「中国語」の版間の差分

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'''中国語'''(ちゅうごくご)は、[[シナ・チベット語族]]に属する[[言語]]で、[[中華人民共和国]]・[[中華民国]]([[台湾]])のほかに、[[シンガポール]]などの[[東南アジア]]や、[[日本]]、[[アメリカ合衆国|アメリカ]]などの世界各国にいる[[華僑]]・[[華人]]たちの間で話されている。[[ギネス・ワールド・レコーズ|ギネスブック]]によれば「現存する世界最古の言語」である。
 
中国語の各方言は[[シナ・チベット語族]]に属し、中国祖語をもとに、[[タイ語|タイ諸語]]などの南方諸語や[[モンゴル語]]、[[満州語]]など北の[[アルタイ諸語]]の発音、語彙、文法など特徴を取り込みながら分化したと考えられている。その特徴として、[[声調]]を持ち、[[孤立語]]で、単[[音節]]言語であることが挙げられる (Columbia University Press, 2004) が、[[北方方言|現代[[北方語]]([[普通話]]を含む)は[[元 (王朝)|元代]]以降、かなりの程度アルタイ化したため必ずしも孤立語的、単音節的ではない。
 
== 言語名 ==
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近代漢語(元代、明代、清代)
* 語彙面、文法面で、文語と口語の差が広がった。[[明|明代]]から[[清|清代]]には、口語小説が広く書かれるようになった。
* 元代と清代には[[北方方言]]を中心にアルタイ語の影響を大きく受けた。
* 元代口語には文末助詞の「有」が多用された。
* 都のあった北京の言葉を中心に中国語の統一がさらに進んだ。
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== 話者分布 ==
中国語を[[第一言語]]としている人は一般的に約12億人と言われており、かつ、[[第二言語]]としても約2億人が使用している、世界で最も多くの人口に話されている言語である。同じ中国語であっても、例えば、[[北京語]]([[北方方言]]のひとつ)と[[広東語|広州語]]([[方言語]]ひとつ)と[[上海語]](東部に分布する[[呉方言]]のひとつ)では発音、語彙ともに大きく異なるだけでなく、文法にも違いがあるため、直接会話するのは非常に困難であるが、共通の[[書面語]]([[書き言葉]])が発達しているため、字に書けば意思疎通は比較的容易である。
 
== 言語変種 ==
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中国語の各「[[方言]]」は共通の[[文字]]組織([[漢字]])を持っているものの、異なる大方言話者との会話による相互理解は事実上不可能に近い。よって、方言話者では学校教育や放送で使われる「[[普通話]]」との[[バイリンガル]]となっていることが多い。
 
方言区分は議論のあるところであり、いくつに分けるか学者によって異なっている。二分類では、[[長江]]が南北の[[等語線]]とほぼ等しく([[南通]]、[[鎮江]]などは例外)、これより北と西の内陸部が「[[北方方言]]」(および[[晋語]])、これより南がその他の[[方言]]地域に分類することができる (Encyclopædia Britannica, Inc., 2004)。また、[[官話北方語|北方]]かんわほっぽう)・[[呉方言|呉]](ご)・[[カン方言|贛]](かん)・[[湘方言|湘]](しょう)・[[福建語|閩]](びん)・[[客家語|客家]](はっか)・[[広東語|粤]](えつ)に分けるのが七大方言であり、さらに[[晋方言|晋]](しん)・[[徽方言|徽]](き)・[[平話方言|平話]](へいわ)を独立した大方言と考える十大方言もある。その他、分類が定まっていな小方言群がある。[http://www.ethnologue.com/show_family.asp?subid=90151 Ethnologue] は、漢語(中国語)を14の[[言語]]に分類している (SIL International, 2004)。これは下記で述べる[[中国]]の平話を除いた九つの方言に[[キルギス]]の[[ドンガン語]]を加えたものである。なおこの場合、[[福建語|閩方言]]は[[ビン北語|閩北語]]・[[ミン東語|閩東語]]・[[ミン南語|閩南語]]・[[ビン中語|閩中語]]・[[ホ仙語|莆仙語]]の五つの言語に分けられている。
 
