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== 予備審問 ==
[[公訴]]の提起([[起訴]])を[[私人]]が行う「[[私人訴追]]」を原則とする[[イギリス]]において、濫訴を防止するために採用された。その後、イギリス法を継受した[[アメリカ合衆国]]や一部の大陸法国においても行われるようになり、現在に至っている。
 
[[アメリカ合衆国憲法]]修正5条では、[[大陪審]]による起訴を保障しているため、連邦裁判所の事件(連邦法違反)については予備審問ではなく大陪審によって起訴の当否が決定される。連邦刑事訴訟規則には治安判事による予備審問の規定があるが、大陪審による正式起訴がされた場合等は除外されているので、予備審問は基本的に必要とされない<ref>[http://www.law.cornell.edu/rules/frcrmp/Rule5_1.htm 連邦刑事訴訟規則Rule 5.1.](a)。</ref>。一方、州裁判所では大陪審の起訴によらなくてもよいと解されており、それに代わる制度として、およそ半数の州が予備審問を採用している。
 
予備審問においては、起訴をするか否かは、[[大陪審]]ではなく[[裁判官]](多くは[[治安判事]])が判定する。予備審問で証拠が不十分とされた場合、被疑者は起訴されないが、後日の追加捜査により証拠が整った場合には、再度予備審問が開かれる可能性がある。
 
== 予審 ==
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日本の予審制度は、[[1880年]](明治23)に制定された[[治罪法]]に始まり、[[刑事訴訟法]]に受け継がれたが[[1949年]](昭和24)の法改正によって廃止された。治罪法は[[フランス]]の[[ギュスターヴ・エミール・ボアソナード]]によって起草され、フランス法の影響を受けた。
 
予備審問を採用している国々とは異なり、予審制度のもとでは強制処分はもっぱら予審判事の権能とされた。このため、治罪法や[[1890年]](明治33年)に制定された刑訴法(明治刑訴法)では、司法警察官吏や[[検事]]([[検察官]])には[[現行犯]]の逮捕権のみが与えられていた。しかし、[[1922年]](大正11年)にドイツ刑訴法の影響を受けて全面改正された刑訴法(大正刑訴法)では、「急速を要する」場合に検事に[[勾引]]状・[[勾留]]状の発付を認め(123条・129条)、また例外的に検事や司法警察官吏による[[逮捕]]を認め(124条)、「強制処分は司法権のみが行使できる」という原則は後退した。
 
日本の予審制度の下においては、予審調書が[[公判]]における証拠として認められており、証拠価値は高いものとされていた。
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今まで重罪事件は重罪院判決が第一審かつ終審だったかわりに、重罪事件の予審は予審判事による予審の後、控訴院弾劾部による2段階の予審が必要的とされていたが、2000年6月15日法律によって、予審判事が直接重罪院公判に付すことができるようになった。ただし、不服がある当事者は控訴院予審部(Chambre d'instruction de la cour d'appel)に予審抗告をすることができる。控訴審予審部は弾劾部(重罪控訴部)を2000年6月15日法律で改組したものである。なお、予審判事の処分(日本では捜査に相当する事実行為が中心)に関しては従前より控訴院弾劾部に予審抗告が許されていたが、2000年6月15日法律では、検察側のみならず予審対象者や私訴原告人(犯罪被害者など民事上の請求を刑事手続において行う当事者)側にも従前以上に広範に予審抗告権を認めている。
 
 なお、2006年に一定の事件については複数の予審判事が予審を行う制度が導入されている
 
予審判事による予審をコントロールする控訴院予審部の決定に不服がある当事者は、破毀院刑事部(Chambre criminelle de la cour de cassation)に対して法令違反を理由として破毀申立(Pourvoi en cassation)を申し立てることができる。破毀申立は「上告」とも訳されるが、破毀院はあくまでも事実審の判決・決定の合法性を審査する純然たる法律審であり、フランス法ではこれを第三審とは捉えない。
 
== 脚注 ==
[[Category:司法|よびしんもん]]
{{脚注ヘルプ}}
[[Category:刑事訴訟法|よしん]]
{{Reflist}}
 
== 関連項目 ==
* [[大陪審]]
 
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[[Category:司法|よびしんもん]]
[[Category:アメリカ合衆国の司法]]
[[Category:刑事訴訟法|よしん]]
 
[[en:Preliminary hearing]]