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{{ Infobox 航空機
!bgcolor="#87CEEB" colspan="3" align="center" style="border-bottom:3px solid"|C-141 Starlifter
| 名称=C-141 スターリフター
|-
|colspan="3" align画像="center"|[[Image:C-141 flying.jpg|250px|C-141 スターリフター]]
| キャプション=[[アメリカ空軍]]のC-141
|-
| 用途=軍用輸送
!bgcolor="#87CEEB" colspan="3"|概要
| 分類=[[輸送機]]
|-
| 設計者=
|分類||colspan="2"|軍用輸送機
| 製造者=[[ロッキード]]社
|-
| 運用者 more=[[アメリカ合衆国]]([[アメリカ空軍]])
|乗員||colspan="2"|5から6名
| 初飛行年月日=[[1963年]][[12月17日]]
|-
| 生産数=284機
|初飛行||colspan="2"|1963年
| 生産開始年月日=
|-
| 運用開始年月日=[[1964年]][[10月]]
|製造||colspan="2"|ロッキード社
| 退役年月日=[[2006年]][[5月5日]]
|-
| 運用状況=退役
!bgcolor="#87CEEB" colspan="3"|寸法
| ユニットコスト=
|-
}}
|全長||145 ft 0 in<br/>(C-141A)<br/>168 ft 4 in<br/>(C-141B)||44.2 m<br/>51.3 m
 
|-
'''C-141'''は[[アメリカ空軍]]が運用していた軍用[[輸送機]]。製造会社は[[ロッキード]]社(現在は[[ロッキード・マーティン]]社)である。愛称は「スターリフター(Starlifter)」。
|全幅||160 ft 0 in||48.8 m
|-
|全高||39 ft 3 in||12 m
|-
|翼面積||3,228 ft&sup2;||300 m&sup2;
|-
!bgcolor="#87CEEB" colspan="3"|重量
|-
|空虚時||144,492 lb<br/>(C-141B)||65,542 kg
|-
|満載時||lb||kg
|-
|最大離陸重量||316,600 lb<br/>(C-141A)<br/>323,100 lb<br/>(C-141B)||143,607 kg<br/>147,000 kg
|-
!bgcolor="#87CEEB" colspan="3"|機関
|-
|エンジン||colspan="2"|4 &times; Pratt & Whitney TF33 ターボファン
|-
|出力||各 20,250 lbf||各 90.1 kN
|-
!bgcolor="#87CEEB" colspan="3"|性能
|-
|最大速度||571 mph (C-141A)<br/>567 mph<br/>(C-141B)||919 km/h<br/>912 km/h
|-
|戦闘行動半径||4,080 miles<br/>(C-141A)<br/>2,935 miles<br/>(C-141B)||6,566 km<br/>4,723 km
|-
|フェリー航続距離||6,140 miles<br/>(C-141B)||9,880 km
|-
|実用上昇限度||41,000 ft<br/>(C-141B)||12,500 m
|-
|上昇率||2,600 ft/min<br/>(C-141B)||792 m/min
|-
|}
'''C-141'''は[[アメリカ空軍]]が運用する軍用[[輸送機]]。製造会社は[[ロッキード]]社(現在は[[ロッキード・マーティン]]社)である。愛称は「スターリフター(Starlifter)」。
 
== 概要 ==
[[1960年]][[11月15日]]にアメリカ空軍は、仕様運用要求(SOR)182と名付けた新型輸送機に関する提案要求書をまとめ、同年[[12月21日]]に[[ボーイング]]、[[ダグラス]]、[[コンベア]]、[[ロッキード]]の4社に提案要求書が出された。各社がそれぞれ設計案を提示したが、[[C-130 (航空機)|C-130 ハーキュリーズ]]輸送機の開発に成功していたロッキード社が優位な立場にあることは明らかであり、[[1961年]][[3月13日]]に予想通りロッキード社の設計案が選定され、C-141として採用された。
[[1960年代]]初頭より開発が進められた。機体の開発は、地上における輸送・積み込みシステムとの一体化を考慮して行われている。そのため、貨物室は463Lパレットシステムに適合したものとして設計された。[[1961年]]8月に発注が行われ、原型機の初飛行は[[1963年]]12月17日である。[[1964年]]よりアメリカ空軍[[軍事空輸軍団]](MAC)への配備が開始された。
 
機体の開発は、地上における輸送・積み込みシステムとの一体化を考慮して行われている。そのため、貨物室は463Lパレットシステムに適合したものとして設計された。[[1961年]]8月に発注が行われ、量産初号機の初飛行は[[1963年]][[12月17日]]に初飛行している。[[1964年]][[10月]]からアメリカ空軍[[軍事空輸軍団]](MAC)の第443軍空輸航空団への配備が始まり、[[1965年]][[4月23日]]には[[ベトナム戦争]]の支援空輸活動に投入され、これが初の実戦投入となった。
機体形状は、軍用輸送機として一般的なものである。主翼は高翼配置、T字尾翼である。主翼の後退角は25度であり、主翼パイロンに[[ターボファンエンジン]]を4基搭載している。搭載量は463LパレットをA型は10枚、B型以降は13枚搭載できる。
 
