「高エネルギー天文学」の版間の差分

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== 観測の歴史 ==
[[1912年]]にヘスによって、宇宙線が観測された。これは、大気との相互作用による[[チェレンコフ光]]を観測する方法によってであった。この原理は、初期の[[加速器]](現在も[[ポジトロン断層法|PET]]用の試料生成に使われている[[加速器|サイクロトロン]]のこと)において使われていた「箱」と呼ばれる装置と同じものである。[[霧箱]]とは関連項目を参照願いたいが、電磁気をかけた液体ヘリウムや液体窒素の気体の中をα線([[ヘリウム原子核]])やβ線([[電子]])が通過すると、その構成物質が電荷を持っているため、軌跡が磁力によって曲げられる現象を観察することが出来る装置のことである。[[エックス線]]や[[ガンマ線]]に関しては、[[写真乾板]]や[[写真フィルム]]を暴露しておくことによって観察が可能であった。加速器建設が行われるようになり、かつまた、医学領域における核検査技術の進展に伴い、エックス線やガンマー線に関しては、鉛[[ガラス]]と[[光電子倍増管]]を用いた観測装置によって観察が可能になった。
 
また、以前「エックス線観測衛星」に搭載された「すだれコリメータ」と呼ばれる装置も、電荷をかけた薄膜金属に高エネルギー線が衝突することによって飛び出す電子を検出し、その電子を加速することによって[[エックス線]]や[[ガンマー線]]を検出する装置である。近年では、超伝導技術によって開発されたカロリメータと呼ばれる[[CCDイメージセンサ|CCD]]に類似した素子によって同種の高エネルギー線が観測できるようになった。<ref>「すだれコリメータ」は高電圧を用いるため、地球の夜の側に入ると観測が出来なくなるデメリットがあった。それと比較して、カロリメータならば、超低温(ネオン冷却装置+断熱装置)技術が必要になる技術的挑戦はものの、24時間エックス線やガンマー線の観測が可能になる。この利点によってカロリメータの開発が行われた。</ref>
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AGASAと呼ばれる観測装置は、[[東京大学宇宙線研究所]]の明野観測所に設けられた、2006年現在運用稼動中の観測装置では最大規模の観測装置である。微弱な光を捉える光電子倍増管を広い範囲に設置し、宇宙からの宇宙線のシャワーを捉える装置である。
 
また、その後三菱電機との共同開発によって、オーストラリアの砂漠中にCANGAROO望遠鏡を開発・設置を行い、現在では運用を行っている。これは、宇宙線が大気との衝突によって生じるチェレンコフ光を捉える装置である。
 
宇宙線観測の難点は、非常に澄み切った大気と極めて明かりの乏しい環境でなければ観測が出来ない点である。このため、観測装置の運用においては国内に観測点を設置することは減ってきている。
 
== 今後の展開 ==