「定常宇宙論」の版間の差分

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== 定常宇宙論の衰退 ==
[[1950年代]]から[[1960年代]]にかけては定常宇宙論を支持する研究者は数多く存在したが、1960年代終わりにはその数は目に見えて減少した。これは、[[1965年]]に発見された[[宇宙背景放射]]による所が大きい。1960年代終わりになると、宇宙は実際に時間とともに変化しているという考えを支持すると見られる観測結果が得られるようになり、定常宇宙論には問題があることが明らかになってきた。観測では、[[クエーサー]]や[[電波銀河]]は距離が遠い(つまり、[[赤方偏移]]大きがって([[光速]]が有限であることから)よりゆえに遠さに応じた「過去の)宇宙でしか見つからず、近距離の[[銀河]]には見られないものであった。[[ホルトン・アープ]]は1960年代以来、これらの観測データを別の視点から解釈し、クエーサーが我々の近傍にある[[おとめ座銀河団]]と同程度の近距離に存在することを示す観測的証拠もあると主張しているが、支持者はわずかである。
 
ほとんどの宇宙論研究者は、ビッグバン理論で予言される宇宙背景放射が発見されたことによって定常宇宙論は論駁されたと考えている。定常宇宙論では、この背景放射は太古の昔の[[恒星]]から放出された光が銀河内の塵によって散乱されたものであるとしている。しかし多くの宇宙論研究者はこの説明には説得力がないと受け止めている。なぜなら、宇宙背景放射は方向による強度の揺らぎがほとんどなく非常に滑らかで、点光源からこのような分布が作られることを説明するのは難しいためである。また、散乱光に通常見られるはずの[[偏光]]のような特徴が宇宙背景放射には全く見られない。それに加えて、宇宙背景放射の[[スペクトル]]は理想的な[[黒体放射]]のスペクトルに非常に近く、異なる温度や異なる赤方偏移を持つ塵の塊の散乱光を重ね合わせてもこのようなスペクトルは到底作り出せない。[[スティーブン・ワインバーグ]]は[[1972年]]の著書で以下のように書いている。