「時代精神」の版間の差分
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'''時代精神'''(じだいせいしん、{{lang-de-short|Zeitgeist}})とは、ある時代に支配的な知的
時代精神の理念の出自をたどると、ドイツ・[[ロマン主義]]者[[ヨハン・ゴットフリート・ヘルダー]]による「[[民族精神]]」概念の形成に行き着く。ヘルダーは、民族的な精神文化(民俗的な言語や詩)に深い関心を寄せるなかで、人類史を人間精神の完成に向かう普遍的歴史としてとらえる考え方を提示し、時代の精神を示す「民族の精神」などの概念を用いた。
[[弁証法]]哲学を唱えた[[ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル|ヘーゲル]]は、民族精神ないし(近代的には)国民精神を、世界史の個々の発展段階における普遍的な「世界精神」の現れとして捉え、民族精神にみられる歴史的
以上のヘーゲルのような考え方は、19世紀を通じて[[歴史学]]や[[法学]]、[[経済学]]などさまざまな分野で展開されることになった。
▲[[弁証法]]哲学を唱えた[[ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル|ヘーゲル]]は、民族精神ないし(近代的には)国民精神を、世界史の個々の発展段階における普遍的な「世界精神」の現れとして捉え、民族精神にみられる歴史的、時代制約的性格(非哲学の消極的性格)を明らかにした。ここから、普遍的な人間精神が特殊的、歴史的現実に展開、具現するところに、ある時代の精神文化を表す時代精神の存在をみる見方が確立されることになった。
▲以上のヘーゲルのような考え方は、19世紀を通じて[[歴史学]]や[[法学]]、[[経済学]]などさまざまな分野で展開されることになった。[[ヴィルヘルム・ディルタイ]]は、ヘーゲルよりも具体的に生活[[体験]]という視点から時代精神を捉える。すなわち、ヘーゲルの形而上学的構成に対して、与えられてある生の現実から出発しなければならないとして、時代精神を知、情、意の「作用連関」においてとらえ、価値体系を中核に、そうした作用連関の表出のうちに時代精神を[[了解]]({{lang-de-short|Verstehen}})する[[精神科学]]({{lang-de-short|Geisteswissenschaften}})を提唱したのである。この捉え方は、後にヨーロッパ中に広く大きな影響を与えることになった。
▲また、今日では、以上のような哲学的規定から離れて、単にその時代に特有の社会的[[常識]]を指して「時代精神」と呼ばれることもある。たとえば、[[リチャード・ドーキンス]]は、著書『[[神は妄想である]]』において、女性の選挙権獲得などに代表される社会常識の移り変わりを説明する際にこの言葉を用いている。
== 関連項目 ==
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[[Category:哲学の概念]]
[[Category:ドイツの歴史]]
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