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Tantalos (会話 | 投稿記録)
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貴族政のポリスは、[[神話]]時代に遡る伝承に基づく正統な血統を継いでいることをもってポリスの指導者たる根拠とした、[[王制]]を既に廃するか形骸化することによって、同様に正統な血統を誇る貴族層全体の合議制の政体を成立させていた。しかし、交易などによって貴族層に並ぶ経済力をつけた実力者が平民層に増えてきたことや、こうした富裕平民が[[重装歩兵]]の密集隊の戦術によってポリスの戦役に大きく貢献するようになってきたことで、彼らがポリスの政治から疎外されていることに対する不満が増大していった。
 
こうした中で、政治力に富んだ貴族の一部で富裕平民層の意向を政治に反映させることで彼らの支持を取り付け、貴族層全体の利益を保証することを目指す貴族たちの合議体制を非合法的に押さえつけ、独裁的権力を握る者が現れたのである。彼らは血統の正統性をではなく、富裕平民層の支持を背景にポリスの指導力を発揮したため、「王(バシレウス)」ではなく「僭主(テランノス)」と呼ばれた。日本語訳の「僭主」とは「(王であるかのような権力を)[[僭称]]する(ポリスの)主(あるじ)」を意味しており、その権力の非合法性を強調しているが、その独裁性は表現されていない
 
僭主たちはポリスにおける平民層の実力増大の過渡期的存在であったため、貴族層と平民層を包含した市民団が成立して、この集団全体によるポリス運営、即ち[[民主制]]が成長していった[[アテネ]]のようなポリスでは、抑圧的な[[独裁者]]として糾弾され、僭主の出現を防ぐために[[陶片追放]]が制度化された。