「密度効果」の版間の差分

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== 実験による発見 ==
アメリカのパールは1920年代に、人口論の研究を基礎づける実験として[[ショウジョウバエ]]の個体数増加について研究した。瓶に餌として一片の[[バナナ]]をいれ、これにショウジョウバエをいれて個体数増加を見たところ、個体数は当初は素早く増加するが、次第にその増加率は下がることを発見した。これをグラフにするとS字曲線を描く。当初は瓶の中の餌は最初にほうり込んだのをそのままにしたので、餌の不足が原因との可能性が考えられたため、途中で餌を追加したり、新しい瓶にショウジョウバエを移したりといった追加実験を行ったが、個体数増加の傾向は変わらなかった。彼はこの曲線を個体数増加の一つの型と見なし、これを[[ロジスティック式|ロジスティック曲線]]と呼んだ。
 
また、彼は個体数の増加によってその増加率に変化が生じることに注目し、個体数を変えて飼育することで、個体数が多くなるとその世代の増加率が小さくなることを見いだした。これが密度効果の発見である。
ヒラタコクヌストモドキの場合、成虫の胸部に臭腺があり、これから分泌されるエチルキノンによって次第にピンク色で臭くなる。この状態における環境の変化は化学物質だけでなく、微生物相にも大きな違いが生まれる。このような状態になるとコクヌストモドキに奇形が生じやすくなり、また原虫による寄生率も高まる。実験的には、産卵数も減少することが知られている。
 
また、アメリカの[[トノサマガエル]]類では、[[オタマジャクシ]]を狭い容器で飼育すると成長が阻害されることが知られている。面白いのは狭い容器でオタマジャクシを育てた時の水を使って飼育すると、広い容器でもオタマジャクシの成長阻害が見られる。つまり水がオタマジャクシで条件付けられたのである。この原因は1958年にリチャーズによって発見された。彼は10-15μm15μmの粒子を通すフィルターで濾過することで条件付けが解除されることを発見し、また、オタマジャクシが[[糞]]をすると効果が強まるのを見つけ、糞中から[[プロトテカ]]という[[藻類]]を見つけ、これが原因であることを突止めた。
 
== 密度の定義 ==
ここでNは個体数、rは内的自然増加率、kは1個体の増加による増殖率の低下率である。つまり、本来の増殖率rに対して、個体数がNの時にはkNの分だけブレーキがかかる。これを環境抵抗というが、密度効果はこの一部をなすものと考えられる。
 
この式を見れば、N=0N=0でない限りはNが小さいほど増加率は高いことがわかる。横軸にN、縦軸に増加率を取れば、一方的に右下がりの曲線となろう。この型を、最初に発見されたショウジョウバエにちなんでショウジョウバエ型(''Drosophila'' type)という。しかし、その後に極端に低い密度では逆に増加率が下がる例が見つかり、これをアレー型(またはコクヌストモドキ型 ''Tribolium'' type)という。この場合、明らかに増殖率が最大となるような最適密度が存在する。内田はこれについて、おそらくショウジョウバエ型においても、さらに極端な低密度では増殖率は低下するはずだと述べており(例えば交尾相手も見付けられないような密度)、ロジスティック式は低密度には適用できないとの見解を示している。
 
== 参考文献 ==
1,492

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