「政治的行為」の版間の差分

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=== 概要 ===
[[国家公務員法]]第102条は、一般職の国家公務員に対して、次のように政治的行為の制限を定めている。
# 職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。
# 職員は、公選による公職の候補者となることができない。
# 職員は、政党その他の政治的団体の役員、政治的顧問、その他これらと同様な役割をもつ構成員となることができない。
 
そして、国家公務員法第102条第1項の委任を受けて人事院規則14-7(政治的行為)が定められており、同規則第6項は、17に及ぶ政治的行為を規定している。
# 政治的目的のために職名、職権又はその他の公私の影響力を利用すること
# 政治的目的のために寄附金その他の利益を提供し又は提供せずその他政治的目的をもつなんらかの行為をなし又はなさないことに対する代償又は報復として、任用、職務、給与その他職員の地位に関してなんらかの利益を得若しくは得ようと企て又は得させようとすることあるいは不利益を与え、与えようと企て又は与えようとおびやかすこと
# 政治的目的をもって、賦課金、寄附金、会費又はその他の金品を求め若しくは受領し又はなんらの方法をもってするを問わずこれらの行為に関与すること
# 政治的目的をもって、前号に定める金品を国家公務員に与え又は支払うこと
# 政党その他の政治的団体の結成を企画し、結成に参与し若しくはこれらの行為を援助し又はそれらの団体の役員、政治的顧問その他これらと同様な役割をもつ構成員となること
# 特定の政党その他の政治的団体の構成員となるように又はならないように勧誘運動をすること
# 政党その他の政治的団体の機関紙たる新聞その他の刊行物を発行し、編集し、配布し又はこれらの行為を援助すること
# 政治的目的をもって、第5項1号に定める選挙、同項第2号に定める国民審査の投票又は同項第8号に定める解散若しくは解職の投票において、投票するように又はしないように勧誘運動をすること
# 政治的目的のために署名運動を企画し、主宰し又は指導しその他これに積極的に参与すること
# 政治的目的をもって、多数の人の行進その他の示威運動を企画し、組織し若しくは指導し又はこれらの行為を援助すること
# 集会その他多数の人に接し得る場所で又は拡声器、ラジオその他の手段を利用して、公に政治的目的を有する意見を述べること
# 政治的目的を有する文書又は図画を国又は特定行政法人の庁舎(特定行政法人にあっては、事務所。以下同じ。)、施設等に掲示し又は掲示させその他政治的目的のために国又は特定行政法人の庁舎、施設、資材又は資金を利用し又は利用させること
# 政治的目的を有する署名又は無署名の文書、図画、音盤又は形象を発行し、回覧に供し、掲示し若しくは配布し又は多数の人に対して朗読し若しくは聴取させ、あるいはこれらの用に供するために著作し又は編集すること
# 政治的目的を有する演劇を演出し若しくは主宰し又はこれらの行為を援助すること
# 政治的目的をもって、政治上の主義主張又は政党その他の政治的団体の表示に用いられる旗、腕章、記章、えり章、服飾その他これらに類するものを製作し又は配布すること
# 政治的目的をもって、勤務時間中において、前号に掲げるものを着用し又は表示すること
# なんらの名義又は形式をもってするを問わず、前各号の禁止又は制限を免れる行為をすること
これらの規定は限定列挙であり、同項に定められている行為以外の行為による政治活動は制限されない。また、第5号ないし第7号を除く規定中の「政治的目的」とは、同規則第5項に掲げる次の8つの内容に限定されている。
# 規則14-5に定める公選による公職の選挙において、特定の候補者を支持し又はこれに反対すること
# 最高裁判所の裁判官の任命に関する国民審査に際し、特定の裁判官を支持し又はこれに反対すること
# 特定の政党その他の政治的団体を支持し又はこれに反対すること
# 特定の内閣を支持し又はこれに反対すること
# 政治の方向に影響を与える意図で特定の政策を主張し又はこれに反対すること
# 国の機関又は公の機関において決定した政策の実施を妨害すること
# 地方自治法に基づく地方公共団体の条例の制定若しくは改廃又は事務監査の請求に関する署名を成立させ又は成立させないこと
# 地方自治法に基く地方公共団体の議会の解散又は法律に基く公務員の解職の請求に関する署名を成立させ若しくは成立させず又はこれらの請求に基く解散若しくは解職に賛成し若しくは反対すること
このように、人事院規則の定める政治的行為は、同規則第5項「政治的目的」と同規則第6項「政治的行為」の双方に該当しない限りこれに当たらないことになる(第6項第5号ないし第7号の行為を除く。)。
 
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猿払事件上告審判決の後、裁判所が国家公務員法第102条第1項、人事院規則14-7を違憲と判断したことはない。また、最高裁判所の判決には次のようなものがあるが、いずれも猿払事件上告審判決を引用して同法、同規則を合憲と結論付けており、現在に至っている。
* 豊橋郵便局事件上告審判決-最高裁判所1977年(昭和52年)7月15日第3小法廷判決(全員一致)
* 全逓プラカード事件上告審判決-最高裁判所1980年(昭和55年)12月23日第3小法廷判決(2対1の多数意見)
* 高松簡易保険局事件上告審判決-最高裁判所1981年(昭和56年)10月22日第1小法廷判決(3対2の多数意見)
 
== 地方公務員に対する制限 ==
[[地方公務員法]]第36条は、地方公務員に対し、次のように政治的行為の制限を定めている。
# 職員は、政党その他の政治的団体の結成に関与し、若しくはこれらの団体の役員となってはならず、又はこれらの団体の構成員となるように、若しくはならないように勧誘運動をしてはならない。
# 職員は、特定の政党その他の政治的団体又は特定の内閣若しくは地方公共団体の執行機関を支持し、又はこれに反対する目的をもって、あるいは公の選挙又は投票において特定の人又は事件を支持し、又はこれに反対する目的をもって、次に掲げる政治的行為をしてはならない。ただし、当該職員の属する地方公共団体の区域外において、第1号から第3号まで及び第5号に掲げる政治的行為をすることができる。
## 公の選挙又は投票において投票をするように、又はしないように勧誘運動をすること。
## 署名運動を企画し、又は主宰する等これに積極的に関与すること。
## 寄附金その他の金品の募集に関与すること。
## 文書又は図画を地方公共団体又は特定地方独立行政法人の庁舎、施設等に掲示し、又は掲示させ、その他地方公共団体又は特定地方独立行政法人の庁舎、施設、資材又は資金を利用し、又は利用させること。
## 前各号に定めるものを除く外、条例で定める政治的行為
# 何人も前二項に規定する政治的行為を行うよう職員に求め、職員をそそのかし、若しくはあおってはならず、又は職員が前二項に規定する政治的行為をなし、若しくはなさないことに対する代償若しくは報復として、任用、職務、給与その他職員の地位に関してなんらかの利益若しくは不利益を与え、与えようと企て、若しくは約束してはならない。
# 職員は、前項に規定する違法な行為に応じなかったことの故をもって不利益な取扱を受けることはない。
 
なお、国家公務員法と異なり、その違反行為に対する罰則規定は存在していない。
 
== 脚注 ==
<references />
 
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* [[地方公務員法]]
 
== 外部リンク ==
* [http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=26839&hanreiKbn=01 猿払事件] (最高裁判例 昭和49年11月06日)
 
 
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