「有機電子論」の版間の差分

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Akane700 (会話 | 投稿記録)
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実際、これらの仮説の疑問に対する解答には量子化学的な化学結合の解釈が必要となる。例えば、電子殻の最大数は原子軌道の数で規定されており、そのために価電子の最大数が決定されている。また電子が対で動くのは、各原子軌道にはパウリの禁止律により最大2電子しか占有できず、フント則で示されているように軌道上に単独の電子が存在するよりも軌道上の電子対の方がエネルギー的に安定な為である。
 
また、共有結合で電子殻を共有することの意味は、原子軌道が混成してσ結合軌道を形成し、元の原子軌道から電子が遷移することである。右上の図で水の場合の共有結合をルイスの価電子理論と量子化学的な電子軌道のエネルギー準位で示している。ルイスの価電子理論では水素と酸素と共有結合するとことで、酸素の価電子が8になり安定化であると説明される。
 
一方、量子化学的には水素のs軌道×2分子と酸素のs軌道×1、p軌道×1との計4本の原子軌道が混成により分子軌道を形成すると考えられる。すなわちσとσ*とが二づつ、計4本の分子軌道が生成する。そこに水素と酸素との原子軌道からパウリの禁止律を満たしつつエネルギー準位が最も低くなる組み合わせで4つの電子が遷移して共有結合が形成している。言い換えると、量子化学では生成する電子軌道の準位を定量的に扱うことが可能であり、実際共有結合が生成するのは、原子軌道と分子軌道とを比べるとエネルギー準位的に分子軌道の方が低いのでエネルギー的に結合生成が優位になるためである。