「新ハムレット」の版間の差分

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『'''新ハムレット'''』(しんはむれっとハムレット)は、[[太宰治]]の[[戯曲]]。[[シェイクスピア]]の『[[ハムレット]]』の[[近代]]的翻案、あるいは[[パロディ]]。太宰中期([[1941年]]ごろ)の作品。
 
*[[井伏鱒二]]への手紙に「この作品は戯曲の形式をとっていますが、新しい[[小説]]のつもりで書きました」という趣旨のことを書いているので、[[レーゼドラマ]]と言える。「はしがき」でも、「これは、謂(い)わば LESEDRAMA ふうの、小説だと思っていただきたい」と言明している。
 
*[[新潮文庫]]より、この作品を表題作にした作品集が出版されている([[#出版]])。
*レーゼドラマであるが太宰の意図とは別に実際にはこれを台本として劇団[[シェイクスピア・シアター]]などによって上演された。[[2008年]]12月には[[外輪能隆]]の演出により静岡県舞台芸術センター(SPAC)で上演予定である
 
*[[2008年]]12月に外輪能隆の演出によりSPAC(静岡県舞台芸術センター)で上演予定。
*[[新潮文庫]]より、この作品を表題作にした作品集が出版されている([[#出版]])。
 
{{ネタバレ}}
== 内容 ==
===;はしがき===
*[[坪内逍遥]]らの訳を参考にしたこと、オリジナルへの敬意表明、読者への再読の推奨などが語られる。
 
===;  エルシノア王城  城内の大広間===
*ハムレットが大学に行きたがるが、新王はホレイショを呼ぶことによって、それを止める。
 
===;  ポローニヤス邸の一室===
*オフィーリアとその兄レヤチーズのやりとり。ハムレットに惚れるな、と兄が妹に釘を刺す。ここでレヤチーズの口から語られるハムレットの人物像(何でも巧くこなすが、情熱的になれない、人心を見透かしたような青年像)は、『[[人間失格]]』の葉蔵に似ている。ここはオリジナルとの違いと言えよう。
 
*ポローニヤスが登場して、レヤチーズに、大学生活での心得を言い渡す。レヤチーズが去った後のオフィーリアと父のやりとり。
 
===;  高台===
===一 エルシノア王城 城内の大広間===
ホレイショとハムレットのやりとり。先王の[[幽霊]]が出るという噂が大学に広まっていることが報告される。「母は総入歯」というコミカルな台詞もあるのがオリジナルとの違い。
*ハムレットが大学に行きたがるが、新王はホレイショを呼ぶことによって、それを止める。
 
===;  王妃の居間===
===二 ポローニヤス邸の一室===
*[[王妃]]とホレイショのやりとり。王が途中から入ってきてオフィーリアの[[妊娠]]騒ぎ。
*オフィーリアとその兄レヤチーズのやりとり。ハムレットに惚れるな、と兄が妹に釘を刺す。ここでレヤチーズの口から語られるハムレットの人物像(何でも巧くこなすが、情熱的になれない、人心を見透かしたような青年像)は、『[[人間失格]]』の葉蔵に似ている。ここはオリジナルとの違いと言えよう。
*ポローニヤスが登場して、レヤチーズに、大学生活での心得を言い渡す。レヤチーズが去った後のオフィーリアと父のやりとり。
 
===;  廊下===
===三 高台===
*ホレイショポローニヤスとハムレットのやりとり。先王の[[幽霊]]途中から、ホレイショ出るという噂が大学に広まってきて、妊娠騒ぎに照れハムレットが報告され組打ちを始める。「母ポローニヤス総入歯」と幽霊騒ぎを信じてうコミカルな台詞もあのがオリジナルとの違い
 
===;  庭園===
===四 王妃の居間===
*オフィーリアと王妃のやりとり。原作にも登場する「[[紫蘭]]のみだらな呼び名」についての台詞がある。
*[[王妃]]とホレイショのやりとり。王が途中から入ってきてオフィーリアの[[妊娠]]騒ぎ。
 
===;  城内の一室===
===五 廊下===
*先王殺しの容疑のある王の反応を見るために、ポローニヤス、ハムレット、レヤチーズらが、王殺しに似た状況の[[朗読劇]]『迎え火』を演じて見せる。この朗読劇は、[[クリスティーナ・ロセッティ]]の『時と亡霊』を太宰なりに潤色したものである。
*ポローニヤスとハムレットのやりとり。途中から、ホレイショが入ってきて、妊娠騒ぎに照れるハムレットと組打ちを始める。ポローニヤスは幽霊騒ぎを信じている。
 
*芝居を聴いた王妃は怒り、王は喜んでいるように見えた。
===六 庭園===
*オフィーリアと王妃のやりとり。原作にも登場する「[[紫蘭]]のみだらな呼び名」についての台詞がある。
 
;八 王の居間
===七 城内の一室===
王とポローニヤスのやりとり。オリジナルと違って、ポローニヤスを殺すのは王である。
*先王殺しの容疑のある王の反応を見るために、ポローニヤス、ハムレット、レヤチーズらが、王殺しに似た状況の[[朗読劇]]『迎え火』を演じて見せる。この朗読劇は、[[クリスティーナ・ロセッティ]]の『時と亡霊』を太宰なりに潤色したものである。
*芝居を聴いた王妃は怒り、王は喜んでいるように見えた。
 
===八 王;九 城大広===
*王ハムレットポロオフィニヤスリアのやりとり。オリジナルと違王がやってきたのでポロオフィニヤスリア逃がのは王である
 
*戦争が始まり、レヤチーズは死ぬ。そのことを王は知らせに来たのだが、ハムレットは、王がポローニヤスを殺したことを察する。そのとき、王妃の入水自殺を知らせに、ホレイショがやってくる。
===九 城の大広間===
*ハムレットとオフィーリアのやりとり。王がやってきたので、オフィーリアを逃がす。
*戦争が始まり、レヤチーズは死ぬ。そのことを王は知らせに来たのだが、ハムレットは、王がポローニヤスを殺したことを察する。そのとき、王妃の入水自殺を知らせに、ホレイショがやってくる。
 
== 出版 ==
*『新ハムレット』(新潮文庫)ISBN 978-4101006123
 
== 外部リンク ==
*『新ハムレット』[[青空文庫]] [http://www.aozora.gr.jp/cards/000035/files/1576_8585.html 新ハムレット]([[青空文庫]]
 
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