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繊毛は、多細胞[[動物]]にも見られる。海産[[無脊椎動物]]の、発生初期に[[プランクトン]]生活するものでは、その体表面に繊毛をもって運動するものがたくさんある。また、[[扁形動物]]の[[渦虫綱]]のものは、成体の体の表面に繊毛をもち、これによって移動する。
 
また、陸上動物であっても、[[粘膜]]の部分に繊毛をもつものが多々ある。我々ヒトを含む哺乳類でも、鼻孔粘膜や[[気管]]などの表面には繊毛がならび、混入する異物の排除などに役立っている。そのような組織を[[繊毛上皮]]と呼んでいる。
 
海産無脊椎動物では、[[鰓]]や、それに相当するような、水を多量にこしとる形の摂食装置を持ち、そこに繊毛を持っているものがある。そうして、粘液を分泌し、水中の[[デトリタス]](デトライタス・水中の有機物微粒子)をそこに吸着し、集めて、口まで繊毛運動で運び込むことで餌を食べている。このようなやり方を繊毛粘液摂食といい、二枚貝やゴカイの仲間、その他、様々な動物がこのやり方を取っている。
 
また、陸上動物であっても、[[粘膜]]の部分に繊毛をもつものが多々ある。我々ヒトを含む哺乳類でも、鼻孔粘膜や[[気管]]などの表面には繊毛がならび、混入する異物の排除などに役立っている。そのような組織を[[繊毛上皮]]と呼んでいる。
 
==繊毛と鞭毛==
繊毛は、[[鞭毛]]と共に、単細胞生物の運動器官として重要なものである。全体に短いものを並べたのを繊毛と言うのに対して、長いものを少数だけもつ場合、これを[[鞭毛]]と呼ぶ。かつて、運動性の単細胞生物を[[原生動物]]と扱っていた頃、運動器官の種類が、分類群の決め手の一つと見られ、鞭毛をもつものを鞭毛虫綱、繊毛をもつものを繊毛虫綱としてまとめていた。また、[[細菌]]類にも鞭毛をもつものがあったが、これは細菌類に含まれていた。
 
しかし、この区別が通らない場合があった。たとえば[[シロアリ]]の腸内に生息する[[超鞭毛虫]]類は、長い鞭毛を多数、種によっては全身にもってい。これでは繊毛と鞭毛の区別がつきにくい。さらに、カエルなどの腸に寄生するオパリナ類では、全身に短い毛が生えており、当初は原始的な繊毛虫と考えられたが、それ以外の生物的特徴から、次第に繊毛虫ではないとされ、鞭毛虫に属させられる事になった。そうすると、見掛けは繊毛にしか見えないが、実際は鞭毛だと言う事になる。そういった矛盾が生じていた。
 
ところが、[[電子顕微鏡]]の発達により、鞭毛や繊毛の微細構造が明らかになり、話は変わって来た。まず、[[細菌]]の鞭毛と[[真核生物]]の鞭毛は根本的に違うものである事、真核生物の鞭毛は中に[[微小管]]が走っていて、特徴的な”9+2構造”をもっていることが明らかになった。しかも、断面の構造では、鞭毛と繊毛の区別がない事がわかってきた。これによって、鞭毛と繊毛を区別する意味は、大きく変わってしまった。
 
ちなみに、動物の起源は[[えり鞭毛虫]]だとの説が有力である。この生物は、単細胞の鞭毛虫で、一方の端に1本の鞭毛をもち、その鞭毛の基部に”えり”という鞭毛の根本を囲むような構造がある。ところが、最近、多細胞動物の繊毛で、その”えり”に似た構造が発見された。これがえり鞭毛虫のえりと相同のものであれば、多細胞動物の繊毛が、実は鞭毛だった、ということになる。