「紋章記述」の版間の差分

+記述例
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(+記述例)
 
イギリスの役人が書類をフランス語で記述したころに紋章学が発達したため、イギリスの紋章学の多くの用語はフランス語が起源である。また、通常英語では[[形容詞]]を[[名詞]]の前に置くが、紋章記述ではフランス語の語順に基づくため、古来より大部分の形容詞を名詞の後に置く習慣がある。
 
=== 記述例 ===
紋章記述の記述例をもとに、文法と紋章の図柄への対応を順番に示す。なお、今回の例に挙げている紋章は、実在する紋章をもとにして作成したものである。
{|class="wikitable"
|+'''紋章記述の記述と解釈の例'''
! !!紋章記述と解説!!紋章
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!1
|style="vertical-align:top"|'''''[[アジュール (紋章学)|Azure]].'''''
: <small>まず、紋章の背景となる[[フィールド (紋章学)|フィールド]]の色を指定する。通常、1色の[[ティンクチャー (紋章学)|ティンクチャー]]を用いる。</small>
|style="vertical-align:top"|[[Image:Blazon tutorial 0.svg|110px]]
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!2
|style="vertical-align:top"|''Azure, '''a [[ベンド (紋章学)|bend]] engrailed [[アージェント (紋章学)|Argent]].'''''
: <small>次に、主要な[[チャージ (紋章学)|チャージ]]を記述する。この場合は、チャージの輪郭にギザギザ模様を付けるエングレイル (engrailed) を施した[[アージェント (紋章学)|アージェント]]の[[ベンド (紋章学)|ベンド]]である。 ''engrailed'' のようなチャージに対する修飾はチャージの名前の後に置く。</small>
|style="vertical-align:top"|[[Image:Blazon tutorial 1.svg|110px]]
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!3
|style="vertical-align:top"|''Azure, a bend engrailed Argent '''between two bends Argent.'''''
: <small>その他のチャージを配置していく。この場合は、更に直線の一般的なアージェントのベンドを2つ配置している。 ''between'' という記述を用いることで、直前のチャージをはさむように2つのチャージを配置することを意味する。はさまれるチャージを中心として左右(上下)対称に同数のチャージを配置する場合でないと ''between'' という記述は用いることができない。非対称にする場合は、''in chief'' や ''in base'' などを用いて、中心とするチャージのどちら側に何個配置するのか明確に指定しなければならない。</small>
|style="vertical-align:top"|[[Image:Blazon tutorial 2.svg|110px]]
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!4
|style="vertical-align:top"|''Azure, a bend engrailed Argent between two bends Argent '''both charged with a bendlet Azure.'''''
: <small>上で追加したベンドに更にベンドレットを重ねる。チャージにチャージを重ねる場合は ''charged with'' という記述をよく用いる。 ''both'' という記述で、2つのベンドの両方に同様にチャージを重ねることを指示している。ベンドレットはベンドの約半分ほどの幅のベンドのことであり、下になっているチャージよりも細いチャージを配置したため、下のチャージが縁取りのように残って見える。ベンドレットがフィールドの色と同じであるため、この場合、アージェントの細いチャージを2つずつ配置したように見えてしまうが、紋章記述上ではあくまでも2つのチャージを重ねることによってできる紋様と解釈される。なお、仮に細いチャージを2つずつ配置して見た目を同じようにした場合でも紋章記述は異なるので、それらは紋章学上は別の紋章として扱われることに注意しなければならない。</small>
|style="vertical-align:top"|[[Image:Blazon tutorial 3.svg|110px]]
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!5
|style="vertical-align:top"|''Azure, '''on''' a bend engrailed between two bends Argent both charged with a bendlet Azure '''a rose gules barbed and seeded proper.'''''
: <small>主要なチャージに[[バラ]]のチャージを重ねる。上と同様に ''charged with'' を用いても良いが、主要なチャージの前に ''on'' と記述することでその代替としたり、他の記述と混乱してしまったりしないようにする。なお、 ''proper'' とは「自然色」と解釈し、紋章学で一般的に用いられるティンクチャーにとらわれずに自然界に存在する色をそのまま使用せよ、という意味である。バーベッド (barbed) は、バラの花弁の間に花弁とは異なる色の葉をつけることを意味し、シーデッド (seeded) は同様に花弁の中央の実に花弁と異なる色をつけることを意味する。この場合、バラの葉に緑、実に黄色を用いている。</small>
|style="vertical-align:top"|[[Image:Blazon tutorial 4.svg|110px]]
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!6
|style="vertical-align:top"|''Azure, on a bend engrailed between two bends Argent both charged with a bendlet Azure a rose gules barbed and seeded proper '''between two square billets also Azure.'''''
: <small>最後に、バラの両脇に正方形のビレット (billets) を置く。この場合もチャージが2つなので、 ''between'' という記述で直前のバラを中心に左右対称にエングレイルされているベンドの上に配置している。また、特に断らない限り、ベンドの上に配置されたチャージはベンドと同じ方向に傾けて配置するのが通例である。</small>
|style="vertical-align:top"|[[Image:Blazon tutorial 5.svg|110px]]
|}
 
== 複雑さ ==