=== 標準語 ===
国民の意思疎通を容易にするため、[[中華人民共和国]]では、中央政府の[[言語政策|標準語政策]]により、[[北方方言]]の発音・語彙と近代口語小説の[[文法]]をもとに作られた「'''[[普通話]]'''」 (pǔtōnghuà) が[[義務教育]]の中で取り入れられ、若い世代を中心に成果が上がっており(一般的に、全人口の7割程度が理解すると言われている)、[[標準語]]・[[共通語]]となりつつある。[[台湾]]においても、日本の敗戦後に施政権を握った[[中華民国]]政府が'''「[[國語 (中国語)|國語]]」''' (guóyǔ) (「普通話」とほぼ同一で相互理解は可能だが音声と語彙に差異がある)による[[義務教育]]を行ってきたが、現在では[[台湾語]]、[[客家語]]、[[台湾原住民|原住民]]諸語の学習時間も設けられている。
 
=== 七大方言 ===
# [[北方方言]](官話方言)
## [[華北東北方言]](華北方言、華北官話) – [[華北]]・[[中国東北部|東北]]([[北京市|北京]]など)
## [[西北方言]](西北官話) - [[中国西北部|西北]]([[陝西省]][[西安]]など)、[[ドンガン語]]
## [[西南方言]](西南官話) – [[中国西南部|西南]]([[四川省]][[成都]]など)
## [[江淮方言]](下江官話) – [[江淮]]一帯([[江蘇省]][[南京市|南京]]など)
# [[呉方言]]([[上海語]]など)
# [[カン方言|{{lang|zh|贛}}方言贛語]]([[南昌語]]など。客家方言と近い)
# [[湘方言]]([[長沙語]]など)
# [[福建語|閩方言]](福建語)
## [[ビン北語|閩北方言]]
## [[ミン東語|閩東方言]]
## [[ミン南語|閩南方言]]・[[台湾語]]
## [[ビン中語|閩中方言]]
# [[客家語|客家方言]](客家語)
# [[広東語|粤方言]](広東語)
 
=== 十大方言 ===
以下の方言は独立した大方言区とすべきとの議論がある。オーストラリア人文アカデミーと中国社会科学院がまとめた[http://www.rcl.cityu.edu.hk/atlas/ 『中国言語アトラス (The Language Atlas of China)』]はこの立場で編纂されている。
# [[晋方言]] - 七大方言では北方方言に属する
# [[徽方言]] - 七大方言では呉方言に属する
# [[平話方言]] - 七大方言では粤方言に属する
 
=== ドンガン語 ===
[[ドンガン語]]は、音韻、基礎語彙、語法の面から北方方言の一変種とする意見の他、[[キリル文字]]を用いて表記し、[[ロシア語]]や[[キルギス語]]などからの借用語が多く、使用国も異なるため、独立した言語とする意見もある。
 
== 音韻 ==
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* {{lang|zh|玻璃}}(bōli; ガラス)
 
本来の中国語の[[単語|語]]は単音節であるため、必然的に[[多義語]]や[[同音異義語]]が多くなる。このため、特に北方方言において、「目」→「{{lang|zh|眼睛}}」、「耳」→「{{lang|zh|耳朶}}」、「鼻」→「{{lang|zh|鼻子}}」などのように複音節化して意味を明確にしている (橋本、1981)。
 
また、同じような意味の単音節の形態素を並べて、2音節の熟語を形成することがある。例えば、[[動詞]]「{{lang|zh|学}}」(学ぶ)は[[ピン音|ピンイン]]で (xué) と表記されるが、これとの同音異義語は5通り({{lang|zh|学、穴、噱、踅、泶}})以上あり、「学ぶ」という意味をはっきりさせるために2音節の語にして「{{lang|zh|学习}}」 (xuéxí) とすることもできる。