「プロスペクト理論」の版間の差分

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江口磐世☆ (会話 | 投稿記録)
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==モデル==
プロスペクト理論は、たとえば[[金融|ファイナンス]]における[[意思決定]]など、人々がリスクを伴う選択肢の間でどのように意思決定をするかを記述する。個人が損失と利得をどのように評価するのかを、[[経験]]的事実から出発して記述する理論である。なお、最初の定式化において''"prospect"''(期待、予想、見通し)という語は[[宝くじ]]から来ている。
 
例えば、以下の二つの質問について考えてみよう。
 
*'''質問1:'''あなたの目の前に2つの選択肢が提示されたものとする。<br>
例えば<br>
:選択肢:A 100万円が無条件で手に入る。<br>
:選択肢:B コインを投げ、表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない。<br>
 
どちらの選択肢も手に入る金額の期待値は100万円と'''同額'''である。にもかかわらず、一般的には、堅実性の高い「選択肢A」を選ぶ人の方が圧倒的に多いとされている。<br>
 
*'''質問2:'''あなたは100万円の負債を抱えているものとする。<br>
質問1<br>
:選択肢:A そのまま100万円を支払う。<br>
あなたの目の前に2つの選択肢が提示されたものとする。<br>
:選択肢:B コインを投げ、表が出たら支払いが全額免除されるが、裏が出たら、支払額が200万円に増額される。<br>
選択肢:A 100万円が無条件で手に入る。<br>
選択肢:B コインを投げ、表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない。<br>
 
この質問も両者の期待値は-100万円と'''同額'''である。安易に考えれば、質問1で「選択肢A」を選んだ人ならば、質問2でも堅実的な「選択肢A」を選ぶだろうと推測される。しかし、質問1で「選択肢A」を選んだほぼすべての者が質問2ではギャンブル性の高い「選択肢B」を選ぶことが実証されている。<br>
 
どち<!--これ2つの選択肢も手に入る金額期待値共通点、「100万円の得をする可能性を含んでいる」ということである。<br-->
にもかかわらず、一般的には、堅実性の高い「選択肢A」を選ぶ人の方が圧倒的に多いとされている。<br>
 
の一連の結果が意味することは、人間は目の前に利益があると、利益が手に入らないというリスク回避を優先し、損失を目前にすると、損失のものを回避しようとする傾向があるということである。<br>
 
'''質問1'''の場合は、50%の確率で何も手に入らないというリスクを回避し、100%の確率で100万円を確実に手に入れようとしていると考えられる。また、'''質問2'''の場合は、100%の確率で確実に100万円を支払うという損失を回避し、50%の確率で支払いを免除されようとしていると考えられる。
質問2<br>
あなたは100万円の負債を抱えているものとする。<br>
選択肢:A そのまま100万円を支払う。<br>
選択肢:B コインを投げ、表が出たら支払いが全額免除されるが、裏が出たら、支払額が200万円に増額される。<br>
 
プロスペクト理論とはこのような心理的傾向を考慮した意思決定論などを指す。<br>
 
この質問も両者の期待値は-100万円と同額である。<br>
 
 
安易に考えれば、質問1で「選択肢A」を選んだ人ならば質問2でも堅実的な「選択肢A」を選ぶだろうと推測されがちである。<br>
しかし、質問1で「選択肢A」を選んだほぼすべての者が質問2ではギャンブル性の高い「選択肢B」を選ぶことが実証されている。<br>
これら2つの選択肢の共通点は「100万円の得をする可能性を含んでいる」ことである。<br>
 
 
この結果が意味することは、人間は目の前に利益があると、リスク回避を優先し、損失を目前にすると、それを回避しようとすることである。<br>
プロスペクト理論とはこのような心理的傾向を考慮した意思決定論などを指す。<br>
 
[[Category:認知バイアス|ふろすへくと]]