「モノクローム」の版間の差分

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追記…映像に傾倒しすぎたか?
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モノクローム(以下モノクロ)は単色のことであるが、こと映像の範疇では単色ないしその濃淡で映像を現す様式である。映像表現としては[[光線|光]]の強弱を色の有る無しもしくは濃淡に置き換えた形態で、[[黒]]を[[白]]の上に配して映像表現することが多いことからいわゆる「白黒」がそのまま「モノクロ」と表現される。
 
===写真技術とモノクロ===
[[画像:View from the Window at Le Gras, Joseph Nicéphore Niépce.jpg|thumb|世界最初の[[ジョゼフ・ニセフォール・ニエプス|ニエプス]]による写真(1827年)]]
こういった映像表現の発生した背景には、初期の写真技術があげられる。[[カメラ・オブスクラ]](カメラオブスキュラとも)と呼ばれる装置では、装置内部に投射される映像は色彩のあるカラー映像ではあったが、これを黒の[[インク]]ないし[[鉛筆]]で写し描いた場合はモノクロの映像となった。後に画家の手は[[写真乾板]]に置き換えられたが、初期の写真乾板は[[アスファルト]]に光線を長時間当て、これによって光線の当たったところのアスファルトは硬化して洗浄した後も黒く残り、それ以外は基盤となったシロメ([[スズ|錫]]・[[鉛]]合金)の白色が見えるようになっていたが、この露光には8時間を要した(→[[写真史]])。
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[[カラーフィルム]]の発達した今日では、モノクロの映像は過去の映像などでしかあまり見ることの無いものであるし、またモノクロ映像も古くより手作業で色彩を施してカラー化されることや、または20世紀末よりは計算速度が飛躍的に増大した[[コンピュータ]]で映像を作り出す[[コンピュータグラフィックス]]の技術を導入して、これに色彩を載せる試みも始まっており、この中では過去の映像作品のカラーかも行われている。しかしカラー映像の発達初期においてもモノクロ映像はその描写性(精細さ)や光線の感受性の高さでカラーフィルムよりも勝っていたため、20世紀後半に入っても長らくは記録映像や芸術性を求めた映像作品のうちにモノクロ映像のものがしばしば撮影された。更には、モノクロ映像の持つ独特の雰囲気は[[ヒト]]の[[肉眼]]で捉えた色彩の世界とは違った印象を与えるため、[[デジタルカメラ]]など最新の映像機器のうちにも「モノクロ撮影モード」([[機能]])を備える製品は多い。
 
===撮像技術とモノクロ===
[[画像:Night vision.jpg|thumb|軍用ナイトビジョンによる無色彩の映像(緑のモノクローム)]]
また2000年代現在の時点においては、[[固体撮像素子|撮像素子]]で光線を電気信号に変換する過程で色彩を検出するためには、ある程度の光線量が依然として必要であるため、[[ナイトビジョン|暗視カメラ]]ではモノクロ映像が依然として主流である。なお、モノクロ撮像素子はカラー撮像素子よりも製造技術面でより「低い技術程度」で作れるなど簡便であるため、撮像素子が普及する過渡期において安価な製品の中にはこのモノクロ映像を撮影する製品があったし、電子部品[[モジュール]]の中には廉価なモノクロ撮像素子も依然多く流通している。[[廉価版]]ないし薄暗い場所に対応した[[監視カメラ]]のうちにも、このモノクロ撮像素子を利用した製品が見られる。
 
===立体映像とモノクロ===
[[画像:AbaglypMonochromeToy.jpg|thumb|アナグリフ方式の立体映像イメージ]]
なお<!--体裁が崩れるのでコメントアウト:[[画像:AbaglypMonochromeToy.jpg|thumb|アナグリフ方式の立体映像イメージ]]-->
いささか旧式と見られるモノクロ映像ではあるが、[[3次元映像|立体映像]]のうちアナグリフ方式では、左右の目にそれぞれ色の違う[[フィルター]]を装着、これによって立体視を可能としているが、これは脳で[[認識]]する際にモノクロ映像として構成される。
 
==表示におけるモノクロ==
[[画像:1950's television.jpg|thumb|1950年代の白黒テレビ]]
技術開発当初から普及初期の[[テレビ受像機]](テレビジョン)では、モノクロ(→[[白黒テレビ]])が一般的であった。これは撮像素子の関係のほか、映像出力に使われた[[ブラウン管]]の性質にその理由を求めることが出来る。ブラウン管は、内部で発生させた[[陰極線|電子ビーム]]を磁力で偏向、スクリーン面に塗布された[[蛍光体]]に衝突させ発光させる。故に電子ビームの強弱で発光具合を調節させることが出来、光線の強弱を撮像素子によって電気信号に変換、これを[[搬送波]]に乗せ、遠隔地にあるテレビ受像機で電気信号から連続した点の各々の光の強弱から、映像に再変換して見せることが出来た。ただ、初期のブラウン管では蛍光体の性質から「暗い - 明るい」の強弱で表示は出来たが、色彩を再生させることは出来なかった。後にこのブラウン管を改良、[[原色|光の三原色]]を微細なブロックに分けて塗布したブラウン管を利用した[[カラーテレビ]]では、電子ビームを更に精密に走査させながら、色彩の再現が可能となっている。
 
===コンピュータの表示とモノクロ===
[[画像:Toshiba T1100 In Betrieb.jpg|thumb|世界初の[[ラップトップパソコン|ラップトップ]]。液晶マトリクスディスプレイが搭載されていた]]
[[ディスプレイ (コンピュータ)|コンピュータディスプレイ]]では、コンピュータの発達過程でこのモノクロ表示が利用されていた。これは表示装置の制約として初期の[[液晶ディスプレイ]]や[[プラズマディスプレイ]]が連続する点の「点灯 - 消灯」状態でしか表示が出来なかったなどの理由があった機種もあるが、それ以前にコンピュータディスプレイでは、このディスプレイに表示させる内容を保持する[[VRAM|ビデオメモリ]]の記憶容量的な問題もあり、カラー表示では各々の表示点([[ピクセル]])の[[ビット深度]]を増やさないと色彩情報を記憶できず、初期の、あるいは廉価で機能的に限定されたコンピュータでは余り多くのビデオメモリを利用することが出来ず、最も簡素な製品では各々の表示点のビット深度を「ON(消灯) / OFF(点灯)」状態で保持するよう設計された。
 
後に潤沢なビデオメモリが搭載できるようになると、また液晶ディスプレイやプラズマディスプレイにカラー表示が可能となると、次第にこういったモノクロ表示のコンピュータは表示情報が限定的であるため廃れていったが、[[携帯情報端末]]や[[電子辞書]]ないし[[電子ゲーム]]などのうち廉価な製品では、依然としてモノクロ表示のものがみられる。
 
== 関連項目 ==