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Tossh (会話 | 投稿記録)
en:Complement system 22:23, 12 July 2008 (UTC) を翻訳、日本語版は見出し若干変更残存
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m 翻訳部のマイナー修正・時間切れ、夕方に再度修正します(まだあるでしょう)
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== 歴史 ==
 
19世紀後半、血清には細菌を殺すことのできる「因子」あるいは「性質」があるということが見出されていた。1986年、パリのパスツール研究所にいた若いベルギー人科学者Jules Bordetは、この性質は分解されて2つの要素に分かれ、一方は熱安定性、他方は易熱性をもったものであることを示した(易熱性とは血清を熱したらその効果を失うという意味である)。熱安定性をもった要素のほうは、特定の微生物に対して宿主に免疫を与えること、易熱性要素のほうは、全く正常な血清の中に保持されており、非特異的な抗微生物活性をもつことがわかった。この熱性要素が、われわれが今日「補体」と呼んでいるものである。
 
「補体」(complement)という言葉は、1980年代後半に、Paul Ehrlichが、免疫系のもっと大きな理論を展開した際に構成要素の1つを表すものとして導入された。この理論によれば、免疫系を構成する細胞は抗原認識のために表面に特異的なレセプターをもっている。抗原で免疫するとこれらレセプターの形成がどんどん行われて、やがて脱落して血液中を循環する。これらレセプターは今日「抗体」と呼ばれているが、Ehrlichは、その結合性に2つの機能があることを強調するため、「アンボセプター」(amboceptor、'ambo'は2つを意味する)と呼んだ。つまりそれらは特定の抗原を認識して結合し、新鮮な血液中の易熱性の抗微生物性要素をも認識し結合する。そこでこの易熱性要素を、血清中にあって免疫系の細胞を補助するという意味で補体と呼んだ。
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[[Image:c1protein.png|thumb|200px|left|C1タンパク質のサブユニットC1r、C1s、C1q尾部を示す。]]
3つの経路は全て互いに異なるC3転換酵素を生ずるが、それらは相同なものである。補体の古典経路は、活性化されるのに、多くは抗体を必要とする(特異的免疫応答)が、副経路およびマンノース結合レクチン経路では抗体は必要ではなくC3加水分解あるいは抗原によって活性化される(非特異的免疫応答)。3経路ともC3転換酵素がC3成分を分解して活性化し、C3aとC3bを生じ、カスケードにさらに分解および活性化の反応が起こるようにする。C3bは病原体表面に結合してオプソニン化を行い、貪食細胞による取り込みを促進する。C5aは重要な走化性タンパク質で炎症性細胞の動員を補助する。C3aもC5aもアナフィラトキシンの作用をもち、マスト細胞の脱顆粒や血管透過性の講師、平滑筋収縮などの直接的なトリガーとなる。C5bは膜侵襲経路を開始して、C5b、C6、C7、C8および多量体のC9からなる膜侵襲性複合体(MAC)を形成する。<ref name=Baron>{{cite book | author = Goldman AS, Prabhakar BS | title = The Complement System. ''in:'' Baron's Medical Microbiology ''(Baron S ''et al'', eds.)| edition = 4th ed. | publisher = Univ of Texas Medical Branch | year = 1996 | id = [http://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/bv.fcgi?rid=mmed.section.238 (via NCBI Bookshelf)] ISBN 0-9631172-1-1 }}</ref>MACは補体カスケードにおける最終産物で細胞溶解性がある。標的細胞に膜貫通性チャンネルを形成し、浸透圧を利用した溶解作用を起こす。クッパー(Kupffer)細胞や他のマクロファージタイプの細胞は、表面が補体まみれになった病原体を排除する手助けをする。自然免を構成する一部として、補体カスケードの要素は脊椎動物より古い種に見出すことができる。最近の知見では補体系の起源は以前考えられていたよりもずっと古い時代に遡り、前口動物のカブトガニに見出されることがわかった。
 
=== 古典経路 ===
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=== レクチン経路(マンノース結合レクチン経路、MBL経路、MBL-MASP) ===
レクチン経路は古典経路に相同であって、オプソニの代わりにマンノース結合レクチン、C1QC1qの代わりにフィコリンを使う。この経路はマンノース結合レクチンが病原体表面のマンノース残基に結合することによって活性化される。MBL関連セリンタンパク質分解酵素であるMASP-1とMASP-2(それぞれC1rとC1sに似ている)を活性化しC1を分解してC4aとC4bに分け、C2を分解してC2aとC2bに分ける。C4bとC2aは古典経路と同じく、結合してC3転換酵素を形成する。フィコリンはMBLに相同でNASPMASPを介して同様な機能を果たす。無脊椎動物では適応免疫系はないのでフィコリンが幅を利かせており、病原体識別分子がないということを埋め合わせするように広範囲の結合特性をもっている。
 
== 補体系の制御 ==