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{{クラシック音楽}}
'''ミクロポリフォニー'''([[語|英]]:micropolyphony, [[ドイツ語|]]:Mikropolyphonie)は作曲技法の一手法。
 
== 由来 ==
[[日本語]]に訳す微小細密[[複音楽]]。非常に形容しがたい複雑な音響効果が得られることから、神秘的な音楽表現に応用されることが多い。この用語は[[ジェルジ・リゲティ|リゲティ]]のデビュー作の管弦楽曲大気が、[[ドナウエッシンゲン現代音楽祭]]に初演された際の、作曲者による解説に使われた当時の造語である。
 
== 内容 ==
[[総譜|スコア]]に数十段を要し、その一部に各声部が[[対位法]]的な[[カノン (音楽)|カノン]]などで音響操作を行うのであるが、各声部の全体に対する影響が極めて小さいために、全体的の動きのある音響の固まりとして聞こえる一種の[[音響作曲法]]である。[[ドミートリイ・ショスタコーヴィチ|ショスタコーヴィチ]]の[[交響曲2番 (ショスタコーヴィチ)|交響曲第2番]]の練習番号30以下の[[ウルトラ対位法]]が先駆として上げられるが、この場合各声部が全く違う旋律を繰り広げるのに対して、大気の場合は同じ要素による音響設計という点で違いがある。この傾向は作曲者の前管弦楽曲の「作『出現にもあったが、それが拡大発展され、大気の場合は48声部にも及ぶ。
 
コンピュータ・シミュレーションで知られる[[デヴィッド・コープ]]は「異なったラインとリズムと音色が同時に現れる」としか説明していないが、これではあまりにも説明が大味すぎる。各作曲家によって用法が異なるために定義が難しいが、「1オクターブ以内に'''各声部の判別がつきがたいほどの数'''の線が非調性的に絡み合う」技法とは断定できる。なお、カノンである必要はなく、似たような動的旋律がいつまでも同じ音域で複数絡んでいてもミクロポリフォニーと知覚される。調性的ではないある場合は、[[ヘテロフォニー]][[ポリフォニー]]の様相に近くなるためミクロポリフォニーとは呼べない。
 
リゲティは一つ一つの声部をあくまでもメロディーとして扱ったため、[[オーケストラ]]にも好意を持って受け入れられた。リゲティはその後クラシック音楽に自己様式を伝統的な作曲技法に傾斜させたため、ロンターノではミクロポリフォニーならではの効果からは後退した。この技法は1960-70年代から1970年代の音楽を覆い尽くしたため、五線譜業者は60-70段またはそれ以上の段数の五線譜の製造に追われたという逸話が残っている。アルドクレメンティの「変奏A」では100段以上の作品になっているが、これも一種のミクロポリフォニーである。
 
ミクロポリフォニーを用いた多くの段数を伴う管弦楽曲の作曲は、手間隙がかかりすぎる上作曲家の健康も損ないやすく、指揮台に載らないために指揮用のパート譜がいるなどの諸問題が、世界中で議論された。[[新ロマン主義音楽|新ロマン主義]]が台頭する頃には、多くの段数を用いる作曲が[[前衛音楽|前衛]]の象徴のように捉えられて、用いる作曲家は激減した。しかし、多くの情報量を詰め込むにはそれだけの楽譜の段数が必要になることも判明しており、要所で極端な段数を用いる作曲家も少なくない。
 
== 日本における研究 ==
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[[南西ドイツ放送]]局ではリゲティ作品をラジオ放送することも多く、日本では[[武生国際音楽祭]]での紹介が近年見られた。
 
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[[Category:対位法|みくろほりふおにい]]
[[Category:現代音楽]]
 
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