「経営事項審査」の版間の差分

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以上の8指標を次の算式に当てはめ、経営状況点数(A)を算出する。
 
'''経営状況点数(A)=(A)=(-0.4650×Y14650*Y1)-(0.0508×Y20508*Y2)+(0.0264×Y30264*Y3)+(0.0277×Y40277*Y4)+(0.0011×Y50011*Y5)+(0.0089×Y60089*Y6)+(0.0818×Y70818*Y7)+(0.0172×Y80172*Y8)+0.1906'''
 
Aは[[判別分析]]により構築されており、上記の算式は「y=ax+b」を基本とする[[線形判別関数]]である。判別分析とは、ここでは倒産・非倒産を判別することである。具体的にはAが0未満で倒産、0以上で非倒産と判別している。このAを他の指標(X1、X2、Z、W)と評点の桁や平均の水準を合わせるために、Yに変換するものが次の式である。
 
'''経営状況評点(Y)=167.3×A3*A+583'''(Yが0点未満の場合は0点とみなす)
 
この結果、Yの最高点は1595点、最低点は0点となる。
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この変換式から分かることは、「583」とあるように、Yにおける'''倒産判別点'''が583点であるということである(Aに0を代入すると583を返す)。つまり、Yでは、'''583以上が非倒産'''、'''582点以下が倒産'''と判別していることになる。
 
この変換式は、「Y=200×((A-0.7023)/1.1955)*200+700」を変形し端数処理を行ったものである。これは受験の[[学力偏差値]]の算出式とよく似ている。受験の[[学力偏差値]]は「10×((得点-平均点)/標準偏差)*10+50」で求められ、常に標準偏差を10は見やすくするためのスケール変換50は平均の水を50点に標を表す化している。同じように、200はスケール変換、700式で標準偏差を200点、平均の水を700点に標であ化している。この700を'''制度設計時平均'''といい、他の指標(X1、X2、Z、W)と水準を合わせている。建設業界では一般に「Yの平均は700点」といわれているが、それはこの制度設計時平均のことを指しておりいる。学力偏差値が結果論であるのに対し実際Yは制度設計されたもであるため、10数万社に及ぶ申請者の実際のYの平均点が毎年ぴったり700点になるわけではない。
 
このように、Yには倒産判別能力が高いので、金融機関等の他分野においてY評点を企業評価の参考にしていることが多い。ただ、倒産判別を主目的にするならば、制度設計時平均の700点ではなく、倒産判別点の583点を基準にすることが望ましいし、申請業者の側も700点と583点の意味を押さえておくことが望ましい。
 
ただし、Yには設計上の限界があることに留意する必要がある。理由は、[[判別分析]]や[[偏差値]]などの[[統計]]処理は、[[母集団]]が[[正規分布]]していることが大前提だからである。[[建設業]]に限らず[[日本]]の[[企業]]の99%以上は[[中小企業]]であり、様々な[[指標]]のほとんどは[[正規分布]]していない。この経営状況分析を含む経営事項審査全体が、この前提を欠いたまま制度設計されていることから、[[大企業]]と[[中小企業]]を同じ尺度で評価する限界は、常に指摘されているところである。
 
*その他の審査項目(社会性等)評点 (<math>W</math>)