C-141は後継機として[[C-17 (航空機)|C-17 グローブマスターIII]]の配備が[[1993年]]7月から開始されたのに伴い、[[2004年]][[9月16日]]に2機のC-141Bが第305空輸航空団から退役し、[[航空機動軍団]]からは姿を消した。空軍予備役軍団では第445空輸航空団が最後の配備となり、[[2003年]][[9月26日]]の[[イラク]]での空輸ミッションがC-141にとっての最後の実働ミッションとなった。[[2006年]][[4月7日]]にC-141C(#166)がラストフライトを終え、同年[[5月5日]]には[[1973年]]に[[ハノイ]]からアメリカ本土へ捕虜を輸送し、'''ハノイ・タクシー'''のニックネームを持つC-141C(#177)が[[国立アメリカ空軍博物館]]までのメモリアルフライトを実施。これを最後にC-141全機が空軍から退役した。なお、民間向けデモンストレーション機・L-300が1機製造されたが、量産は行われず、後に[[アメリカ航空宇宙局]]の[[カイパー空中天文台]]となっている。
[[1968年]]までに、初期型のA型は284機生産された。C-141Aは[[1977年]]より、改修工事が順次行われ、B型となっている。改修工事は、機体寿命の延命化と能力向上を目的としており、胴体を7mストレッチし、[[空中給油]]装置の追加などが行われている。特にストレッチの成果は大きく、貨物室容積は33%増加した。
 
== 機体構成==
1994年には、[[特殊部隊]]の作戦用にSOLL IIと呼ばれる改修が13機に対して施された。夜間低空飛行を行うための改修であった。
機体構成は軍用輸送機としては一般的なものであり、細長い与圧式の胴体に主翼を高翼で配置し、4基の[[プラット・アンド・ホイットニー]]社製TF33[[ターボファンエンジン]]をパイロンを介して主翼に取り付けていた。主翼の後退角は25度、尾翼はT字型尾翼で、後部胴体には車輛の自走搭載も可能にするランプ付きのクラムシェル型貨物扉を備えていた。機内搭載量は463LパレットをC-141Aは10枚、C-141B以降は13枚搭載できる。
 
[[1969年]]にC-141Aは284機が生産されて終了し、[[C-5 (輸送機)|C-5 ギャラクシー]]戦略輸送機の導入が開始されたが、C-141AはC-130とC-5の間を埋める能力を持つ輸送機として、アメリカ空軍の空輸戦力の一翼を担い続けた。しかし、C-141Aにさらなる能力が求められるようになったことから、[[1977年]からC-141Aに大規模な改造改修を加えることが決定され、[[1982年]]までに270機のC-141AがC-141Bへと改修された。
C-141は2004年9月16日付で空軍の第一線からはすべて退役し、空軍予備役と[[空軍州兵]]で使用されていた。2006年5月6日に最後の機体が[[国立アメリカ空軍博物館]]へ引き渡され退役した。民間向けデモンストレーション機・L-300が1機製造されたが、量産は行われず、後に[[アメリカ航空宇宙局]]の[[カイパー空中天文台]]となった。
 
C-141Bでの主な改修点は、胴体を主翼の前後で7.11m延長し、貨物室容積を約30%増加させた。機首部上部にはユニバーサル空中給油受油口を付け、フライング・ブーム式での[[空中給油]]を可能にしたなどで、機体寿命の延命と能力向上が図られている。
運用としては、[[ベトナム戦争]]や[[湾岸戦争]]において、各地への空輸を行っている。
 
[[1990年代]]中盤には、C-141Bに近代化改修を施すことが決定され、63機がC-141Cに改修された。C-141Cでは、全天候飛行操縦装置(AWFCS)、[[GPS]]強化航法装置(GPSENS)、デジタル式燃料量表示システム(FQIS)、空輸防御システム(ADS)、Lバンド衛星通信(SACOM)システム、衝突防止装置(TACS)の装備が行われ、コクピットはグラス・コクピット化されている。
 
なお、[[1994年]]には、[[特殊部隊]]の作戦用にSOLL IIと呼ばれる改修が13機に対して施され、夜間低空飛行を行うための改修がされている。
 
== 性能諸元 ==
* 全幅:48.74m
* 全長:51.29m
* 全高:11.96m
* 主翼面積:299.9㎡
* 空虚重量:67,186kg
* 最大離陸重量:146,558kg
* 最大ペイロード:41,222kg
* [[プラット・アンド・ホイットニー]]製TF33-P-7ターボファン×4
* エンジン推力:93.41kN
* 最大巡航速度:492kt(高々度)
* 経済巡航速度:430kt
* 海面上昇率:890m/min
* 実用上昇限度:12,496m
* 航続距離:2,550nm(最大ペイロード時)/5,550nm(フェリー時)
* 乗員:5~6名
* 兵員:154名
* 武装:なし
 
== 派生型 ==
* A型:C-141A:初期生産型。
* B型:AC-141B:A型よりの改修。胴体のストレッチ、[[空中給油]]装置の追加など。
** SOLLC-141SOLL II:B型の特殊部隊向け。
* C型:-141C:コクピットをデジタル化するなどの近代化改修がおこなわれた型。[[C-17 (航空機)|C-17]]導入までの措置として63機改修。
 
== 関連項目 ==
*[[ベトナム戦争]]
 
{{commons|C-141 Starlifter}}