物は全て消費されずに、次期の生産要素として再投資する事があたりまえになっている。
 
 
この事は、模式化された工場の生産に例えると分かりやすい。ある工場はパソコンの生産を行い、ある年、a年には100億円で建設した工場設備を利用して、200億円の利益を得る事ができたとする。
 
この時、利益の200億円を全て消費せず、半分だけ消費し、残りの100億円は新規の工場設備に回すものと想定してみる。a年の翌年、a+1年にはa年の倍の200億円分の工場設備がある。倍の工場設備により400億円の利益をあげる事ができ、さらにそのうちの半分を新規の設備にまわすことができれば、a+2年の利益は800億円となり、同じ事を繰り返せば、a+3年の利益は1600億円となる。
 
この工場に当たる部分を一国と考え、パソコンを[[農産物]]から[[工業]]製品、様々なサービスにいたる諸々の[[財]]、生産設備を[[資本]]、[[利益]]を[[国内総生産]]と置き換えれば、一国の経済成長を示すモデルが出来上がる。
 
 
しかし、このモデルを見ても分かるように、話はそれほど簡単ではない。まず、一国の経済においては工場の従業員に相当する総労働力数を変える事ができない。基本的な問題として、工場設備(資本)が倍になったとして、以前と同じ労働力でそれを扱う事ができるのであろうか、ましてや生産量を倍にする事ができるのであろうか。また、消費と次期への生産の割合、貯蓄率はどのように決まるのであろうかという問題がある。同様に、失業率や、過剰生産の問題をどう取り扱うかという問題がある。
 
また、現実には、科学技術の発展に伴い、より効率的に生産を行える生産設備の登場、すなわち[[技術]]革新が存在する。この技術革新はどのように説明されるのであろうか。
 
こうした様々な問題を説明できなければ経済の変動は説明できない。簡潔で説明力があり、一般的に受け入れられているような成長理論はまだ登場しておらず、様々な研究が行われているのが現状である。
 
 
==経済成長理論の歴史==