「体験版」の版間の差分

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{{Otheruses|[[ソフトウェア]]製品全般|[[工業製品]]一般|カタログロット}}
'''体験版'''(たいけんばん)とは、主に[[パーソナルコンピュータ]]の[[ソフトウェア]](いわゆる[[パソコンゲーム]]を含む)ないし[[コンシューマーゲーム|家庭用ゲーム機]]の[[ゲームソフト]]などで、販売促進の為ユーザー機能を制限体験・試用してもらうことを目的に頒布されるもののこと。多くの場合においては、専用の[[バージョン]]が用意されである。
 
[[日用品]]的な物品を配付する[[試供品]]とは異なり、必ずしも「製品」である必要はなく、開発途上のいわゆる[[アルファ版]]や[[ベータ版]]を提供する場合もある。
 
==概要==
体験版のソフトウェアは、製品版とは異なりそれ自体は機能上で幾つかの制限が設けられていたり、あるいは開発途上で機能そのものがまだ実装されていない部分を含むこともあるソフトウェアである。これらはユーザーにソフトウェアを実際に操作してもらって、その機能や使用感を確かめ体験してもらうというともに、製品版の購入を促す目的がある。具体的にはそのユーザーからすると、ソフトウェアが手元ユーザーのコンピュータで問題なく動作するかという点やまたは必要なユーザーが求める機能がそのソフトウェアに備わっているかという点が購入前に具体的に確認できるいう利点挙げられる。
体験版は試すという性質上、無償で配布されるのが大半であるが、ディスクの製造コストや送料などで低額ながらも有償で配布されることもある。
===機能・期間制限の例===
製品版が存在しており販売促進のためにユーザーに体験・試用してもらうものであり、製品版に手を加えて何らかの制限をしている。一般に体験版とはこの体験版専用のソフトウェアの[[バージョン]]を指す。制限には次のような例があり、これらを組み合わる場合もある。
*使用できる期間を設ける(30日間のみ利用可能、等)
*保存や印刷などのデータ出力が使用不能になっている
*一定時間しか実行できない(10分等)
*表示や印刷などの生成物に透かし文字などが強制的に上書きされる
*一部の機能を選択できない
*一定の使用期間または起動回数を超えると使用不能になる
*ゲームなどで一定[[ステージ (コンピュータゲーム)|ステージ]]までしかプレイできない(1面や入門モードのみ等)
*一定時間あるいは(ゲームなどで)一定区間以降は動作しない
*動作に予期せぬ不具合が起こってもディスクの交換などの補償に応じない
*一部の利便性の高い機能が使用不能になっている
*未払いである旨のメッセージを表示する
*最新のデータが提供されない
*ユーザーサポートがない
 
製品版に体験版の機能を組み込んであり、利用料金を支払った上でそれを何らかの方法でソフトウェアに認識させることで制限をなくすタイプのソフトウェアも存在する。この場合の「体験版」「製品版」という呼称は形式的なものであり、体験版のアンインストールと製品版のインストールという手数が発生しない。
これら様々な方法を組み合わせている場合もある。また、利用料金を支払うことで、そのまま製品版に移行できるタイプの体験版や[[シェアウェア]]も存在する。
 
===不完全版・有料体験版===
[[日用品]]的な物品を配付する[[試供品]]とは異なり、必ずしも完成した製品があるとは限らず、開発途上のいわゆる[[アルファ版]]や[[ベータ版]]状態の不完全なソフトウェアを体験版として提供するケースもある。主要な機能においては概ね製品版に近いものが提供されるが、操作性が悪い・細部の機能不足・結果が不正確あるいは不十分・コンピュータが動作不良を起こすなどの問題点を含んでいる場合が多い。メーカーはこれらの問題点を収集してソフトウェアに反映させ、製品版の質を向上させる。
製作中の'''[[ベータ版]]'''(β版)として、実際に販売される内容とは異なる状態で頒布されるケースも多く見られる。この際、一定の動作を行うものが提供されるが、製品としては不完全ないし未完成であるため、これによってコンピュータが動作不良を起こすなどのトラブルに見舞われたり、或いはその不都合に対するサポートも不十分である場合を含む。
 
===有料体験版===
体験版のほとんどは無料であるが、これに製品版と比べて安価な料金(媒体の料金や郵送費は含まない)を課す場合も見られる(有料体験版)。こうした手法は、開発のための資金を得つつ、作品の質を安定させる為に行われる。こちらはユーザーに金銭を求めつつ不完全な製品を提供しているため、これに対して批判するユーザーもいないわけではないが、その不都合が存在し得る辺りの了解が購入希望者に求められるなど、製品版と比較して非対称の[[ユーザビリティ]]が特徴的である。
体験版のほとんどは無料であるが、これに製品版と比べて安価な料金を課す場合も見られる。これを有料体験版あるいは有償体験版と呼ぶ。多くは上記不完全版の状態でありながら、体験版配布のための出費を抑えつつ、製品版の質を向上させるために行われる。ユーザーから安価ながらも金銭を得た上で不完全な製品を提供する形だが、動作や不具合について無保証なのが一般的である。
 
ちなみに、製品版として一度世に送り出されたものであっても製品の品質が悪く[[パッチ]]による修正が続くなどした場合、「ユーザに金を払わせて[[バグ]]探しをさせるソフト」という皮肉を込め、ユーザーが「有料体験版」と揶揄したりすされることある。
 
== 頒布形態 ==
[[1988年]]より[[コンパイル (企業)|コンパイル]]が販売していた『[[ディスクステーション]]』(雑誌のようにプログラムメディアとなる[[フロッピーディスク]]入りのパッケージを刊行した)では、フロッピーディスクの空き容量に便乗する形で他社ソフトウェアメーカーの体験版ソフトウェアを受け入れていた。これらは実際には遊べない店頭用オートデモ(プレイヤーの操作が無くても自動操作で画面が進む)であったり、ゲームの肝となる技術を利用したミニゲームであったりもしたが、概ねこの[[8ビットパソコン]]([[8ビット御三家]]参照)の時代から、体験版という概念自体はあった。ただしこの頃は「プレイアブルデモ」(遊べるデモ用プログラム)など、あまり明確な呼称は存在しなかった。
 
1990年代までは体験版を記録した[[コンパクトディスク|CD]]等の記録媒体を[[雑誌]]の付録としてや店頭で配布する事が多かったが、[[2000年]]以降、ブロードバンド通信回線の普及に伴い、メーカーの[[ウェブサイト]]を介し、ダウンロードする形で配布されることが多くなった。
 
[[1988年]]より[[コンパイル (企業)|コンパイル]]が販売していた『[[ディスクステーション]]』(雑誌のようにプログラムメディアとなる[[フロッピーディスク]]入りのパッケージを刊行した)では、フロッピーディスクの空き容量に便乗する形で他社ソフトウェアメーカーの体験版ソフトウェアを受け入れていた。これらは実際には遊べない店頭用オートデモ(プレイヤーの操作が無くても自動操作で画面が進む)であったり、ゲームの肝となる技術を利用したミニゲームであったりもしたが、概ねこの[[8ビットパソコン]]([[8ビット御三家]]参照)の時代から、体験版という概念自体はあった。ただしこの頃は「プレイアブルデモ」(遊べるデモ用プログラム)など、あまり明確な呼称は存在しなかった。
 
== 家庭用ゲーム機における体験版 ==